
高中正義のギターはSGとストラトの二本柱|最初の1本はSG-2000ではない【2026年版】
サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…
高中正義のギターは、ヤマハSGとフェンダー・ストラトキャスターの二本柱で成り立っています。「高中=ヤマハSG-2000」という一点に絞ると見えなくなる事実がいくつかあります。高中が最初に手にしたヤマハSGはSG-2000ではなくSG-1000であり、トレードマークであるラグーンブルーのSG-2000が登場するのは1979年のこと。そして本人は2018年の時点で、クリーンはストラト、ドライブはSGという役割分担を語っています。本記事では、メーカー公式資料と本人インタビューをたどりながら、使用ギター・市販された高中正義モデル・音作りの変遷を整理します。
高中正義のギター──ヤマハSGとストラトキャスターの二本柱
高中正義は1953年生まれ、東京都出身のギタリストです。ユニバーサル ミュージックの公式バイオグラフィによれば、1971年につのだ☆ひろ、故・成毛滋に誘われてロックバンド「フライド・エッグ」にベーシストとして参加したことがプロキャリアの起点。翌1972年にサディスティック・ミカ・バンドへギタリストとして加入し、1976年にアルバム『セイシェルズ(SEYCHELLES)』でソロ・デビューしています。
ここは間違えやすいところですが、サディスティック・ミカ・バンドへの参加は1972年で、1971年のプロデビューはベーシストとしてのものです。またソロデビューが1976年であることから、ソロデビュー50周年にあたるのは2026年。1971年のプロデビュー起算の「デビュー50周年」は2021年で、この年には「虹伝説ファイナル at 日本武道館」が開催されています。ふたつの50周年が5年ずれて存在する点に注意してください。
最初に手にしたヤマハSGは、SG-2000ではなくSG-1000だった
高中正義とヤマハSGといえばSG-2000ですが、時系列で追うと、最初に手にした1本はSG-2000ではありませんでした。
まず本人の発言です。2018年7月にイシバシ楽器 梅田店で行われたインタビューで、高中はサディスティック・ミカ・バンドの終わり頃に現在も使っている古いストラトキャスターを購入したこと、ファーストソロアルバム『SEYCHELLES』ではそのストラトを使い、あまり歪ませていなかったこと、そしてSGを使い始めたのはその数年後だったことを語っています。1976年のソロデビュー作の時点では、まだヤマハSGは登場していないわけです。
そして高中が最初に手にしたヤマハSGは、レッドサンバーストのSG-1000でした。ラージヘッドと呼ばれる初期型の個体で、リペア工房K STUDIOが2007年にこの実機をメンテナンスした際の記録が公開されています。同記録によれば、シンコーミュージック発行の資料に掲載された近接シリアルの個体や、SG研究家による鑑定から1976年製とみられ、重量は4440g。ピックアップの間にはARP製ギターシンセ用のピックアップを増設した穴が残り、ボディにはコンプレッサー「オレンジスクイーザー」が接触してできたとみられる弧状の傷も確認されています。
「BLUE LAGOON」を弾いたギターについて
K STUDIOの記録では、このSG-1000は1995年頃に高中氏から現オーナーへ贈られたもので、ギターに添えられていた直筆メモに「ブルーラグーン等をレコーディングした」旨が記されていたと現オーナーが証言しています。同記録は、実機に載っているピックアップの製造デイトが1980年7月であり、1979年の録音より後に作られたものであることから、「BLUE LAGOON」の録音は交換前のオリジナルピックアップで行われたとみています。本人インタビューによる直接の証言ではないため、確定した事実ではなく、そう伝えられているものとして扱うのが妥当です。
ラグーンブルーのSG-2000──1979年から使われている一本
高中正義の代名詞となっているのが、ラグーンブルーと呼ばれる青いSG-2000です。中古楽器専門店TC楽器がSG-2000MT(後述)を解説した記事では、このギターを「高中正義が1979年から使用していたタカナカ・ブルーのSG-2000」と紹介しています。
