
エレキギターの種類を5軸で整理|主要12タイプの特徴と違い
サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…
エレキギターの種類は、大きく分けて「ボディ構造」「シェイプ(形状)」「ピックアップ構成」「スケール長」「ボディ材」の5つの軸で整理できます。ストラトキャスターやレスポールといった定番から、ヘッドレスギターや多弦ギターなどの現代的なタイプまで、主要なシェイプだけでも12タイプ以上。世界のギター市場規模は2023年時点で約56.9億米ドル(約8,500億円相当)と推計されており(Grand View Research「Guitar Market Size, Share & Trends Analysis Report」、2024年発表)、エレキギターは依然として市場の中心を占めるカテゴリです。
本記事では、各タイプのスペック・音の傾向・得意ジャンル・メリットとデメリットに加え、サウンドマニアが独自に整理した中古相場・流通量データ(2026年9月時点)まで、1記事で横断的に比較できる構成でお届けします。「種類が多すぎてどこから見ればいいかわからない」という方は、まず次のセクションの「5つの分類軸」から読み進めてください。
エレキギターの種類を整理する5つの分類軸──ボディ構造・シェイプ・ピックアップ・スケール長・ボディ材
多くの解説記事では、いきなり「ストラトキャスターとは」「レスポールとは」とシェイプの羅列が始まります。しかし、シェイプはあくまで分類軸の1つにすぎません。「なぜ種類によって音や弾き心地が変わるのか」を本質から理解するには、ボディ構造・シェイプ・ピックアップ構成・スケール長・ボディ材という5つの軸を先に押さえるのが近道です。
この5軸を知っておくと、初めて見るモデルでも「ソリッドボディ・ハムバッカー搭載・ミディアムスケールだから、おおよそこういう音だろう」と推測できるようになります。
ボディ構造──ソリッド・セミホロウ・フルホロウで変わる音の性格
エレキギターのボディ構造は、大きく3種類。この構造の違いが、音の「響き方」と「ハウリング(不要なフィードバック)耐性」を根本から左右します。
ソリッドボディは、ボディ内部に空洞を持たない一枚板(または複数材の貼り合わせ)の構造です。弦の振動が木材を通じてピックアップに伝わり、電気信号として出力されます。空洞がないためハウリングに強く、歪ませた音との相性は抜群。ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール、SGなど、エレキギターの大半がこのソリッドボディに該当します。
セミホロウボディは、ボディ内部に空洞を持ちつつ、中央にセンターブロック(木の柱)を残した構造です。代表例はGibson ES-335で、ボディの左右に空洞があり、中央のセンターブロックがピックアップのマウント台座を兼ねています(Gibson公式サイト)。ソリッドの芯のある鳴りとフルアコの温かみを両立し、クリーンから中程度の歪みまで幅広く対応できる点が魅力です。
フルホロウボディは、ボディ全体が空洞の構造。アコースティックギターに近い豊かな生鳴りが特徴で、ジャズやブルースで愛用されてきました。空洞が大きい分、大音量や高ゲインのアンプ設定ではハウリングが起きやすくなります。
弦を弾いたとき、振動は「弦→ナット/ブリッジ→ボディの木材→ピックアップの磁界で電気信号に変換」という経路をたどります。空洞が多いほど木材の共鳴が大きくなり、温かく豊かな響きが得られる反面、アンプからの音がボディ内部の空気を振動させやすくなるためハウリングのリスクも上昇します。
ポイント:ソリッド=歪みに強い、フルホロウ=クリーンの美しさ、セミホロウ=両者の中間。この物理的な性質の違いが、3構造の大まかな音の傾向を決めています。ボディ構造は、エレキギターの種類理解の出発点です。
シェイプ(ボディ形状)──主要12タイプの全体マップ
シェイプは「見た目」で最もわかりやすい分類軸で、ギターの個性を象徴する要素です。以下の表に主要12タイプ以上を整理しました。各タイプの詳細は後続のセクションで解説します。
タイプ名 | 系統 | ボディ構造 | 一言特徴 |
|---|---|---|---|
ストラトキャスター | Fender系 | ソリッド | 3ピックアップの万能型。最も広く普及 |
テレキャスター | Fender系 | ソリッド | シンプル2PU構成。エッジの立ったアタック |
ジャズマスター | Fender系 | ソリッド | ワイドなPUと独特の回路。甘めのトーン |
ジャガー | Fender系 | ソリッド | ショートスケール。サーフ系・オルタナで人気 |
ムスタング | Fender系 | ソリッド | コンパクト&軽量のショートスケール |
レスポール | Gibson系 | ソリッド | マホガニー+メイプルトップ。太くウォーム |
SG | Gibson系 | ソリッド | 薄く軽いGibson系。ハイポジション弾きやすい |
フライングV | Gibson系 | ソリッド | V字シルエットの変形ギター。ステージ映え |
エクスプローラー | Gibson系 | ソリッド | 角ばった変形。重厚な中低域 |
ファイアーバード | Gibson系 | ソリッド | スルーネック+ミニハムバッカー。独自の煌めき |
セミアコ(ES-335等) | Gibson系 | セミホロウ | ソリッドの芯+空洞の温かみ |
フルアコ | 多メーカー | フルホロウ | 最も豊かな生鳴り。ジャズの定番 |
スーパーストラト | 現代系 | ソリッド | 薄ネック・24フレット。テクニカル志向 |
PRSタイプ | 現代系 | ソリッド | 25インチスケール。Fender系とGibson系の中間 |
ヘッドレスギター | 現代系 | ソリッド | ヘッドなしで超軽量。ファンフレット採用も |
多弦ギター(7弦・8弦) | 現代系 | ソリッド | 低音域を拡張。メタル・Djent向き |
