
松原正樹のギターはES-335とMD G1|機材全リストと足元【2026年版】
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松原正樹とは──1万曲を超えるレコーディングに参加したセッション・ギタリスト
松原正樹(まつばら まさき)は、日本のポップスの録音現場を70年代後半から支え続けたセッション・ギタリストです。オフィシャルサイトのプロフィールによれば1954年に福井県武生市(現在の越前市)で生まれ、中学でブラスバンドのトロンボーンを始め、中学2年でギターと出会いました。高校卒業とともに三重県の合歓の郷にあったネム音楽院へ進みますが、講師の助言で半年後に上京。米軍キャンプのバンドなどを経て、スタジオ・ワークの世界に入ります。
ビクターエンタテインメントの公式プロフィールは、1974年にハイ・ファイ・セットに参加して約2年間活動し、同じ頃に上田正樹のプッシュ&プルにも加わっていたこと、当時の歌番組が生演奏だったためにレコード会社のプロデューサーからレコーディングに呼ばれるようになった経緯を記しています。オフィシャルサイトは参加楽曲が1万曲を超えると明記しています。ビクターの同プロフィールは、その範囲が松任谷由実、松山千春、さだまさし、松田聖子、中森明菜、小泉今日子などジャンルを問わず広がっていたことを挙げています。
ソロ、PARACHUTE、そして2016年
自身の活動としては1978年に初のリーダー・アルバム『流宇夢サンド』を発表し、その後21枚のソロ作をリリース。1979年には林立夫、斉藤ノブ、今剛らと“PARACHUTE”を結成し、4枚のアルバムを残しています(出典:デジマート・マガジン掲載のプロフィール)。2000年には自らインディーズ・レーベル“Rocking Chair Records”を立ち上げ、打ち込みを使わない生演奏をテーマにした“HUMARHYTHM”シリーズを発表し続けました。
ギター・マガジンWEBは、松任谷由実の作品に最も多く参加したファーストコールとして松原を挙げ、『14番目の月』(76年)から2000年代の作品まで28作のアルバムで演奏していること、「中央フリーウェイ」のメロウなバッキングから「真珠のピアス」のフラットなタッチのカッティングまで、伴奏表現の幅が際立っていたことを紹介しています(出典:ギター・マガジンWEB「ユーミンのギター名演プレイリスト」)。
2016年2月8日、がんのため61歳で逝去(出典:SPICE/音楽ナタリー配信の訃報)。この記事では、本人のオフィシャルサイトが公開している使用機材ページと、生前最後の年に受けた機材インタビューという二つの一次情報をもとに、松原正樹が実際に手にしていたギターとシステムを整理します。
メインギターはGibson ES-335──メーカーが明かした設計の出発点
オフィシャルサイトの使用機材ページは、松原の所有機材を写真付きで一覧にしています。その冒頭2枚がGibson ES-335で、1本目には「GIBSON ES-335 58年」、2本目には「GIBSON ES-335」というキャプションが添えられています。並び順だけでメイン機を断定することはできませんが、これを裏づける記述がメーカー側に残っています。
メーカーが書いている「メインギター」 後述するMD-Premier G1の製品ページには、松原のメインギターがGibsonのヴィンテージES-335であるため、持ち替えたときに同じポジショニングで弾けるよう、この種のギターには珍しいミディアム・スケールを採用した、という設計経緯が記されています(出典:クエストインターナショナル「MD-Premier G1」製品ページ)。シグネチャー・モデルの設計思想そのものが、ES-335を基準に組み立てられていたわけです。
ES-335はギブソンのセミアコースティック・モデルで、中空のボディの中央にメイプルのセンターブロックを通した構造を持ちます。フルアコースティックほどハウリングに敏感ではなく、ソリッドボディほど硬質でもない中間的な構造で、ジャズからロックまで幅広い現場で使われてきたモデルです。
松原正樹のメイン機を1本に絞るなら、それはGibsonのヴィンテージES-335です。シグネチャー・モデルの仕様がES-335からの持ち替えを前提に決められていたという事実が、その位置づけをもっともよく示しています。
MD-Premier G1──松原正樹と大和俊夫が作り上げたシグネチャー
晩年の松原正樹を象徴するギターが、MD MM-ProduceのG1です。ブランドを展開するクエストインターナショナルは、ブランドページで「ロック/フュージョン志向のMD-MM Produce、元々はスタジオミュージシャン松原氏向けのギターから始まった」と説明しています。プロデューサーの大和俊夫(Toshio Owa)が楽器製作で得た知識と、松原のこだわりを持ち寄って完成したのがMD-G1であり、そこから派生したG1/R、G7/Q、SE01/N、SA-101といったモデルがラインナップに加わった、という順序です。
