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向井秀徳のテレキャスターはリアを使わない|使用機材とセッティング【2026年版】

向井秀徳の使用ギター|日本製テレキャスとセンター位置【2026年版】

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サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…

「ポジションはいつもリアですか?」——フェンダーのオウンドメディアでそう聞かれた向井秀徳は、「センターです」と答えています。聞き手自身、向井のスパークするようなサウンドからリアのみで鳴らしているイメージを持っていたと話しており、その想像とは違う答えでした。この記事では、本人インタビューと専門誌の取材記事を中心に、確認できる範囲で向井秀徳のギター、アンプ、エフェクター、そしてセッティングを整理します。

向井秀徳のギターは何が特殊なのか──「オレ押さえ」から考える

機材の話に入る前に、押さえておきたいことがひとつあります。向井秀徳のギターの個性を作っているのは、機材だけでなく左手のコードフォームでもある、という点です。

「オレ押さえ」──人差し指をあまり使わないコードフォーム

向井秀徳のコードフォームには「オレ押さえ」と呼ばれるものがあります。Wikipediaの「向井秀徳」の項は、向井が考案して使っている奏法としてこれを紹介し、特徴に平行7度、1弦・2弦の開放弦を利用すること、人差し指をあまり使わないことを挙げています。

成り立ちについては、同項がギター・マガジン2014年7月号を出典に、向井本人の次のような述懐を紹介しています。3歳ごろにクーラーの室外機に指を突っ込み、左手の人差し指の先を少し欠損している。そのため楽な押さえ方を自然に作っていったのではないか──という趣旨です。

人差し指をあまり使わず、1弦・2弦の開放弦を利用する。一般的なコードフォームとは音の重なり方が変わる押さえ方です。そして本人の説明では、複雑な和音を狙って組み立てたのではなく、楽な方法を自然に作っていった結果ではないか——という順番になっています。

同項によれば、ボーカル面にも、単語や語尾を繰り返して残響を口で表現する「人力ディレイ」と呼ばれる手法があります。左手のフォームと歌の両方に、機材に頼らない仕掛けが組み込まれているわけです。

テレキャスターは「選んだ」のではなく「そうなった」

フェンダーのオウンドメディアFenderNewsに掲載された2017年4月のインタビューで、向井はテレキャスターとの出会いをこう語っています。テレキャスターを使いたいと決めて使い始めたわけではなく、人から借りたテレキャスターを弾いていたら良い感じだと思った、そこからだ、と。そしてテレキャスターを弾くことで自分のスタイルが決まっていった、と続けます。

同じインタビューの見出しになっているのが「テレキャスターしか弾けないんです」という一節です。ジャズマスターを弾くと全く違うと感じて弾きづらい、テレキャスターしか弾けない体になってしまった、という趣旨を述べています。

ちなみに最初に手にしたギターも、お小遣いを貯めて自分で買ったギターも、どちらもストラトキャスタータイプでした。プリンスのファンだった兄はテレキャスタータイプを勧めていたものの、いざ店に行くと「こっちのほうがオールマイティーだから」という理由で覆された、と本人が振り返っています。

長年愛用しているのは日本製のテレキャスター

向井秀徳が長く使ってきたのはフェンダーのテレキャスターです。2017年のFenderNewsのインタビュー記事に掲載された写真には、向井が長年愛用している日本製のテレキャスターである旨のキャプションが添えられています。同じインタビューでは、サントラなどの曲もテレキャスターで書くのかと聞かれ、「今、テレキャスター以外にないからね、ギターが」と答えています。

ただし、この個体のボディ材・ネック材・ブリッジ形式・フィニッシュ色・型番は、キャプションには書かれていません。本記事で参照したほかの本人インタビューや専門誌の取材記事にも記載がないため、ここでは扱いません。