注目してほしいのは「系統」欄です。Fender系・Gibson系・現代系という3つの系統は、スケール長・ピックアップ・ネック接合方式などに共通傾向があります。系統ごとのまとまりを意識すると、種類の全体像がすっきり整理できます。
ピックアップ構成──シングルコイル・ハムバッカー・P-90の違い
ピックアップはエレキギターの音色を最も直接的に決定するパーツです。弦の振動を磁石とコイルで電気信号に変換する仕組みで、構造の違いによって出力レベル・音の傾向・ノイズ特性が大きく変わります。
ピックアップ | コイル数 | 出力傾向 | ノイズ耐性 | 音の傾向 | 代表的な搭載タイプ |
|---|---|---|---|---|---|
シングルコイル | 1つ | 低〜中 | 低い(ハムノイズが出やすい) | クリアで歯切れが良く、高域が際立つ | ストラト、テレキャス |
ハムバッカー | 2つ(逆位相で並列) | 中〜高 | 高い(ノイズキャンセル構造) | 太く温かみがあり、中低域が豊か | レスポール、SG、ES-335 |
P-90 | 1つ(大型) | 中 | 低い(シングルコイル構造) | シングルコイルの明瞭さにハムバッカー寄りの太さを加えた中間的な音 | レスポールスペシャル、SGスペシャル |
シングルコイル(1つのコイルで構成されたピックアップ)は、Fender系ギターの代名詞です。繊細なニュアンスが出やすく、カッティングやクリーントーンで真価を発揮します。一方、構造上「ハムノイズ」と呼ばれるジーッというノイズが出やすい弱点も持ち合わせています。
ハムバッカー(2つのコイルを逆位相で組み合わせたピックアップ)は、Gibson系ギターで広く採用されています。2つのコイルのノイズが互いに打ち消し合うため静粛性が高く、出力も大きいのが特徴。歪ませたときの迫力ある音はロックやハードロックの基盤そのものです。
P-90(シングルコイルの一種だが、コイルが大きくハムバッカーに近い太さを持つピックアップ)は、両者の中間的な性格を持っています。
近年はノイズレスシングルコイル(ノイズキャンセル機構を内蔵したシングルコイル)やロー出力ハムバッカーなど、従来のカテゴリに収まらないピックアップも多数存在します。上記はあくまで基本的な傾向として押さえてください。
スケール長とボディ材──弾き心地とトーンに影響する残り2軸
スケール長(ナットからブリッジまでの弦の振動する長さ)は、弦のテンション(張力)と音の明るさに直結する物理的な要素です。同じゲージの弦を張った場合、スケール長が長いほどテンションが高くなり、音は明瞭でタイトに。短いほどテンションが緩く、温かみのある音とチョーキング(弦を押し上げて音程を変える奏法)のしやすさが得られます。
スケール名称 | 数値 | 代表タイプ | テンション傾向 | 音の傾向 |
|---|---|---|---|---|
ロングスケール | 25.5インチ(648mm) | ストラト、テレキャス、ジャズマスター | 高い | 明瞭でタイトな高域 |
ミディアムスケール | 24.75インチ(628mm) | レスポール、SG、ES-335 | やや低い | 温かく丸みのある音 |
PRSスケール | 25インチ(635mm) | PRS Custom 24等 | 中間 | 両者のバランス型 |
ショートスケール | 24インチ(610mm) | ジャガー、ムスタング | 低い | ウォームでルーズ |
数値はそれぞれFender公式サイト(ストラト等:25.5インチ)、Gibson公式サイト(レスポール等:24.75インチ)、PRS公式サイト(Custom 24:25インチ)から取得しています。
「ショートスケール=初心者向け」と単純化されがちですが、ショートスケールを好んで使うプロプレイヤーは少なくありません。弦ゲージ(太さ)の選択でテンションは補正できるため、スケール長は「合う・合わない」ではなく「弾き心地の好み」で選ぶ要素と考えるのが適切です。
ボディ材(トーンウッド:ギターのボディやネックに使われる木材の総称)も、音に影響する要素として語られます。
⚠ 注意:ボディ材による音の違いはあくまで同条件で比較した場合の傾向です。実際の音はピックアップ、弦、アンプ、エフェクターの影響の方が大きく、木材だけで音が決まるわけではありません。この点については専門家間でも見解が分かれるテーマです。
材名 | 重量傾向 | 音の傾向(一般的に言われる特性) | 代表搭載タイプ |
|---|---|---|---|
アルダー | 中程度 | 中域が豊かでバランスの良いオールラウンド | ストラト、テレキャス、ジャズマスター |
アッシュ | 個体差大 | 高域のきらびやかさと低域の締まり | テレキャス(ヴィンテージ系) |
マホガニー | やや重い | 温かく太い中低域 | レスポール、SG、ES-335 |
メイプル(トップ材) | 重い | 高域の明瞭さとサステインの付加 | レスポール(トップ材)、PRS |
バスウッド | 軽い | フラットでクセが少ない | スーパーストラト(Ibanez RG等) |
スケール長はテンションと音の明るさを物理的に左右し、ボディ材は音の傾向に一定の影響を与えます。いずれもピックアップやアンプとの組み合わせで最終的な音が決まる点は忘れないでください。
以上の5つの軸——ボディ構造・シェイプ・ピックアップ構成・スケール長・ボディ材——を押さえておけば、次のセクション以降で解説する各タイプの特徴をより立体的に理解できます。
【Fender系】ストラトキャスター・テレキャスター・ジャズマスター・ジャガー・ムスタングの特徴
Fender系エレキギターの共通項は3つ。**ロングスケール(25.5インチ/648mm。ジャガーとムスタングはショートスケール24インチ)、シングルコイル・ピックアップ、ボルトオンネック(ネックをボディにボルトで固定する方式)**です。Gibson系と比較すると、明瞭でブライトな音の方向性を持ち、ネック交換やメンテナンスの容易さでも優位に立ちます。Fender社は1950年代にテレキャスターとストラトキャスターを世に送り出し、エレキギターの工業生産モデルを確立しました。