製品ページには、二人が酒を飲みながら「俺たちが死んでもメイドジャパンオリジナルで後世に残るギターを作ろう」と話したことが出発点だった、というエピソードも書かれています。
この関係はG1から始まったものではありません。大和は2016年の告知文で、松原とはAria-PEから始まりMD-G1に至るまで一緒に携わることができた、と振り返っています。池部楽器店が公開した大和の経歴には、1978〜79年にマツモクの社員のまま荒井貿易へ出向し、その時期に松原正樹のテックを務めたこと、1987年から1996年にかけて荒井貿易でARIAのPE/SBの復活と高級ラインAPシリーズの立ち上げに携わったことが記されています(出典:イケシブ「大和俊夫(クエストインターナショナル社代表)無料診断会」)。松原の使用機材ページにARIA PRO PE Prototype、AP MA Custom-made、AP PE-04CSTが並んでいるのも、この流れの中にあります。
MD-Premier G1の仕様
項目 | 仕様 |
|---|---|
ボディ | キルテッド・メイプルのアーチドトップ+マホガニー・バック、ホロウチェンバー構造(Fホール付き) |
ネック | マホガニー+メイプル+マホガニーの3ピース、セットネック |
指板 | エボニー、ゼロフレット仕様 |
スケール/フレット | 24.75インチ(ミディアム・スケール)/22フレット |
ペグ | GOTOH SGS510Z Magnum-Lock |
トレモロ | GOTOH EV510T-FE |
ピックアップ | MM-Produce製 M-1(フロント/リア)。アルニコ4号を使用し、粘度の異なるワックスを2度含浸 |
コントロール | MM-Produce製 VST-1回路(ダブル5wayレバースイッチ) |
その他 | Q-Parts製アバロン・ノブ、指板のアバロン・ポジションマーク |
納期 | 受注生産、3〜4か月 |
出典:クエストインターナショナル「MD-Premier G1」製品ページ(2026年9月15日確認)
特徴的なのがVST-1回路です。ダブル5wayレバースイッチにより、2基のハムバッカーでありながらシングルコイル的なハーフトーンまで作れる設計で、メーカーはポジションごとの内容を次のように公開しています。
ネック側ハムバッキング
ネック側シングル
ネック&ブリッジ ハムバッキング(このポジションにコイルタップ・スイッチ)
ブリッジ側シングル
ブリッジ側ハムバッキング
ハムバッカー2基の構成でありながらフェンダー系のハーフトーンまで射程に入れる、という設計要求は、前述の「ES-335から持ち替えても違うフィールドの音が出せる1本を」という発想と地続きになっています。1本で幅広いジャンルを弾き分けるスタジオ・ワークの要求が、そのまま回路の仕様に落とし込まれています。
シグネチャー・モデルとしての生産は2016年に終了している
ここは正確に区別しておく必要があります。クエストインターナショナルは松原の逝去を受け、2016年2月13日をもってMD-G1 Signature modelの生産を中止すると告知しました。サインが永遠に入らないため、シグネチャー・モデルとしての生産は終了する、というのがその理由です。ただし同じ告知の中で、類似の個別モデルの販売は継承していくとも述べています(出典:クエストインターナショナル「松原正樹Signature model 生産終了」2016年2月13日)。
現在オーダーできる「MD-Premier G1」は、この継承にあたるモデルです。製品ページは、MD-G1が布川俊樹らによって引き継がれていること、松原正樹と同じモデルであるMD-Premier G1が受注生産であること、そしてG1/R(Reborn)が汎用価格帯のモデルとして展開されていることを記しています。ブランドページには、松原のほか岡沢章、村上聖、布川俊樹といったミュージシャンの使用も挙げられています。
2022年7月には池部楽器店イケシブで「松原正樹のサウンドを支えたギター達」と題した実機展示が行われ、告知文ではG1を松原の代名詞と表現したうえで、実機の展示日を限定して案内していました(出典:イケシブ イベントページ)。
Varita U.S. Soltar 松原正樹Model──LA製のシグネチャー
公式の使用機材ページには、Varitaのギターも3本掲載されています。「VARITA U.S.Soltar Masaki-Matsubara Signature」「VARITA U.S.Soltar Masaki-Matsubara Model Ver.2」、そして「VARITA LP Prototype」です。