ファンや研究者による調査記録では、この個体は1979年12月に日本武道館で行われた井上陽水とのジョイントライブのためにオーダーされたもので、高中サイドから出された注文は色に関する一点のみ、他は市販品と同仕様だったとされます。1980年代後半にはヤマハ製作の本人専用ピックアップへ交換され、一時は所在不明となったものの、2010年のステージで再び姿を見せました。
ここで押さえておきたいのは、SG-2000そのものは高中正義のために開発されたモデルではないという点です。ヤマハ公式サイトのSGヒストリーは、1976年にヤマハがカルロス・サンタナと共にSG-2000を開発したと明記しています。サスティンを最大にというサンタナの要望に応えるため、Tクロスメープルトップ、スルーネック構造、ブラス・サステイン・ブロックといった仕様が採用されました。高中のブルーSG-2000は、その市販モデルに特注色を指定した一本という位置づけになります。
⚠ SG-175について押さえておきたいこと
SG-175はヤマハ公式サイトによれば1974年発売のモデルで、ヤマハSGのみならず今日のソリッドギターの礎を築いたと位置づけられています。ヤマハがサンタナに意見を求めた際に持ち込んだのがこのSG-175で、そこからブッダSGを経てSG-2000へとつながりました。ヤマハ公式はSG-175を今日のソリッドギターの礎と位置づけており、高中の共同開発モデルではありません。
使用ギターを一本ずつ見る
ここでは、一次情報または出典をたどれる資料で確認できるギターに絞って整理します。SG-1000とSG-2000は前節で扱ったため、以降の解説はそれ以外のギターが中心です。なお楽曲ごとの使用ギター対応表は、音色から機材を逆算した推定になりやすいため本記事では作成していません。
ギター | 登場時期 | 位置づけ |
|---|---|---|
フェンダー・ストラトキャスター(オールド) | サディスティック・ミカ・バンド末期〜 | 『SEYCHELLES』で使用。現在まで使い続けている一本 |
ヤマハ SG-1000(レッドサンバースト) | 1976〜77年頃〜 | 最初に手にしたヤマハSG |
ヤマハ SG-2000(ラグーンブルー) | 1979年〜 | トレードマークとなった一本 |
ヤマハ SG-T | 1988年〜 | アーム奏法に対応した高中モデル |
ヤマハ SG-T2 | 1998年〜 | SG-Tのアクティブ回路版 |
エドワーズ KARMASTER | 2024年頃〜 | 軽量ギターとしてステージで使用 |
フェンダー・ストラトキャスター──原茂から譲り受けた一本
2ndアルバム『TAKANAKA』のジャケット写真で高中が抱えているオールド・ストラトキャスターは、六文銭のギタリスト・原茂から譲り受けたものとされます。ボディは1958年、ネックは1964年の貼りメイプルという別年代の組み合わせで、ヘッドのロゴは消えているものの正真正銘のフェンダー製。ネックのメンテナンスが限界を迎えたため、後にフェンダー・カスタム・ショップ製の同仕様ネックに交換され、その際に22フレット仕様になったと伝えられています。
このストラトが重要なのは、後述するフェンダーの2機種のベースになっているからです。「高中=ヤマハSG」というイメージの陰に隠れがちですが、ソロデビュー作から現在まで一貫して使われているという意味では、ストラトのほうが在籍期間の長い一本ということになります。
ヤマハ SG-T/SG-T2──アーム付きの高中モデル
1988年に発売されたSG-Tは、ブルーのSG-2000とはまったく仕様の異なるモデルです。通常2基のハムバッカーの中間にシングルコイルを追加した3ピックアップ構成で、大胆なアーム奏法に耐えるロック式トレモロユニット「YAMAHA Rockin' Magic」を搭載。市販されたSG-Tでは、可動部にベアリングを用いた「YAMAHA Rockin' Magic Pro」が採用されています。
ボディカラーはラグーンブルーではなく濃いシースルーネイビーブルーで、T・A・K・Nの4文字と椰子の木のモチーフが金色とホログラムの小型インレイでランダムに散りばめられているのが最大の特徴です。1998年発表のSG-T2は、トーンを廃してアクティブ回路(高域と低域の同軸二連ポット)を搭載し、トレモロユニットを「RM-ProⅢ」に変更した後継機にあたります。
近年の軽量ギター──重さという現実的な課題
ヤング・ギターが2025年に掲載したインタビュー記事によれば、高中が所有するヤマハSGは4.6kgあり、肩から下げて立って弾いていると疲れると本人が語っています。前年のステージでは、2.28kgという超軽量のエドワーズ製「KARMASTER」を新たに入手して使用。さらに、ステージで「ギターが重い」とこぼす高中を見かねたファン有志が、SGシェイプの軽量ギターを製作して本人に贈るというプロジェクトも動きました。