初期に借りて使っていた3本

先ほどの自分で買ったストラトキャスタータイプとは別に、同インタビューで本人が挙げている「人から借りて使っていたギター」は次の3本です。

個体

本人が語っている内容

ストラトキャスタータイプ

最初に手にした1本。これも借り物だった

フェンダージャパンのテレキャスター

NUMBER GIRLを始めたあと、田渕ひさ子の姉が持っていたものを借りて使用。ライブ中に投げてしまい折れた

フェンダージャパンのオールローズウッド

アルバイト先の先輩からの借り物。ナンバーガールの初期のレコーディングで多用し、テレキャスターといえばこのオールローズの印象が強かったと述懐

注目したいのは、このオールローズウッドについて向井が語った続きです。当時初めてローンを組んで購入した自分のアンプとの組み合わせで「これが俺のサウンドだ」と衝撃を受け、それ以来バンドで鳴らすときはずっと同じ組み合わせだ、と述べています。なお、このアンプの機種名はインタビューでは語られていません。

向井にとってのサウンドの原点が、ギター単体ではなくギターとアンプの組み合わせとして語られている点は押さえておきたいところです。

「20本強」と、道具というギター観

インタビュアーから「テレキャスの墓場があるという噂」を向けられた向井は、それはあると認めたうえで、本数は20本強くらいではないかと答えています。回路をいじるのは苦手で面倒だと言い、過去にピックアップをノイズレス・ピックアップに交換しようとして失敗し、配線が壊れたままになっている個体も多いと明かしています。

なお同インタビューは、向井が昔から使っているテレキャスターのピックアップがアメリカンデラックスのノイズレス・ピックアップに交換されている、という聞き手の言葉から始まります。向井はこれを否定せずにシンラインの話へ移っており、換装した個体があることは聞き手の言葉として示されています。ただし、どの個体がそうなのかまでは語られていません。

ギターに対する考え方について、向井は同じインタビューでテレキャスターを「あくまで、道具ですから」と位置づけ、自分にしっくりくる使いやすい道具であるから他のものに変える必要はない、と語っています。2024年2月に公開されたFenderNewsの別の取材でも、フェンダーのギターを自分にとって一番使いやすい“ツール”であり、なくてはならない道具だと述べ、ZAZEN BOYSでは立ってフェンダーのテレキャスターを弾いていると話しています。

20本強の「墓場」と「道具」という言葉からうかがえるのは、1本の名器を守り続けるよりも、同じ機種を弾き続けるなかで個体が入れ替わってきた使い方です。

ソロで使うAmerican Elite Telecaster Thinline

2017年のこのインタビューの時点で、ソロ名義「向井秀徳アコースティック&エレクトリック」でのライブ活動にはAmerican Elite Telecaster Thinlineをメインで使っている、と本人が語っています。同記事のリード文によれば、使い始めたのは前年からでした。

導入の経緯も語られています。以前、人から借りて弾いたシンラインはハムバッカー2基のモデルだったこと。シングルピックアップのAmerican Eliteは弦が裏通しではないため、テレキャスターとは少し違うのかと想像していたが、触ってみるとまさにテレキャスターのサウンドだったこと。そして、ホロウボディのギターはヴィンテージショップで時々格好いいと思うことはあったが、弾けないので鑑賞するだけだった、そこにシンラインがあると知って「これはぜんぜん行ける」と感じた、という趣旨を述べています。実際に使った感想としては、サウンドが上品でバランスが良く、コードを弾いたときに6本の弦が分離してきれいに鳴る印象がある、と評価しています。

一方で、弾いていると1弦が外れて落ちることがあるとも語っています。これは自分の弦高などのセッティングと弾き方に関係があるだろう、という本人の見立てです。この一言は、後で扱うセッティングの話に直結します。

2025年のイベントで弾いたAmerican Ultra II Telecaster

その後の記録として、2025年2月27日にFender Flagship Tokyoで行われたZAZEN BOYSのイベントでは、向井はAmerican Ultra II Telecasterを弾いています。このイベントは、フェンダーのAmerican Ultra IIシリーズの魅力を紹介する企画として行われたものです。