ストラトキャスター──万能型の代名詞
ストラトキャスターは、1954年にFenderが発売したエレキギターで、世界で最も広く普及しているシェイプの1つです。
スペック概要(Fender公式サイトより):スケール長25.5インチ(648mm)、ピックアップはシングルコイル×3(SSS構成が標準)、ボディ材はアルダー(年代・モデルによりアッシュ)、ブリッジはシンクロナイズド・トレモロ(アームで音程を揺らせる装置)、フレット数21(ヴィンテージ系)〜22。
3つのシングルコイルを切り替え・ミックスすることで、クリアで透明感のあるクリーントーンから歯切れの良いカッティング、ハーフトーン(隣り合う2つのピックアップを同時に鳴らす設定。独特の「コロコロ」とした音が得られる)まで、幅広い音色バリエーションをカバーします。ブルース、ロック、ポップス、ファンク、カントリー——使用実績があるジャンルを挙げれば切りがなく、「迷ったらストラト」と称されるほどの汎用性を持つ定番タイプです。
体にフィットするコンター加工(ボディの腹側と腕側を削った形状)による演奏時の快適さ、トレモロアームを使ったビブラート表現も大きな強み。一方、シングルコイル特有のハムノイズは好みが分かれるポイントで、気になる場合はノイズレスピックアップ搭載モデルやHSS構成(リアにハムバッカーを1基搭載したバリエーション)で対応できます。
中古市場での動向:中古市場でのストラトキャスタータイプの流通量は全タイプ中で最多クラスです。Fender Japanブランド(現在はMade in Japanシリーズ)の中古は5万〜12万円台、USA製は10万〜25万円台が中心的な取引帯となっています(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。流通量が多い分、状態や仕様を比較して選べる——これが中古市場でのストラトの強みです。
テレキャスター──シンプル構造が生むエッジの立ったサウンド
テレキャスターは、1950年にFenderが発売した世界初の量産ソリッドボディ・エレキギター。ストラトキャスターより4年早い「エレキギターの原点」です。
スペック概要(Fender公式サイトより):スケール長25.5インチ(648mm)、ピックアップはシングルコイル×2(SS構成)、ボディ材はアッシュまたはアルダー、ブリッジは固定式(ヴィンテージ仕様は3連サドル、モダン仕様は6連サドル)、フレット数21〜22。
ストラトよりもアタック(弦を弾いた瞬間の音の立ち上がり)がエッジの効いた「バキッ」とした音が持ち味で、カントリー、ロック、オルタナティブ、インディーロックで多く使われています。リアピックアップのシャープな音色は、カッティングの場面で特に存在感を発揮します。
パーツ数が少なくシンプルな構造のため、メンテナンスが容易で故障しにくい点が利点です。固定ブリッジは弦交換も簡単で、チューニング安定性も高いモデルが大半。標準仕様ではトレモロアームが搭載されていないため、アーミングプレイには非対応ですが、アーミングが不要であればデメリットにはなりません。
中古市場での動向:ストラトと並んで流通量が多く、Japan製は4万〜10万円台、USA製は9万〜22万円台が中心です(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。
ジャズマスター・ジャガー・ムスタング──オフセットボディとショートスケールの個性
Fender系にはストラトやテレキャス以外にも個性的なモデルが存在します。ジャズマスター、ジャガー、ムスタングの3モデルはいずれもオフセット・ウエスト(ボディの上下のくびれの位置が左右非対称にずれた形状)を持ち、近年はオルタナティブやシューゲイザーなどのジャンルで再評価が進んでいます。
モデル | スケール長 | PU構成 | ブリッジ | 中古相場帯(2026年9月時点) |
|---|---|---|---|---|
ジャズマスター | 25.5インチ(648mm) | ワイドレンジSC×2 | フローティング・トレモロ | Japan製 6万〜14万円台 |
ジャガー | 24インチ(610mm) | SC×2 | フローティング・トレモロ | Japan製 5万〜12万円台 |
ムスタング | 24インチ(610mm) | SC×2 | ダイナミック・ビブラート | Japan製 5万〜11万円台 |
※中古相場はサウンドマニア調べ(2026年9月時点)。状態・仕様・年式により変動します。
ジャズマスターはFender系で唯一ロングスケール(25.5インチ)を採用しつつ、通常のストラト用より幅広いピックアップを搭載しています。この専用ピックアップが甘く太めのクリーンを生み出し、ジャズからオルタナティブまで対応。独立した2系統のサーキット(プリセット回路)を持つ点も、他のFender系にはない個性です。
ジャガーはショートスケール(24インチ/610mm)採用で、テンションが緩くルーズな鳴りが持ち味。サーフロックやオルタナティブで使われることが多く、ジャズマスターに似た外見ですがスケール長とピックアップの仕様が異なります。
ムスタングは同じくショートスケールで、Fenderのラインナップ中最もコンパクトで軽量な部類です。ダイナミック・ビブラートユニット(Fender独自のトレモロ装置)を搭載し、オルタナティブやインディーロックで愛用されています。
⚠ 3モデル共通の注意点:ジャズマスターとジャガーのフローティング・トレモロは弦落ち(演奏中に弦がブリッジのサドルから外れる現象)が起きやすい弱点を抱えています。バズストップバー(テイルピース付近に取り付けるパーツ。弦のテンションを稼いで弦落ちを防ぐ)の追加やMustangブリッジへの換装で対応するプレイヤーが大半です。ショートスケールのジャガーとムスタングは、ダウンチューニング(通常より低い音程に合わせるチューニング)では弦のテンションが不足してビビりやすくなる点にも注意が必要です。