4kgを超えるソリッドギターは、長時間のステージでは相応の負担になります。ヤマハSGの重量はサスティンと表裏一体の設計上の結果でもあり、この点は中古で狙う人にとっても他人事ではありません。
高中正義モデルとして市販されたギター──ヤマハ3機種、フェンダー2機種
高中正義モデルとして市販されたギターは、ヤマハから3機種、フェンダー・カスタム・ショップから2機種、合計5機種あります。このうちSG-2000MTとフェンダーの2機種は限定本数が公表されており、5機種とも現在は新品では販売されていません。
モデル名 | メーカー | 発売 | 限定本数 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
SG-T | ヤマハ | 1988年 | ─ | HSH配列+ロック式トレモロ。シースルーネイビーブルー |
SG-2000MT | ヤマハ | 1998年 | 220本 | 本人所有のタカナカ・ブルーSG-2000を採寸して復刻 |
SG-T2 | ヤマハ | 1998年 | ─ | SG-Tのアクティブ回路版。トレモロはRM-ProⅢ |
Masayoshi Takanaka Stratocaster | フェンダー・カスタム・ショップ | 2007年 | 100本 | 本人のオールド・ストラト仕様がベース。1ボリューム1トーン |
TAKANAKA STRATOCASTER II ~一番好きな海の色~ | フェンダー・カスタム・ショップ | 2014年 | 50本 | ポジションマークは椰子の木モチーフ。S-1スイッチ搭載 |
SG-2000MT──実機を採寸して作られた復刻モデル
5機種のなかでも情報量が多いのがSG-2000MTです。TC楽器の解説によれば、1998年に限定220本で販売されたこのモデルは、高中が1979年から使用していたタカナカ・ブルーのSG-2000を実際に採寸して作り上げられています。トラスロッドカバーには青文字で「TAKANAKA」と入った専用品を採用。
ピックアップはSG-2000MT専用に作られたもので、同時期の他のSGに載っていたスピネックス・ピックアップと同じ洋白ベースプレートを使いながら、マグネットにはOPG-Iと同じアルニコVを採用するという構成。さらにSG-2000MTのみハイパスコンデンサーが追加されています。同店は、それまで新しさを追い求めてきたヤマハSGにおいて「復刻」という真逆の観点で作られた点にこのモデルの意義を見ています。
ヤマハ公式のアーティストページについて
ヤマハ公式サイトのギター・ベース アーティストページには、2026年9月9日時点で高中正義の掲載はありません。またヤマハ公式のSGヒストリーでSG-2000開発の当事者として名前が挙がっているのはカルロス・サンタナです。高中正義とヤマハSGの結びつきは、高中正義モデルという製品の形で残っている一方、メーカー公式のアーティスト情報としては現在掲載されていない、というのが確認できる範囲の事実です。
ヤマハSGの構造を正しく理解する──T・クロス、サスティーン・プレート、バイ・サウンド
ヤマハSGには独自の用語がいくつかあります。ここではメーカー公式資料と専門店の解説にもとづいて、主要な用語を整理します。
T・クロス・ワンピースネック
ヤマハSGの構造を理解するうえで核になる用語です。TC楽器の解説によれば、T・クロス・ワンピースネックとはスルーネック構造でありながら、ボディトップ面に別の木を貼り合わせ、正面からはスルーネックに見えないようにした構造を指します。ネックヒールの段差がなくなることでハイフレットへのアプローチがしやすくなり、同時にロングサスティンを狙った設計です。ヤマハ公式サイトはこれを「Tクロスメープルトップ」と表現しています。
ネックの内部に埋め込まれた金属補強材や、ネックの反りを防ぐための機構ではありません。反り防止機構と取り違えたまま中古個体を探すと、期待する仕様と食い違います。
サスティーン・プレート(ブラス・サステイン・ブロック)
SG-2000のブリッジ下に取り付けられた金属プレートです。弦の振動伝達を可能な限りループさせることでサスティンを伸ばす目的で開発されたパーツで、ヤマハ公式サイトは「ブラス・サステイン・ブロック」と呼んでいます。SG-1000にはこのパーツが搭載されておらず、これが両者のサウンド差を生む要素のひとつになっています。