ギター・マガジンWEBのレポートによれば、向井はMCで、チューニングが狂わないこと、搭載されたUltra II Noiselessピックアップが好きで低音から高音までサウンドがまとまること、新品のギターが好きなので弾きやすいこと、コンター加工のおかげでボディの角が肋骨に刺さらないことなどを語りました。

セッティングの実像──セレクターはセンター、トーンは触らない、弦高はベタ付け

2017年のFenderNewsのインタビューでは、セッティングについて本人が具体的に答えています。機材の型番よりも、この部分のほうが再現の手がかりになります。

ピックアップ・セレクターはセンター

「ポジションはいつもリアですか?」という問いに対する向井の答えは「センターです」でした。続けて、フロントは使うことがあるがリアは使わない、基本的に混ざったサウンドが好きだと述べています。

現行の一般的なテレキャスターの3ウェイ・セレクターは、中央の位置でフロントとリアの2基を同時に鳴らします。つまり向井が常用しているのは、リア単体の音ではなく2基のミックスということになります。

リア単体についての本人の見方も語られています。リアのみでもワイルドにはなるが、少し飽和する感じになる。芯をしっかり通すにはフロントとの組み合わせのような気がする──という、推定の形での説明です。あわせて、ハムバッカーだと変わってきてしまう、とも述べています。

トーンは操作しない、ボリュームは8割

トーンについて、向井は「トーンコントロールとかは、まったくしない」と明言しています。一方でボリュームは、8割くらいにして弾く場合もあり、そうするとよりジャキっとする、と語っています。ボリュームコントロールの効き具合が独特なのではないか、という補足もあります。

つまり、手元で音色を作る操作はボリューム側に寄っていて、トーンは動かさない。ギター側のコントロールを再現の手がかりにするなら、見るべきはトーンではなくボリュームの位置ということになります。

弦高の低さと「軋轢サウンド」

向井の弦高は低く、本人の言い方ではベタ付けです。理由は弾きやすさだけではありません。フレットに擦れる感じが「軋轢サウンド」みたいになって、それが気に入っていると語っています。

その代償も本人が認めています。ベタ付けなので2フレットで音が出ないこともあり、ネックにとっては正直あまり良くないセッティングなので、フレットやナットは長く持たない。かなり雑に扱っているかもしれない、とも述べています。ネックがどうにもならなくなって使わなくなった個体も多い、という発言もあります。

先ほどのシンラインで1弦が外れるという話について、本人は自分の弦高セッティングと弾き方に関係があると思う、と語っていました。ただしこちらは音として楽しんでいるわけではなく、外れるたびに直さなければならないので今後フェンダーに調整してもらう、とも述べています。フレットに擦れる音は取り込み、弦が外れる不具合は直す。同じ低い弦高から生じる現象でも、扱いは分かれています。

本人発言で確認できるセッティング

項目

本人が語っている内容

ピックアップ・セレクター

センター。フロントは使うことがあるが、リアは使わない

トーン

まったく操作しない

ボリューム

8割くらいに絞って弾く場合がある

弦高

低い。本人の表現ではベタ付け。2フレットで音が出ないこともある

弦高が低い理由

弾きやすさに加えて、フレットに擦れる「軋轢サウンド」が気に入っているため

ピックアップの種類

ハムバッカーだと変わってきてしまう、と述べている

メンテナンス面

ネックに良いセッティングではなく、フレットやナットが長く持たないと自認

一方、EQの数値、ピックの型番、弦のゲージは、本記事で参照した本人インタビューには出てきません。これらを示した資料に当たる際は、その出所もあわせて見ておくと判断しやすくなります。

アンプとエフェクター──AC30からUAFXへ、リハーサルはRoland JC

アンプについては、サウンド&レコーディング・マガジンのウェブメディア「サンレコ」が2024年2月に公開した、アルバム『らんど』制作についてのインタビューが手がかりになります。向井は同作でプロデューサーとエンジニアを兼ねており、機材の話が具体的です。