Fender系5タイプに共通するのはシングルコイルの明瞭なトーンとボルトオンネックの実用性で、ストラト・テレキャスの高い汎用性からジャズマスター・ジャガー・ムスタングの個性派まで、好みのサウンドと演奏スタイルに応じて選び分けることができます。
【Gibson系】レスポール・SG・フライングV・エクスプローラー・ファイアーバードの特徴
Gibson系エレキギターの共通項は3つ。**ミディアムスケール(24.75インチ/628mm)、ハムバッカー・ピックアップ、セットネック(ネックをボディに接着する方式)**です。セットネック構造はボルトオンよりサステインが長い傾向があり、ボディ材にマホガニーを使用するモデルが多いため、Fender系と比較して温かく太い中低域のトーンが基本的な音の方向性となっています。
レスポール──太くウォームなサステインの王道
レスポールは、1952年にGibsonが発売したソリッドボディのエレキギターで、ストラトキャスターと並ぶ「二大定番」の一角です。
スペック概要(Gibson公式サイトより):スケール長24.75インチ(628mm)、ピックアップはハムバッカー×2(HH構成)、ボディ材はマホガニーバック+メイプルトップの2層構造、ネック接合はセットネック、ブリッジはTOM(チューン・オー・マチック。Gibson系ギターの標準的な固定式ブリッジ)+ストップバーテイルピース、フレット数22。重量は約3.6〜4.5kg(個体差あり)。
マホガニーボディの温かな中低域にメイプルトップが高域の明瞭さを加え、2基のハムバッカーが太く豊かなサステイン(音の伸び)を生み出します。ロック、ブルース、ハードロック、ジャズまでカバーし、特に歪ませたときの迫力あるドライブサウンドはロック系ジャンルで圧倒的な支持を得ています。
豊かなサステインと太い音の存在感はバンドアンサンブルの中で埋もれにくく、メイプルトップの美しい杢目(特にフレイムメイプルやキルトメイプル)は見た目の高級感にも直結します。
一方、重量は約3.6〜4.5kgとエレキギターの中では重い部類に入ります。長時間のスタンディング演奏では肩への負担が気になる場面が出てくるため、重量が気になる方はチェンバード加工(ボディ内部に空洞を設けて軽量化する工法)やウェイトリリーフ加工を施したモデルを検討してください。
中古市場での動向:レスポールタイプの中古はストラトと並んで流通量が多く、Epiphone製(Gibsonの廉価ブランド)は3万〜8万円台、Gibson USA製は12万〜35万円台が中心的な取引帯です(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。ブランド・年代ごとに幅広い価格帯から選べるのがレスポールの中古市場における特徴です。
SG──軽量・ハイアクセスのGibson系オルタナティブ
SGは1961年にGibsonがレスポールの後継として発売したモデルです(後にレスポールが復活し、それぞれ別ラインとして併売されることになりました)。
スペック概要(Gibson公式サイトより):スケール長24.75インチ(628mm)、ピックアップはハムバッカー×2(HH構成)、ボディ材はマホガニー(レスポールより薄いソリッドボディ。メイプルトップなし)、ブリッジはTOM+ストップバーテイルピース、フレット数22。重量は約2.7〜3.2kgで、レスポールより1kg前後軽い個体が大半です。
メイプルトップがない分、レスポールよりも中高域が明るく軽やかです。マホガニーの太さは保ちつつアタックのレスポンスが速い音が特徴で、ロック、ブルース、ハードロックで多用されています。ダブルカッタウェイの深いカット形状により、ハイポジション(高いフレット帯域)へのアクセスはレスポールより明らかに容易で、軽量なため長時間の演奏でも体への負担が少ない点も見逃せません。
⚠ ヘッド落ちに注意:SGはストラップで構えたときにヘッド側が重くて下がる「ヘッド落ち」が起きやすいモデルが多数あります。滑り止め加工のあるストラップを使うか、ストラップピンの位置を工夫することで軽減できます。
中古市場での動向:Epiphone製は3万〜7万円台、Gibson USA製は10万〜25万円台で取引されています(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。レスポールに比べると流通量はやや少なめですが、安定して市場に出回っています。
フライングV・エクスプローラー・ファイアーバード──変形系Gibsonの3タイプ
Gibson系には、伝統的なレスポールやSGとは大きく異なるシルエットを持つ変形系シェイプが存在します。1958年に登場したフライングVとエクスプローラー、1963年発売のファイアーバード——いずれも発売当時は革新的すぎて売れなかったものの、後年になってハードロックやメタルのプレイヤーから再評価された歴史を持っています。
フライングV(Gibson公式サイトより):スケール長24.75インチ、ハムバッカー×2、マホガニーボディ、TOMブリッジ、22フレット。V字型のシルエットはステージでの視覚的インパクトが強く、ハードロックやメタルで好んで使われます。座奏が非常にしにくい点が最大のデメリットで、基本的にはストラップを使った立奏前提のギターです。
エクスプローラー(Gibson公式サイトより):基本スペックはフライングVとほぼ共通で、角ばった独特のボディシェイプが特徴です。フライングVよりは座奏もしやすく、重厚な中低域はメタルやオルタナティブで人気があります。
ファイアーバード:Gibson変形系の中で唯一スルーネック(ネック材がボディの中央を貫通する構造。サステインが長い傾向がある)を採用したモデルが存在します。ピックアップはミニハムバッカー×2で、通常のハムバッカーより小型のため、きらびやかでやや明るい音が持ち味です。流通量は他のGibson系タイプに比べて少なく、中古での入手はやや探す必要があります。