バイ・サウンドとダイレクト・サーキット
いずれもSG-1000から採用された機能です。バイ・サウンドはトーンポットがPush/Push式になっており、コイルタップができる仕様。ダイレクト・サーキットはVolumeとToneをフル10にしたときに信号をアースから完全に独立させる機能で、高音域の成分がアースに落ちなくなり、ブライトなサウンドが得られます。
なお、高中のラグーンブルーSG-2000はSG-2000の市販仕様がベースであり、バイ・サウンドとダイレクト・サーキットは搭載されていないとファン・研究者による調査で指摘されています。本人の使用個体の仕様を調べるときは、この点に注意してください。
SG-175からSG-2000へ──サンタナが関わった系譜
ヤマハSGの歴史を押さえておくと、高中の使用機材の位置づけも見えやすくなります。
年 | 出来事 |
|---|---|
1966年4月 | ヤマハ初のエレキギターS-201/S-302を発売(1ヶ月後にSG-2/SG-3へ改称) |
1974年11月 | SG-175発売。ヤマハ公式は「今日のソリッドギターの礎を築いた」と位置づけている |
1974年11月以降 | ヤマハがSG-175をカルロス・サンタナに持ち込み意見を聴取。サンタナ用カスタム(通称ブッダSG)を製作 |
1976年7月 | SG-2000発売。Tクロスメープルトップ、スルーネック構造、ブラス・サステイン・ブロックを搭載 |
1976年 | SG-500/SG-700/SG-1000発売。ヤマハ公式はSG-2000の6ヶ月後としている。セットネック構造でブライトなサウンドを追求 |
1982年9月 | SG-3000発売。シリーズのフラッグシップ。フルカバードPUとパラフィン処理でハウリング対策 |
2010年9月 | 新SGシリーズ(SG1820/SG1802/SG1820A)発売 |
※ヤマハ公式サイトのSGヒストリー、およびTC楽器「YAMAHA SGの歴史と名機の系譜」を基に整理しています。
音作り──本人が語ったアンプとエフェクターの変遷
高中正義の機材について、本人が公の場で語っている内容に絞ると、構成の輪郭はかなりはっきりしています。
2018年時点──メサ・ブギー TRIAXIS で歪みを作る
2018年7月のイシバシ楽器 梅田店でのインタビューで、高中は使用エフェクターについて、基本的にコンプレッサーは使うこと、そして歪みは主にメサ・ブギーのTRIAXIS(当時すでに廃番)で作っていることを語っています。TRIAXISを選ぶ理由として挙げているのは、数十種類のプリセットを容易に用意でき、ライブのセットリストに合わせて細かくサウンドをコントロールできる点でした。
また同じインタビューで、TRIAXISを使う前はMark IIも使い、ロサンゼルスでのレコーディング時にはRECTIFIERも使っていたこと、それらをライブでも使用したことに触れています。ギターの使い分けについては、主にクリーンサウンドはストラト、ドライブサウンドはヤマハSGという役割分担を明言しました。
2025年時点──Fractal FM9 とメサ・ブギー Rectifier の併用
ヤング・ギターに掲載された2025年のインタビューでは、機材構成が大きく変わったことを本人が語っています。エフェクターのほとんどをフラクタル・オーディオ・システムズのFM9内蔵のものに置き換え、フラクタルからのライン出力の音と、従来から使っているメサ・ブギー Rectifierのヘッドから古いアルテックのスピーカーを鳴らしてマイクで録った音を組み合わせている、という構成です。本人はこれを、昔からのスタイルのアンプと最新鋭システムの組み合わせだと表現しています。
コンプレッサーについては、ストラトのハーフトーンにかけたときの音が以前より綺麗に出ている気がする、とも述べています。コンプレッサーを使うという習慣は2018年から2025年まで一貫している点は、高中サウンドを考えるうえで見逃せません。
時点 | 歪みの中心 | その他 | 情報源 |
|---|---|---|---|
2018年 | メサ・ブギー TRIAXIS | コンプレッサーは常用。過去にMark II、RECTIFIERも使用 | イシバシ楽器 独占インタビュー |
2025年 | Fractal Audio Systems FM9 / メサ・ブギー Rectifier | Rectifierは古いアルテックのスピーカーをマイク録り。コンプレッサーは継続 | ヤング・ギター インタビュー |