VOX AC30と、リハーサル常用のRoland JC-77

『らんど』におけるギターの音作りの要として向井が挙げたのは、UNIVERSAL AUDIOのアンプ・エミュレート・ペダル2機種でした。

  • UAFX Ruby '63 Top Boost Amplifier──VOX AC30をモデリングしたものであろう、と本人が説明

  • UAFX Dream '65 Reverb Amplifier──Fender Deluxe Reverbをモデリングしたものであろう、と本人が説明

ここで重要なのが、その理由として語られた一言です。大きなアンプを地下のスタジオに持ち込まなくても再現できるようになった、今までは実際にAC30をわざわざスタジオに持ち運んで鳴らしていたから──と述べています。つまり向井は、UAFXを導入する以前、実機のVOX AC30をスタジオに持ち込んで鳴らしていたことになります。

さらに向井は、やはり実際のアンプでも鳴らしたいと考え、普段からリハーサルでずっと使っているRoland JC-77を組み合わせたと語っています。JC-77から出た音はSENNHEISER e 906で収録されました。記事に掲載された写真では、JC-77の上にUAFXの2台とBOSS DI-1、SONY MDR-CD900STが置かれています。

なお、ZAZEN BOYSのもうひとりのギタリスト、吉兼聡の機材は向井とは別系統です。後述する2022年のDL4 MkIIセッションを取材したギター・マガジンWEBの記事では、吉兼の使用アンプはMarshall JCM-2000 DSL 100、ギターはフェンダー・ストラトキャスターと記されています。『らんど』では、吉兼はUAFX Woodrow '55 Instrument Amplifierを使った、と向井がサンレコで語っています。

Line 6 DL4──長年の愛用と、4台構成のセッション

エフェクターのなかで、本人が長く使ってきたと語っているのがLine 6のディレイ・モデラーDL4です。ギター・マガジンWEBは2022年4月と5月、DL4 MkIIの登場を記念した向井と吉兼のセッションを2本の記事で取り上げており、そこで向井をDL4の愛用者として紹介しています。

4月の記事のインタビューで、向井は長年DL4を使ってきたのでMkIIも抵抗なく使えたと語り、DL4はライブだけでなくレコーディングのアウトボードとしても相当使った、とも述べています。評価しているのは、ツマミを回せばすぐに効き、耳で聴いた音に即座に反応できる点です。

5月の記事によれば、この収録で向井が使ったシステムは、初代DL4を含めて計4台という構成でした。

2022年のDL4 MkIIセッションでの信号系統

ギター → ペダルボード → A/Bボックスで信号を分岐

  • 片側:DL4 → DL4 MkII 2台 → Roland JC-120

  • もう片側:DL4 MkII 1台 → Fender Twin Reverb

A/Bボックスで2台のアンプへの経路を分け、それぞれに異なるディレイ処理をかける構成です。JC-120側の1台目にはHARMONY、GLITCH、ELEPHANT MANが、2台目にはADT、HELIOSPHERE、COSMOSが登録され、Twin Reverb側はモジュレーションを加えたLooperモードでセッティングされました。

この構成はあくまでこの収録セッションのもので、常設のライブ・システムとして記録されたものではありません。5月の記事も、セッション中はツマミを自由に動かして演奏しているため、掲載されたプリセットだけで弾いているわけではないと断っています。

複数台を同時に使ったことについて、4月の記事のインタビューで向井は「今回、私のところで複数台のDL4 MkIIを同時に使わせてもらった」と振り返り、ギタリストが2人いる場合に異なるセッティングのDL4 MkIIでアンサンブルを作るのも面白いかもしれない、とアイデアを語っています。