変形系3タイプ共通のデメリットとして、ギターケースが特殊サイズになりやすく、汎用ケースに収まらないことがあります。専用ケースの購入費用も事前に確認しておくと安心です。
中古市場での動向:フライングVとエクスプローラーのGibson USA製は12万〜30万円台が中心ですが、Epiphone製であれば4万〜9万円台で見つかります。ファイアーバードはGibson製で15万〜35万円台と高めで、流通量も少なめです(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。
Gibson系5タイプはミディアムスケール+ハムバッカー+セットネックの組み合わせで温かく太いトーンを共有しつつ、レスポールの重厚感からSGの軽快さ、変形系のインパクトまで、タイプごとに明確な個性の差があります。
【セミアコ・フルアコ】空洞ボディで広がるエレキギターの種類
エレキギターにはボディ内部に空洞を持つ「セミアコ」と「フルアコ」というカテゴリも存在します。「エレキギターの種類を整理する5つの分類軸」で触れたボディ構造の3分類のうち、セミホロウとフルホロウに該当するタイプです。ソリッドボディとは根本的に異なる音の響き方を持ち、特にジャズやブルースの領域で独自の地位を築いています。
セミアコ(ES-335タイプ)──ソリッドの芯と空洞の温かみを両立
セミアコの代表格であるGibson ES-335は、1958年に世界初のセミホロウボディ・エレキギターとして発売されました。
スペック概要(Gibson公式サイトより):スケール長24.75インチ(628mm)、ピックアップはハムバッカー×2、ボディはメイプル+ポプラ+メイプルの合板構造でセンターブロック(中央の木のブロック)入り、ブリッジはTOM、フレット数22。
センターブロックによるソリッド的な芯のある音と、空洞部分による温かく豊かな倍音——この2つの要素が1本の中に同居します。ブルース、ジャズ、ロック、フュージョンなど、クリーン〜クランチ(軽い歪み)の領域で幅広いジャンルに対応できる柔軟性が最大の持ち味です。
ソリッドボディにはない空気感のある響きを持ちながら、フルアコほどハウリングしにくいバランスの良さが魅力。大音量・高ゲイン設定ではハウリングが起きやすくなるため、フィードバックバスター(サウンドホール内に取り付けてハウリングを抑制するパーツ)の導入や、アンプの音量・ゲイン設定の工夫で対処するプレイヤーが多くいます。ボディサイズもソリッドボディより大きめです。
中古市場での動向:Epiphone製のES-335タイプは4万〜9万円台、Gibson USA製は15万〜40万円台が中心です(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。安定した流通量があります。
フルアコ──豊かな生鳴りを持つジャズ・ブルース向きボディ
フルアコ(フルアコースティック)は、ボディ全体が空洞の構造を持つエレキギターです。構造はメーカー・モデルにより多様で、スケール長やボディサイズもモデルごとにばらつきがあります。
アンプを通さなくてもある程度の音量が出るほど生鳴りが豊かで、温かく丸みのあるトーンが最大の特徴。ジャズ、ブルース、ビッグバンドサウンドで特に重宝されてきました。他のどのタイプにも出せない、アコースティックギターに近い豊かな共鳴と温かみが得られます。
高ゲインの歪みとの相性は良くありません(空洞が大きいためハウリングが起きやすい)。ボディが大型なため持ち運びや取り回しにも注意が必要ですが、用途をジャズやブルースに限定すれば、この特性はむしろ最大の長所に転じます。
中古市場での動向:メーカー・モデルの幅が非常に広いため相場帯もまちまちですが、Epiphone製やIbanez製のエントリー〜中級モデルで3万〜10万円台、Gibson L-5やES-175等の上位モデルは20万〜50万円以上で取引されています(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。
セミアコとフルアコは空洞ボディならではの温かみと豊かな倍音が持ち味で、ソリッドボディとは異なる音の表現力を求めるプレイヤーにとって有力な選択肢となります。
【現代系】スーパーストラト・PRSタイプ・ヘッドレス・多弦ギターの種類と特徴
Fender系・Gibson系という二大系統が確立された後、1980年代以降に登場したのが現代系のタイプ群です。「両者の長所を融合する」「特定のプレイスタイルに最適化する」という発想から生まれ、伝統的なシェイプにとらわれない自由な設計思想が共通項。メタルやプログレッシブ・ロックなどのテクニカルなジャンルを中心に支持を広げています。
スーパーストラト──テクニカルプレイに特化した高速仕様
スーパーストラトとは、ストラトキャスターのボディシェイプをベースに、薄くフラットなネック、24フレット、フロイドローズ(ロック式トレモロ。激しいアーミングでもチューニングが狂いにくい特殊ブリッジ)などを組み合わせた、テクニカルプレイ特化仕様の総称です。特定のメーカーの名前ではなく、ジャンルを横断した設計コンセプトと理解してください。
Ibanez RGシリーズ、Jackson Soloistシリーズなどが代表格。ピックアップはHSH(ハムバッカー+シングル+ハムバッカー)またはHSS構成が多く、ボディ材にはバスウッドが採用されることが多い傾向です。メタル、テクニカル系、ハードロックで広く使われています。
フロイドローズ搭載モデルは弦交換やチューニング変更に手間がかかる点、クリーントーンの繊細さでは伝統的なストラトに分がある点がデメリットです。
中古市場での動向:国産メーカー(Ibanez、ESP等)の中級モデルは4万〜12万円台で中古市場に出回っています(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。流通量は比較的安定しています。
PRSタイプ──Fender系とGibson系の中間を狙うオールラウンダー