⚠ 本記事に載せている機材の範囲
本記事では、本人が公の場で語った機材と、メーカー公式資料で確認できた機材だけを記載しています。そのほか、1970年代のSG-1000実機には、コンプレッサー「オレンジスクイーザー」の装着痕が残っているとリペア工房が記録しています。
弦のゲージ──.0095スタートを10年以上
弦については、2018年のインタビューで具体的な回答をしています。使用しているのはダダリオのEXL120+で、10年以上このゲージを使い続けており、ストラトにもSGにも同じゲージを張っている、という内容です。EXL120+はSuper Light Plusと呼ばれる .0095〜.044 のセットです。
.0095スタートは、一般的な.009セットよりわずかに太く、.010セットよりは細いという位置づけ。テンションが上がりすぎず、それでいて音の芯が痩せにくいバランスです。高中サウンドの再現を狙うなら、機材を揃える前に、まず弦のゲージを合わせてみる価値はあります。
現行のヤマハSGシリーズと、当時のSGは何が違うのか
ヤマハSGは2010年9月に新シリーズへ移行しました。以下はヤマハ公式サイトの製品情報・仕様ページに掲載されている新SGシリーズ3機種です(2026年9月9日確認時点。うちSG1820Aは生産完了品)。
項目 | SG1820 | SG1802 | SG1820A |
|---|---|---|---|
希望小売価格(税込) | 407,000円 | 407,000円 | 407,000円 |
発売 | 2010年9月 | 2010年9月 | 2010年9月 |
現在の扱い | 公式サイト掲載中 | 公式サイト掲載中 | 生産完了品 |
ボディ | メイプル/マホガニー | メイプル/マホガニー | メイプル/マホガニー |
ネック | マホガニー3ピース | マホガニー3ピース | マホガニー3ピース |
ボディ/ネック構造 | セットネック | セットネック | セットネック |
指板/指板アール | ローズウッド/350R | ローズウッド/350R | ローズウッド/350R |
フレット数/サイズ | 22/ミディアムジャンボ | 22/ミディアムジャンボ | 22/ミディアムジャンボ |
スケール | 628.6mm | 628.6mm | 628.6mm |
ピックアップ | セイモア・ダンカン社製'59×2 | セイモア・ダンカン社製SP90-3×2 | EMG社製 85(Neck)/81(Bridge) |
ブリッジ | トーンプロス社製AVRII/T1Z | トーンプロス社製AVRII/T1Z | トーンプロス社製AVRII/T1Z |
ペグ | グローバー社製ロッキングタイプ | グローバー社製ロッキングタイプ | グローバー社製ロッキングタイプ |
高中が長く使ってきたSG-2000と現行SGの最大の違いはネック構造です。SG-2000はT・クロス・ワンピースネック(スルーネック)、現行SGはセットネック。ヤマハ公式は新SGの開発コンセプトについて、日本の木工技術を用いたハンドメイドによるセットネック構造、アフリカンマホガニー材のボディ&ネック、ボディトップに配したアーチドメイプルを特徴として挙げています。設計思想そのものが当時のSG-2000とは異なるモデルだと理解しておくのが正確です。
ピックアップの取り違えに注意
P-90タイプのSP90-3を搭載しているのはSG1820ではなくSG1802です。SG1820はセイモア・ダンカン'59、SG1820AはEMGのアクティブピックアップ。3モデルとも希望小売価格は同じ税込407,000円で型番も1文字違いのため、仕様との対応を取り違えると狙いと違うギターを買うことになります。
中古でヤマハSG・高中モデルを探すときの判断材料
高中正義モデルはいずれも生産が終了しており、SG-2000やSG-1000の1970〜80年代に製造された個体も同様です。入手は中古市場が前提になります。
相場について本記事の方針
本記事では、実測にもとづく相場レンジを掲載していません。中古楽器の価格は年式・状態・付属品・出品チャネル・時期によって大きく変動し、十分なサンプル数の成約データがなければ意味のある数値になりません。掲載価格と成約価格、そして買取価格は性質の異なる数字であり、これらを混ぜたレンジは判断を誤らせます。
そのかわり、価格を自分で判断するための材料を以下にまとめます。
ステップ1:モデルを正しく同定する