日本総代理店であるミュージックスターのサイトによれば、松原正樹Modelはボディにキルテッド・メイプル5mmトップとアルダー3ピース・バックを組み合わせ、メイプル・ネックにローズ指板、ゼロフレット位置で7.25インチR、22フレット位置で10インチRというコンパウンド・ラジアスを持つ仕様です。ピックアップはフロントとリアにTom Holmes、センターにJohn Suhr、ブリッジはWilkinson VS-100、ペグはGOTOH SG-381-07HC。塗装はパット・ウィルキンス、製作はLAハリウッドのPerformance Guitarのケニー・スガイが手がけています(出典:Varita 日本総代理店「松原正樹model」)。
通称「オレンジ2号」と呼ばれるVer.2については、1号機との違いが総代理店サイトに明記されています。ネック材とボディ材を変更してよりホットでウォームなサウンドを狙ったこと、センター・ピックアップはカッティング専用にリンディ・フレイリンが特別仕様で巻いた特注品であること、ネック幅を1号機より細めに設定したことの3点です。スケールは25 1/2インチ(647mm)で、マホガニー・ネック+マホガニー1ピース・バックという構成になっています。
入手状況(2026年9月15日確認) 総代理店サイトでは、1号機仕様のVarita U.S. Soltar Exclusive 松原正樹 Modelに「現在、生産休止中」と記載されています。Ver.2は受注生産で納期5〜6か月、価格はトップ材によって異なるため問い合わせが必要、という案内です。
公式サイトが公開している使用機材リストの全体像
使用機材ページには、エレクトリックからアコースティック、ガット、特殊楽器まで数十点が掲載されています。セッション・ギタリストがどれだけ多様な音色を求められていたかが、そのままリストに表れています。
カテゴリー | 掲載されているモデル |
|---|---|
ギブソン | GIBSON ES-335 58年/GIBSON ES-335 |
MDを冠するもの | MD MM-Produce G1/MD Premier G2 SSH/MD Premier G2 HSH/MD Premier G2 SSS/MD music drive |
Varita | VARITA U.S.Soltar Masaki-Matsubara Signature/同 Model Ver.2/VARITA LP Prototype |
その他のエレクトリック | COMBAT ST Worme/DUNCAN Custom-made/DUNCAN DS/女神工房 Custom-made(2本)/SCHECTER TE Type(2本)/VESTAX Custom-made/MOON SSH/GUARDIAN Custom-made/ESP Custom-made(2本)/B.C.RICH Eagle/SUGI DH496EM/TT/Landscape AR101/LANDSCAPE SPT Artist |
アリア系の表記 | ARIA PRO – 12str./ARIA PRO PE Prototype/AP MA Custom-made/AP PE-04CST |
アコースティック/ガット | TACOMA ECK-38C/CM28C/P-1(パプーズ)/DR20/DM1812/OVATION Elite 1768/OVATION Classic Cutaway/Taylor 6152/breed love Performance Bossanova 8491/Giannini/A.Burgud/Camps/Godin Duet Nylon/HNOS UAZQUEZ/Travel Guitar(旅用組み立てギター) |
その他の楽器 | DE ARMOND Ashbory(特殊弦フレットレスベース)/Combat JB/SELVA Tim Donahue Model/JERRY JONES Electric Sitar/K.ALOHA(ウクレレ) |
出典:松原正樹オフィシャルサイト「使用機材」(2026年9月15日確認。表記はページ掲載のまま)
同じページには機材そのものの写真も並んでいます。「70年代に制作したマルチエフェクターBOX」とその中身を写した2枚、「PACIFIXで組んでもらった足元」、そして「PEのケース懐かしいPARACHUTE時代」という4点です。このキャプションから、PARACHUTE期にPEを手にしていたことがうかがえます。前述のとおりメーカー側も松原との関わりが「Aria-PEから始まった」と記しており、両者は整合します。70年代に制作されたマルチエフェクターBOXの写真が残っている点も、システム志向の早さを示す資料です。