『らんど』の楽曲で語られた機材

サンレコのインタビューでは、収録曲ごとに使用機材が語られています。本記事で参照した資料のなかで、楽曲と機材が本人の言葉で結びついているのはこの記事だけです。

楽曲

本人が語っている機材と使い方

DANBIRA

イントロのギターについての質問に対し、アルバムの音作りの要としてUAFX Ruby / UAFX Dream を挙げ、Roland JC-77も実際に鳴らしてSENNHEISER e 906で収録したと説明

ブッカツ帰りのハイスクールボーイ

轟音ギターに electro-harmonix Green Russian Big Muff。吉兼聡に「ずぶ濡れになって弾け」と伝えて仕上がった、と語っている

YAKIIMO

MXR M169 Carbon Copy Analog Delay を発振させて使用。音が近づいてくる部分は、DAWのオートメーションではなく録音時のボリューム操作をそのまま使っている

黄泉の国

KORG Polysix。手弾きしたものを録音

このように、『らんど』で向井が挙げた機材は、アンプ・エミュレーターとJC-77、ファズのBig Muff、ディレイの発振、シンセと、曲ごとに役割が分かれています。「ブッカツ帰りのハイスクールボーイ」については、ディレイや残響で聴いた人の思い出を蘇らせたかった、という趣旨も語っています。

拍子の考え方──「8ビートのマイナス」

機材からは少し離れますが、向井のリズム観を示す発言もサンレコに残っています。ZAZEN BOYSの場合は変拍子というより「8ビートのマイナス」という考え方だ、8まで数えるのを待てない、先に行こうという心持ちが影響している──という説明です。

変拍子を組み立てるのではなく、8まで数えるのを待ちきれずに先へ進む。本人のこの言い方は、ZAZEN BOYSの曲の拍を追いかけるときの手がかりになります。

中古で「向井的な機材」を探すときの見方

ここまでの本人発言を踏まえると、中古で探すときに見るべき点がはっきりしてきます。向井が長年愛用してきたと紹介されたのは日本製のテレキャスターで、2017年のインタビュー時点ではソロでAmerican Elite Telecaster Thinline、2025年のイベントではAmerican Ultra II Telecasterも弾いています。生産国や年代よりも、弦高をどこまで下げられる状態かを優先して見るほうが、この人のセッティングに沿った探し方になります。

本記事では、実測にもとづく相場レンジを掲載していません。金額の代わりに、状態の見方と比較の手順を示します。

テレキャスターはネックとフレットから見る

初期に借りて使っていた2本がフェンダージャパン製だったこともあり、日本製のテレキャスターは候補に入りやすいはずです。ただし、まず見るべきは年式やシリアルよりも次の実用面です。

  • ネックの状態──順反り・逆反り、ねじれの有無。トラスロッドにまだ調整の余地が残っているか

  • フレットの残り──特に1〜5フレット付近の減り。すり合わせ済みか、次の打ち替えまでどれくらいか

  • ナットの摩耗──溝が深くなりすぎていないか

  • 電装系──ポットやスイッチのガリ、ジャックの緩み

  • ピックアップの素性──交換歴の有無。オリジナルか、社外品か

ネックとフレットの項目を上に置いたのには理由があります。向井のように弦高をベタ付けに近いところまで下げて使うと、少しの順反りやフレットの凹凸がそのままビビりや音切れになるからです。本人もフレットやナットが長く持たないと語っていました。弦高を下げて使う前提なら、ネックとフレットの余裕は価格以上に重要な判断材料になります。

アンプは「AC30系」か「JC系」か

本記事で取り上げた向井のアンプには、真空管のVOX AC30と、ソリッドステートのRoland JCシリーズ(JC-77、JC-120)が繰り返し登場します。中古で探すなら、この2系統で考えると整理しやすくなります。どちらを選ぶかで、中古で見るべきポイントも変わります。

項目

VOX AC30系(真空管)

Roland JC系(ソリッドステート)

確認したい消耗部品

真空管(整流管を積むモデルでは整流管も)、電解コンデンサー、スピーカー

スピーカー、ポットやスイッチ(ガリ)