PRS(Paul Reed Smith)Guitarsは1985年創業のメーカーで、Fender系とGibson系の長所を1本に統合するというコンセプトを掲げています。
スペック概要(PRS公式サイト Custom 24より):スケール長25インチ(635mm)、ピックアップはハムバッカー×2(85/15等)にコイルタップ(ハムバッカーの片方のコイルだけを使い、シングルコイルに近い音を出す機能。正確にはコイルスプリットと呼ぶ場合もある)付き、ボディ材はマホガニーバック+メイプルトップ、フレット数24、ブリッジはPRSオリジナルトレモロ。
25インチというスケール長は、Fender系の25.5インチとGibson系の24.75インチのちょうど中間にあたります。この数値的な「中間」が明瞭さと温かみのバランスという音のキャラクターにも表れており、コイルタップでシングルコイル的な音も出せるため、ジャンルを問わないオールラウンダーとして高い評価を獲得しています。
新品価格がFender系・Gibson系のUSA製と同等〜それ以上になるため、予算面のハードルはやや高め。中古市場ではPRS SE(海外生産の廉価ライン)が5万〜12万円台、PRS USA製(Core Line等)が18万〜40万円台で中心的に取引されています(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。流通量はストラトやレスポールに比べると少なめですが、近年は増加傾向にあります。
ヘッドレスギター・多弦ギター──進化を続けるエレキギターの最前線
ヘッドレスギターは、その名の通りヘッド(ギターの先端にある、ペグ=弦巻き機構が並ぶ部分)を持たない構造のエレキギターです。Strandberg、Kiesel等のブランドが代表格で、チューニング機構をブリッジ側に搭載することでヘッドを不要にし、超軽量化とコンパクト化を実現しました。マルチスケール(ファンフレット:低音弦側が長く高音弦側が短い、扇状に配置されたフレット)を採用するモデルも多く、各弦のテンションを最適化できる点が大きな特徴です。プログレッシブ・ロック、Djent(ジェント:重く刻むようなリフが特徴の現代的なメタルのサブジャンル)などで人気が上昇しています。
多弦ギター(7弦・8弦)は、通常の6弦に低音弦を追加したギターです。7弦ギターは標準チューニングにB弦(6弦の下にもう1本)を加えるのが一般的で、メタル、Djent、プログレッシブ・ロックでヘヴィなリフを弾くために使われます。8弦はさらに低いF♯弦を追加し、ベースに迫る低音域をカバー。スケール長は通常の6弦ギターより長め(26.5インチ〜27インチ)のモデルが多く、低音弦のテンションを確保しています。
⚠ 共通の注意点:ヘッドレスギターは弦のバリエーションが限られるモデルがある点、多弦ギターはネック幅が広くなるため慣れが必要な点にそれぞれ注意してください。
中古市場での動向:ヘッドレスギターは市場にまだ流通量が少なく、中古でもStrandberg製で15万〜30万円台と高めです。7弦ギターはIbanez製やJackson製を中心に5万〜15万円台で見つかるようになってきました(2026年9月時点、サウンドマニア調べ)。
現代系4タイプは伝統的な二大系統の枠を超えた設計思想が共通しており、テクニカルプレイ・ジャンル横断・軽量化・音域拡張など、それぞれ明確な目的を持って進化を続けているカテゴリです。
エレキギター主要タイプ スペック横断比較表──12タイプを一覧で比較
各タイプの解説を読んだ上で、スペック・得意ジャンル・中古相場帯を1つの表に集約しました。気になるタイプ同士の違いを確認する際に活用してください。
タイプ名 | ボディ構造 | スケール長 | 主なPU構成 | 代表的ブリッジ | 代表的ボディ材 | 重量目安 | 得意ジャンル | 中古相場帯(2026年9月時点) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ストラトキャスター | ソリッド | 25.5″(648mm) | SSS | シンクロナイズドトレモロ | アルダー | 3.2〜3.8kg | ロック/ブルース/ポップス/ファンク | Japan製 5万〜12万円 |
テレキャスター | ソリッド | 25.5″(648mm) | SS | 固定式 | アッシュ/アルダー | 3.2〜3.8kg | カントリー/ロック/オルタナ | Japan製 4万〜10万円 |
ジャズマスター | ソリッド | 25.5″(648mm) | SC×2(ワイド) | フローティングトレモロ | アルダー | 3.3〜3.9kg | オルタナ/シューゲイザー/ジャズ | Japan製 6万〜14万円 |
ジャガー | ソリッド | 24″(610mm) | SC×2 | フローティングトレモロ | アルダー | 3.0〜3.5kg | サーフ/オルタナ | Japan製 5万〜12万円 |
ムスタング | ソリッド | 24″(610mm) | SC×2 | ダイナミックビブラート | アルダー | 2.8〜3.3kg | オルタナ/インディー | Japan製 5万〜11万円 |
レスポール | ソリッド | 24.75″(628mm) | HH | TOM+ストップバー | マホガニー+メイプル | 3.6〜4.5kg | ロック/ブルース/ハードロック | Epiphone製 3万〜8万円 |
SG | ソリッド | 24.75″(628mm) | HH | TOM+ストップバー | マホガニー | 2.7〜3.2kg | ロック/ブルース/ハードロック | Epiphone製 3万〜7万円 |
フライングV | ソリッド | 24.75″(628mm) | HH | TOM | マホガニー | 3.0〜3.5kg | ハードロック/メタル | Epiphone製 4万〜9万円 |
エクスプローラー | ソリッド | 24.75″(628mm) | HH | TOM | マホガニー | 3.5〜4.2kg | メタル/オルタナ | Epiphone製 4万〜9万円 |