ヤマハSGは型番が近く、外観も似ています。同定を誤ると価格の妥当性そのものが判断できません。
確認ポイント | 見分け方 |
|---|---|
ネック構造 | SG-2000/SG-3000はT・クロス・ワンピースネック、SG-1000/SG-700/SG-500はセットネック。ボディ裏のネックヒール部の処理で判別できる |
ブリッジ下のプレート | サスティーン・プレートの有無。SG-2000には搭載され、SG-1000には搭載されない |
トーンポット | Push/Push式ならバイ・サウンド搭載。SG-1000系の特徴 |
トラスロッドカバー | SG-2000MTは青文字で「TAKANAKA」入りの専用カバー。ただしカバー単体は交換可能なので、これだけを根拠にしない |
ピックアップ配列 | SG-T/SG-T2はハムバッカーの中間にシングルコイルを持つ3ピックアップ+ロック式トレモロ |
ヘッド形状 | 初期のSG-1000は通称ラージヘッドと呼ばれる張り出したヘッド形状 |
ステップ2:状態を確認する
1970〜80年代の個体は、製造から40年以上が経過しています。以下は中古のエレキギター全般に共通する確認項目です。
ネックの反り:1フレットと最終フレットを押さえ、中央部の弦とフレットの隙間を確認する。ねじれは修正が難しい
トラスロッドの調整余裕:出品者に残量を質問する。回しきっている個体は調整の余地がない
ネックの修理歴:K STUDIOが調査した高中のSG-1000実機には、ネックにクラックを接着でリペアした跡があり、ネック中央まで再塗装されていたと記録されています。塗装の色味が途中で変わっていないかを写真で確認し、修理歴の有無を質問する
フレット残量:頂点が平らに削れていればフレット交換が必要になる
電装系:ボリューム・トーンを回してガリが出ないか。バイ・サウンド搭載機はタップ動作も確認する
ピックアップのオリジナル性:経年個体では交換されていることがある。オリジナルかどうかで評価が変わるため、事前に開示を求める
重量:ヤマハSGには4kgを超える個体があります。高中所有のSGは4.6kgと報じられ、K STUDIOが計測したSG-1000の実機は4440gでした。長時間の立奏を想定するなら実測値を確認する
⚠ 最優先はネック
ネックの反り・ねじれ・修理歴の3点は、音のコンディションにも修理費用にも直結します。試奏できない出品では、出品者への質問と写真の精査が頼りです。判断に自信がない場合は、検品を経ている中古楽器店での購入や、リペアショップへの相談を検討してください。
よくある質問(FAQ)
高中正義のメインギターは結局どれですか?
公式に「メイン」と規定された1本はありません。確認できる範囲では、2018年のインタビューで本人が語ったとおり、クリーンサウンドはフェンダー・ストラトキャスター、ドライブサウンドはヤマハSGという役割分担で使い分けています。ラグーンブルーのSG-2000がよく知られた一本であることは確かですが、それを唯一のメインと呼ぶのは正確ではありません。
「BLUE LAGOON」はどのギターで録音されたのですか?
ヤマハSG-1000で録音されたと伝えられています。高中が最初に手にしたSG-1000の実機を2007年にメンテナンスしたリペア工房の記録に、ギターに添えられていた高中氏の直筆メモの内容として残っているものです。本人インタビューによる直接の証言ではないため、確定した事実としては扱えません。
高中正義モデルのギターは新品で買えますか?
新品での入手は現実的ではありません。ヤマハのSG-T(1988年)、SG-2000MT(1998年・220本限定)、SG-T2(1998年)、フェンダー・カスタム・ショップのMasayoshi Takanaka Stratocaster(2007年・100本限定)、TAKANAKA STRATOCASTER II(2014年・50本限定)は、いずれも現行ラインナップに含まれていません。入手手段は中古市場になります。
現行のヤマハSG1820で高中サウンドに近づけますか?
SGシリーズの系譜にあるモデルではありますが、SG-2000とはネック構造が異なります(SG-2000はT・クロス・ワンピースネック、SG1820はセットネック)。またSG-2000にあるブリッジ下のサスティーン・プレートも現行モデルの仕様には含まれていません。音の方向性は近づけられますが、同じ設計のギターではないという前提で検討してください。
高中正義はヤマハと契約していたのですか?