購入後にかかりやすい費用

真空管の交換、経年による電解コンデンサーの交換(いずれも修理業者での作業)

真空管の交換はない。ジャックやポットの清掃・交換が中心

重量・運搬

真空管とトランスを積むため重い

機種によって大きさと重量の幅がある

試奏で確認したい点

暖まったあとのノイズ、ハム、音量ムラ

コーラスとビブラートの動作、両チャンネルの音量差

なお、真空管アンプの内部は高電圧が残る箇所があり、電源を切ったあとも危険が残ります。内部の点検や部品交換は、必ず専門の修理業者に依頼してください。中古で買う際は、直近のメンテナンス履歴を販売店に確認できるかどうかが、そのまま安心材料になります。

『らんど』の制作で向井がUAFXを使った理由として語っているのは、大きなアンプを地下のスタジオまで運ばずに済むことでした。その一方で実際のアンプでも鳴らしたいと考え、JC-77を組み合わせています。置き場所や搬入の制約を抱えている人にとっては、この折り合いのつけ方が参考になります。

DL4は操作系とスイッチまわりを見る

Line 6 DL4には初代とMkIIがあり、中古で初代を選ぶ場合は、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。

  • フットスイッチの反応(踏み込みの引っかかり、反応しないスイッチがないか)

  • スイッチまわりのガード部品の状態(向井も、Line 6製品で踏むスイッチのガード部分がたまに外れることがあったと語っている)

  • ノブの欠けやガリ

  • 電源アダプターの付属有無と規格

  • タップテンポの動作

向井がDL4を評価していたのは、ツマミを回せばすぐに効く点でした。中古の個体でも、ノブを回したときに音が途切れたりガリが出たりしないかを、実際に音を出して確かめておくと安心です。なお、2022年のセッションの4台構成は、DL4 MkIIを複数台使わせてもらった収録でのもので、向井の常設システムとして記録されたものではありません。

NUMBER GIRLとZAZEN BOYSの活動年表

機材の時期を追ううえで前提になる活動歴を整理します。結成から再解散まではNUMBER GIRL公式サイトの記載、ZAZEN BOYSの現体制と『らんど』についてはサンレコとOTOTOYの記事によります。

年月日

事項

1995年

NUMBER GIRL、福岡にて結成

1997年11月6日

1stアルバム『SCHOOL GIRL BYE BYE』

1999年5月26日

シングル『透明少女』を東芝EMIよりリリースしメジャーデビュー

1999年7月23日

アルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』

2000年7月19日

アルバム『SAPPUKEI』

2002年4月26日

アルバム『NUM-HEAVYMETALLIC』

2002年11月30日

札幌PENNY LANE 24 公演をもって解散

2003年

ZAZEN BOYS結成。並行して向井秀徳アコースティック&エレクトリック名義でソロ活動開始

2018年5月

ZAZEN BOYS、ベースにMIYAを迎え現体制に

2019年2月15日

NUMBER GIRL、オリジナルメンバーでの再結成を公式サイトで発表

2022年8月13日

RISING SUN ROCK FESTIVALに出演し、ステージ上で再度の解散を発表

2022年12月11日

ぴあアリーナでの公演「NUMBER GIRL 無常の日」をもって再度解散

2024年1月24日

ZAZEN BOYS『らんど』(前作『すとーりーず』から約12年ぶり)

本記事で参照した資料のうち、機材について本人が具体的に語っているのは、2017年のFenderNewsインタビュー、2022年のギター・マガジンWEBのセッション記事、2024年のサンレコのインタビューなどで、いずれも2002年の解散より後に公開されたものです。ナンバーガール期のギターについては、2017年のインタビューで借りていたテレキャスターやオールローズウッドを振り返っていますが、当時のアンプの機種名やエフェクターまでは語られていません。

よくある質問

長年愛用しているテレキャスターの型番は分かりますか?