セミアコ(ES-335) | セミホロウ | 24.75″(628mm) | HH | TOM | メイプル/ポプラ合板 | 3.5〜4.0kg | ブルース/ジャズ/ロック | Epiphone製 4万〜9万円 |
フルアコ | フルホロウ | モデルにより多様 | HH等 | モデルにより多様 | メイプル合板等 | 2.5〜3.5kg | ジャズ/ブルース | 3万〜10万円(エントリー) |
スーパーストラト | ソリッド | 25.5″(648mm) | HSH/HSS | フロイドローズ等 | バスウッド | 3.0〜3.6kg | メタル/テクニカル | 国産中級 4万〜12万円 |
PRSタイプ | ソリッド | 25″(635mm) | HH(タップ付) | PRSトレモロ | マホガニー+メイプル | 3.3〜3.8kg | オールジャンル | SE 5万〜12万円 |
※中古相場は状態・仕様・年式により変動します。上記は2026年9月時点の目安です(サウンドマニア調べ)。Japan製・Epiphone製・SE等の表記は代表的な価格帯のブランドラインを示しており、USA製・Core Line等の上位グレードはこれより高い価格帯となります。
候補を2〜3タイプに絞り込む際の判断材料として、この比較表と各タイプの解説を照らし合わせてみてください。
やりたいジャンルからエレキギターの種類を逆引き──ジャンル別おすすめタイプ
「スペックはわかったけれど、結局自分がやりたい音楽にはどのタイプが合うのか?」——この疑問にストレートに回答するのがジャンル別逆引き表です。**どのタイプでもどのジャンルの曲も弾くことはできます。**以下はあくまで「そのジャンルで特に多く使われている・そのジャンルのトーンを得やすい」という傾向の整理です。
やりたいジャンル | 第一候補 | 第二候補 | 選ばれる理由 | 中古での見つけやすさ |
|---|---|---|---|---|
ロック(全般) | ストラトキャスター | レスポール | 両タイプとも歴史的にロックの中核を担い、汎用性が高い | ◎ |
ブルース | ストラトキャスター | セミアコ(ES-335) | クリーン〜クランチの表現力が求められるジャンルに最適 | ◎ |
ジャズ | フルアコ | セミアコ(ES-335) | 温かく丸いトーンと豊かな倍音がジャズの音色に合致 | ○ |
ハードロック・メタル | レスポール | スーパーストラト | ハムバッカーの太い歪みと高速フレットアクセスが必要 | ◎ |
パンク | レスポール | テレキャスター | シンプルで力強いパワーコード向きの音が求められる | ◎ |
ファンク・ソウル | ストラトキャスター | テレキャスター | シングルコイルの歯切れの良さがカッティングに最適 | ◎ |
オルタナティブ・シューゲイザー | ジャズマスター | ジャガー | 独特のPUとトレモロが空間的なサウンドメイクに適合 | ○ |
ポップス(汎用) | ストラトキャスター | PRSタイプ | クリーン〜軽い歪みまでの対応力が広く求められる | ◎ |
カントリー | テレキャスター | ストラトキャスター | テレキャスのブリッジPUが生むトゥワンギーな音は定番 | ◎ |
「中古での見つけやすさ」は、中古楽器市場での流通量をサウンドマニアが独自に評価したものです(2026年9月時点)。◎=常時豊富に流通、○=比較的多い、△=少なめ。
繰り返しますが、上記はあくまで「よく使われる組み合わせ」の傾向です。ストラトでメタルを弾くプレイヤーも、レスポールでファンクのカッティングをするプレイヤーもいます。ジャンルとタイプの関係は制約ではなく傾向——最終的には「自分が弾きたい音」を基準に選ぶのが最善です。
初心者がエレキギターの種類を選ぶときの3つのチェックポイント
エレキギターの種類ごとの違いがわかったところで、その知識を実際の選択行動に変換する実用ガイドに入ります。
好きなアーティストのギターと見た目から選ぶのが最初の正解
初めての1本を選ぶとき、最も重要なのはスペックの優劣ではなく**「そのギターを手に取りたいと思えるかどうか」**です。好きなアーティストが使っているタイプと同じものを選ぶ、あるいは見た目が気に入ったモデルを選ぶ——こうした選び方が練習のモチベーション維持に直結します。
「憧れのアーティストと同じタイプを選ぶ→弾く頻度が上がる→上達する→もっと弾きたくなる」。この正のサイクルが回り始めれば、どんなスペック上の優位性よりも大きな効果を発揮します。スペック比較や音の違いを細かく検討するのは、2本目以降で十分です。
ピックアップの種類やスケール長の違いは後から知識として吸収できますが、「このギターが好き」という気持ちは最初の選択でしか得られない初期衝動です。
予算別に選べるタイプの目安──中古ならワンランク上が狙える
予算によって選択肢に入るタイプやブランドラインが変わります。
予算帯(新品の場合) | 選べるタイプの目安 | 中古なら狙える価格帯 |
|---|---|---|
3万円以下 | Squier(Fender廉価ライン)、Epiphone(Gibson廉価ライン)等のエントリーモデル。ストラト・テレキャス・レスポール・SG等の主要タイプはほぼ網羅 | 同予算でJapan製Fenderや上位Epiphone製の中古が視野に入る |
3万〜10万円 | 国産メーカーの中級モデル、PRS SE等。タイプの選択肢が広がり、木材やパーツの品質も向上 | 同予算でFender Japan中上位モデル、Gibson SGの中古が視野に入る |
10万〜30万円 | Fender Made in Japan、Gibson USA等の本家ブランド。PRSコアライン入門機も射程圏内 | 同予算でFender USA中古、Gibson Les Paul Standard中古が視野に入る |
※上記は2026年9月時点の目安です(サウンドマニア調べ)。