2015年のシグナル・チェーン──Providence PEC-2を中心にしたシステム
松原正樹の足元は、逝去の前年である2015年9月にデジマート・マガジンで実機とともに公開されています。同記事は本人がプログラマブル・スイッチャーProvidence PEC-2を解説したもので、ペダルボードの全ループの中身が明示されました。推定ではなく、本人取材にもとづく記録です。
接続 | 機材 | 役割 |
|---|---|---|
ギター | MD MM-Produce G1 | シグネチャー・モデル |
スイッチャー | Providence PEC-2 | システムの中心 |
ループ1 | Roger Mayer Vision Wah | ワウ・ペダル |
ループ2 | Providence Velvet Comp | コンプレッサー |
ループ3 | Chocolate Electronics Velvet Driver | オーバードライブ(軽め) |
ループ4 | Providence Red Rock OD | オーバードライブ(深め) |
ループ5 | Zoom MS-100BT → Shin's Music Perfect Volume | マルチFX → ボリューム・ペダル |
ループ6 | Providence Anadime Chorus | コーラス |
ループ7・8 | Mesa/Boogie TriAxis/tc electronic G-Major2/Palmer PDI-05/Rocktron Velocity100LTD/Carvin G212GE | プリアンプ/ラック式マルチFX/スピーカー・シミュレーター/パワーアンプ/キャビネット |
出典:デジマート・マガジン「松原正樹 plays Providence PEC-2」(2015年9月20日公開)
同記事によれば、バンク1をアンプのクリーン、バンク2をクランチという具合に、バンクごとにアンプの歪みを設定し、そこへ各エフェクトを重ねる運用でした。プリアンプとパワーアンプ、キャビネットを分けたラック主体の構成で、スピーカー・シミュレーターを経由してラインでも出せる設計になっています。
本人はPEC-2について、コンパクト・エフェクターのコントロール、アンプのチャンネル切り替え、MIDIによるラック式マルチのコントロールまでを足元だけで行っていると語っています。プログラミング・システムは以前からいろいろ試したが、使いにくかったりエラーが多かったりして思うような製品に出会えなかった、というのが導入の背景でした。
ギター1本から始まってラックのパワーアンプまでを1台のスイッチャーで統括する。2015年の松原正樹のサウンドは、この「システムとして組み上げる」発想の上に成り立っていました。
本人が語っていた音づくりの考え方
同じインタビューで、松原は音質について問われて「きちんと使っていれば、音質の劣化やノイズはまったく気になりません」と答え、その「きちんと使う」の中身をケーブルの話として説明しています。ギターから出る最初のケーブルはもちろん大事だが、ボード内のパッチ・ケーブルでも音は相当変わる、という指摘です。良いギターやアンプ、エフェクターにお金をかけても、そこをおろそかにすれば良い音にはならない、とも述べています。
もうひとつ、ノイズの相談を受けることが多いという話の中で、相談者のシステムを見るとものすごい数のエフェクターを直列でつないでいることがある、それではギターやアンプ、エフェクターの良さが活かしきれない、と語っています。ループ・スイッチャーで必要なペダルだけを信号経路に入れる前掲のシステムは、この考え方をそのまま形にしたものといえます。
機材選びの話でありながら、語られている内容の中心は信号経路の扱いに置かれています。松原正樹が公の場で語り残した音づくりの要点は、特定のペダルの銘柄ではなく、つなぎ方と配線の質にありました。
松原正樹の使用モデルは今も手に入るのか
シグネチャー2ブランドの現在の入手経路を、メーカー・総代理店の公開情報と、中古市場の出品状況の両面から整理します。
新品・受注生産で買えるもの
モデル | 価格・供給形態 | 出典 |
|---|---|---|
MD-Premier G1 | オープンプライス(受注生産/納期3〜4か月) | クエストインターナショナル製品ページ |
MD-Premier G1 / M | 税込330,000円 → 直販特別価格 税込297,000円 | 同ブランドページ |
MD-G7 / Q | 税込264,000円 → 直販特別価格 税込237,600円 | 同ブランドページ |
MD-G1 / FM Fujimaru Signature | 税込330,000円 | 同ブランドページ |