本記事で参照した資料には記載がありません。2017年のFenderNewsの掲載写真から、長年愛用しているのが日本製のテレキャスターであることは確認できますが、シリーズ名や型番までは書かれていません。型番まで分かるのは、2017年のインタビューで語られたソロ用のAmerican Elite Telecaster Thinlineと、2025年のイベントで弾いたAmerican Ultra II Telecasterです。特定の型番を示す資料に当たる際は、その根拠もあわせて確認しておくと安心です。

ピックアップ・セレクターはリアとセンターのどちらですか?

セレクターはセンターです。フロントを使うことはあるものの、リアは使わないと本人が明言しています。現行の一般的なテレキャスターではセンター位置で2基のピックアップが同時に鳴るため、向井が常用しているのはミックスされた音ということになります。

アンプのEQセッティングは公開されていますか?

本記事で参照した資料には、数値の記載はありません。確認できるのは、使ってきた機種(VOX AC30、Roland JC-77、UAFX Ruby / Dreamなど)と、ギター側でトーンを操作せずボリュームを8割程度に絞る場合があるという運用面までです。

ピックや弦のゲージは分かりますか?

ピックの型番や弦のゲージは、本記事で参照した本人インタビューには出てきません。一方で、弦高をベタ付けにしていることと、その結果としてフレットやナットの消耗が早いことは本人が語っています。

使わなくなったテレキャスターは、中古で買い取ってもらえますか?

ネックの反りやフレットの摩耗、電装系の不具合があっても、買取の対象になる場合があります。判断の分かれ目になりやすいのは、トラスロッドに調整の余地が残っているか、ネックにねじれがないか、といった修理可否に関わる点です。査定に出す前に自分で分解や修理を試みると、かえって評価が下がることがあります。状態の説明とあわせて、そのまま相談するほうが確実です。

中古楽器の売買に関する制度上の注意

警察庁の「古物営業法等の解釈運用基準」では、古物を売却することのみを行う営業は規制の対象外とされる一方、営利目的で古物の買取りを反復継続して行う場合は、副業であっても古物営業に当たるとされています。個別の取引が該当するかどうかは実態に即して判断されるため、転売を続ける予定がある場合は所轄の警察署に確認してください。売却で得た収入の税務上の扱いは、税務署または税理士にご確認ください。

まとめ

本人インタビューと専門誌の取材記事から確認できることを、あらためて並べます。

  • 長年愛用しているのは日本製のテレキャスター。ボディ材や型番は、参照した資料に記載がない

  • セレクターはセンター。リアは使わないと本人が明言している

  • トーンは操作せず、ボリュームを8割程度に絞る場合がある

  • 弦高はベタ付けで、フレットに擦れる「軋轢サウンド」が気に入っていると語っている

  • アンプはVOX AC30を実機で運んで使ってきたが、『らんど』ではUAFX Ruby / Dreamを音作りの要に据えた。リハーサルではRoland JC-77を常用

  • ディレイはLine 6 DL4を長年使用。ライブだけでなくレコーディングのアウトボードとしても使ってきた

  • ギターは「あくまで、道具」。使わなくなったテレキャスターは20本強ぐらいだという

そして、向井のギターの個性を語るうえで外せないのが「オレ押さえ」という左手のフォームです。人差し指をあまり使わず、開放弦を利用するコードの押さえ方です。もっとも本人は、テレキャスターを弾くことで自分のスタイルが決まっていった、とも語っています。どちらが先かというより、左手と道具が互いを形づくってきた、という言い方のほうが近いのかもしれません。

機材を揃えるのと同じくらい、左手のフォームと弦高にも目を向けておくと、この人の音の成り立ちが見えやすくなります。そして向井自身が語っているとおり、ギターは道具です。自分の弾き方に合う個体を探していくほうが、この人のやり方には沿っているのかもしれません。

本記事は個人の使用経験に基づく情報です。楽器・機材の使用に際しては、取扱説明書や専門家の指示に従い、安全にご注意ください。

サウンドマニア編集部

楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。

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