ポイント:中古楽器のメリットは「同じ予算でワンランク上のグレードに手が届く」点に尽きます。予算3万円台からでもエントリーモデルで主要タイプはほぼ選べますが、中古市場を活用すれば同予算でワンランク上のグレードが射程圏内に入ります。
中古エレキギターを選ぶときの4つのチェックポイント
中古エレキギターの購入は、コストパフォーマンスの面で大きな魅力がある反面、新品にはないリスクも伴います。以下の4項目を事前に確認してください。
チェック項目 | 確認方法 | 見逃すとどうなるか |
|---|---|---|
ネック反り | ヘッド側から1フレットと最終フレットを押さえ、中間のフレットと弦の隙間を目視で確認。写真では判別しにくいため、可能なら実物を確認 | 弦高が均一にならず、ビビりや音詰まりの原因に。修正費用は5,000〜15,000円程度 |
フレット摩耗 | フレットの頂点に凹みや平坦な部分がないか、光を当てて目視確認 | 音程のずれやチョーキング時の引っかかりが発生。フレット交換は3万〜5万円程度かかるため、購入前の確認が重要 |
電装系の接触不良 | ピックアップセレクター、ボリュームノブ、トーンノブを操作してノイズ・音切れがないか確認。ジャック部分のガリ(接触不良ノイズ)も要チェック | 演奏中の音切れやノイズ。軽度なら接点復活剤で修理可能だが、パーツ交換が必要になるケースもある |
改造品の未告知 | ピックアップ・ペグ・ブリッジ等がオリジナルかどうかを出品情報や店舗説明で確認。型番や年式と矛盾するパーツが付いていないか注意 | 想定と異なる音やスペックで後悔する原因に。改造品はリセール(再売却)時の査定に影響する |
🚨 法律上の注意:古物営業法により、偽ブランド品の販売は処罰対象です。有名ブランドのギターを極端に安い価格で販売している場合は、正規品かどうかの確認を慎重に行ってください。中古楽器店で購入する場合は、店舗の保証・返品ポリシーを事前に確認しておくと安心です。
中古エレキギター購入時はネック反り・フレット摩耗・電装系・改造の有無の4点を必ずチェックし、可能であれば実物を手に取って確認するのが最善です。
初心者がエレキギターの種類を選ぶ際は「好きなアーティスト・見た目」「予算と中古市場の活用」「中古購入時の4つのチェックポイント」の3軸で判断すると、後悔の少ない選択につながります。
エレキギターの種類に関するよくある質問(FAQ)
Q1:エレキギターの種類ごとに弦を変える必要はありますか?
基本的には同じ弦(ニッケルワウンド .009〜.042等の一般的なゲージ)がどのタイプにも使えます。ショートスケール(24インチ)のジャガーやムスタングではテンションが低くなるため、やや太めのゲージ(.010〜.046等)を張るプレイヤーもいます。7弦・8弦の多弦ギターは専用の弦セットが必要です。
Q2:ピックアップは後から交換できますか?
ほとんどのエレキギターで交換可能です。同じサイズ規格(シングルコイルサイズ、ハムバッカーサイズ等)のピックアップであれば、基本的にそのまま載せ替えできます。シングルコイル用のザグリ(ボディのピックアップ搭載穴)にハムバッカーを載せる場合など、サイズが異なる場合はボディの加工が必要です。
Q3:初心者が最初の1本に選ぶならどのタイプがおすすめですか?
「好きなアーティストのギターと見た目から選ぶのが最初の正解」で述べた通り、見た目やアーティストへの憧れで選ぶのが最善です。特にこだわりがなく迷っている場合は、ストラトキャスターまたはレスポールが汎用性・中古市場での選択肢の多さの両面で有力な候補になります。
Q4:エレキギターのメーカーにはどんな種類がありますか?
代表的なメーカーとして、Fender、Gibson、PRS Guitars、Ibanez、ESP、YAMAHA、Epiphone(Gibsonの廉価ブランド)、Squier(Fenderの廉価ブランド)などがあります。それぞれが独自のラインナップを持っており、同じタイプ(例:ストラトキャスタータイプ)でもメーカーごとに仕様や価格帯が異なります。
Q5:セミアコとフルアコの違いは何ですか?
最大の違いはセンターブロック(ボディ中央の木のブロック)の有無です。セミアコはセンターブロックがあるため、ソリッドボディに近い芯のある音とハウリング耐性を持ちながら、空洞による温かさも得られます。フルアコはセンターブロックがなく全体が空洞のため、生鳴りが豊かでよりアコースティックな響きが得られますが、ハウリングには弱くなります。
Q6:変形ギターは初心者に向いていますか?
座って弾きにくい(特にフライングV)、ケースが特殊サイズなどの実用面の制約があるため、1本目としては扱いやすいとは言えません。しかし、好きなアーティストが変形ギターを使っていて「これが弾きたい」というモチベーションがあるなら、それは十分に合理的な選択です。演奏面の制約よりも、弾きたいという気持ちが上達の原動力になります。
まとめ──自分に合うエレキギターの種類を見つけるために
エレキギターの種類は、ボディ構造・シェイプ・ピックアップ構成・スケール長・ボディ材の5つの軸で体系的に整理できます。主要12タイプ以上それぞれに得意なジャンルとトレードオフ(メリットの裏にあるデメリット)があり、「すべてにおいて万能なタイプ」は存在しません。やりたい音楽、弾き心地の好み、予算、見た目の好み——この4つの要素を自分なりに優先順位づけし、本記事のスペック比較表やジャンル逆引き表を判断材料にしてみてください。中古市場を活用すれば、同予算でワンランク上のグレードに手が届く選択肢も広がります。まずは気になったタイプを実際に手に取ってみること。それが「自分に合うエレキギター」に出会うための確実な一歩です。
本記事は個人の使用経験に基づく情報です。楽器・機材の使用に際しては、取扱説明書や専門家の指示に従い、安全にご注意ください。
サウンドマニア編集部
楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。