契約関係について確認できる一次情報はありません。事実として確認できるのは、ヤマハから高中正義モデルが3機種発売されていること、そしてヤマハ公式サイトのギター・ベース アーティストページに2026年9月9日時点で高中正義の掲載がないことです。ヤマハ公式のSGヒストリーでSG-2000開発の当事者として名前が挙がっているのはカルロス・サンタナで、高中正義ではありません。
サーフボードのようなギターを弾いているのを見たのですが?
サーフボードをくり抜いて作ったギターをライブで使用しているとされます。またフェンダーのリゾネーター・ギターのトップに鉄道模型の線路を敷いたギターや、TAKANAKA STRATOCASTERのプロトタイプにZゲージの線路を組み込んで走らせながら演奏できるギターも知られています。いずれも市販モデルではありません。
最新の使用機材はどこで確認できますか?
ギター・マガジン2026年10月号が高中正義を特集し、2026年9月11日に発売されます。同誌の告知によれば、最新の本人インタビューに加え、1981年のアーカイブ記事、使用機材、サウンドや奏法の分析が掲載される予定です。近年の機材については、こうした専門誌の使用機材ページが、一次情報にもっとも近い情報源です。
まとめ
高中正義のギターを一次情報から整理すると、輪郭はこうなります。最初に手にしたヤマハSGはSG-1000であり、トレードマークのラグーンブルーSG-2000は1979年からの一本。SG-2000というモデル自体はカルロス・サンタナとの共同開発から生まれたもので、SG-175はそのSG-2000へと至る系譜の起点にあたる1974年発売のモデルです。高中正義モデルとして市販されたギターはヤマハ3機種・フェンダー2機種の計5機種で、いずれも現在は新品で入手できません。
音作りについては、2018年のメサ・ブギー TRIAXIS中心の構成から、2025年にはフラクタル・オーディオ FM9とメサ・ブギー Rectifierの併用へと移行しました。その間、コンプレッサーを使うという習慣と、クリーンはストラト、ドライブはSGという役割分担は変わっていません。中古で狙う場合は、まず型番を正しく同定し、次にネックの状態と重量を確認する。この順序で見ていけば、提示された価格が妥当かどうかを自分で判断しやすくなります。
参考文献
ヤマハ「SG - エレキギター - 概要」https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/guitars_basses/el_guitars/sg/index.html
ヤマハ「SG - エレキギター - 仕様」https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/guitars_basses/el_guitars/sg/specs.html
ヤマハ「アーティスト - スペシャルコンテンツ」https://jp.yamaha.com/products/contents/guitars_basses/artists/index.html
ユニバーサル ミュージック「高中正義 BIOGRAPHY」https://www.universal-music.co.jp/takanaka-masayoshi/biography/
イシバシ楽器「高中正義氏 独占インタビュー at イシバシ梅田店」https://www.ishibashi.co.jp/mm/interview/180724_takanaka/
ヤング・ギター「高中正義"2025 黒船出航"直前インタビュー!」https://youngguitar.jp/interviews/masayoshi-takanaka-2025
ヤング・ギター「高中正義、白熱のL.A.公演とニュー・ギターを語る」https://youngguitar.jp/interviews/masayoshi-takanaka-2025-tour-new-guitars
TC楽器「YAMAHA SGの歴史と名機の系譜」https://tcgakki.com/pages/magazine-yamaha-sg-series
K STUDIO「YAMAHA SG 1000RS(高中正義氏使用機)」http://k-studio.music.coocan.jp/takanakasg1000.html
ギター・マガジンWEB「高中正義が表紙で登場! ギター・マガジン2026年10月号が9月11日に発売」https://guitarmagazine.jp/news/2026-0824-gm10-takanaka/
デジマート・マガジン「【フェンダー・カスタム・ショップ】高中正義シグネチャー・ストラト第2弾!」https://www.digimart.net/magazine/article/2014110501163.html
※本記事の記述は2026年9月9日時点で確認した各情報源にもとづいています。価格・生産状況・使用機材は変動するため、購入検討時は最新の情報をご確認ください。
サウンドマニア編集部
楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。