Varita U.S. Soltar 松原正樹 Model(1号機仕様) | オープンプライス/現在、生産休止中 | Varita 日本総代理店 |
Varita U.S. Soltar 松原正樹 Model Ver.2 | 受注生産(納期5〜6か月)/価格はトップ材により変動 | Varita 日本総代理店 |
いずれも2026年9月15日時点で各サイトに掲載されていた内容です。
中古市場の出品状況
2026年9月15日にデジマートで「MD-Premier」「Varita Soltar」を検索し、新品/中古を区分して掲載状況を確認しました。結果は次のとおりです。
検索語 | 中古の掲載 | 新品の掲載 |
|---|---|---|
MD-Premier | 1件(MD-G1/R G1 Reborn/掲載価格188,000円) | 18件(掲載価格107,250円〜495,000円) |
Varita Soltar | 3件(Soltar Standard 5053が2件、今剛Modelが1件)。松原正樹Modelの中古掲載はなし | 2件 |
デジマート掲載価格ベース。成約価格・買取価格ではありません。
本記事では、実測にもとづく中古相場レンジを掲載していません。 上記のとおり中古の掲載が1〜3件にとどまり、レンジとして示せるだけの母数が得られなかったためです。価格の代わりに、下の確認項目を判断材料としてご利用ください。
中古で探すときの確認項目
シリーズ名を正確に切り分ける──MD-Premier G1(受注生産)、G1/R(Reborn)、G1/FM(Fujimaru Signature)、G2、G4、G7は別のモデルです。出品タイトルの型番を最後まで読んでください。
ゼロフレットの状態──G1はゼロフレット仕様のため、ここが摩耗すると開放弦の状態に影響します。フレット全体の残量とあわせて確認を。
電装系が純正か──G1のVST-1回路とM-1ピックアップはこのモデル専用の設計です。交換歴があれば音も評価も変わります。
トレモロ・ユニットとロック式ペグ──GOTOH EV510T-FE、SGS510Z Magnum-Lockが載っているか。部品が替わっていればチューニングの安定性の前提も変わります。
Varitaは仕様の個体差が大きい──受注生産でトップ材やカラーを変更できるモデルのため、同じ「松原正樹Model」でも内容が一致するとは限りません。
上の実測のとおり、掲載数で見れば中古よりメーカー直販・取扱店の新品/受注生産のほうが選択肢が多い状況でした。中古を狙う場合は、型番の枝番まで確認することが最初の関門になります。
よくある質問
松原正樹のメインギターは何ですか?
Gibsonのヴィンテージ ES-335です。オフィシャルサイトの使用機材ページでも冒頭に「GIBSON ES-335 58年」「GIBSON ES-335」の2本が並び、シグネチャー・モデルであるMD-Premier G1の製品ページにも、松原のメインギターがGibsonのヴィンテージ335であることを前提に設計した旨が記されています。
松原正樹のシグネチャーモデルはありますか?
ありました。MD MM-ProduceのMD-G1と、VaritaのU.S. Soltar Exclusive 松原正樹 Model(およびVer.2)です。ただしMD-G1は、松原の逝去に伴いシグネチャー・モデルとしての生産が2016年2月13日で終了しています。継承モデルにあたるMD-Premier G1は受注生産で注文でき、Varitaは1号機仕様が生産休止中、Ver.2が受注生産という状態です(2026年9月15日時点)。
松原正樹はどんなエフェクターを使っていましたか?
2015年時点では、Providence PEC-2を中心に、Roger Mayer Vision Wah、Providence Velvet Comp、Chocolate Electronics Velvet Driver、Providence Red Rock OD、Zoom MS-100BT、Shin's Music Perfect Volume、Providence Anadime Chorusを各ループに接続し、ラック側にMesa/Boogie TriAxisとtc electronic G-Major2を置く構成でした。詳細は本文の「2015年のシグナル・チェーン」をご覧ください。
松原正樹はどのアーティストの作品に参加していますか?
ビクターエンタテインメントの公式プロフィールは、松任谷由実、松山千春、さだまさし、辛島美登里、徳永英明、岡村孝子、永井真理子、松田聖子、中森明菜、小泉今日子、光GENJIなどを挙げ、参加曲数は1万曲を超えるとしています。松任谷由実の作品については、ギター・マガジンWEBが『14番目の月』以降28作のアルバムでの参加を紹介しています。
MD-Premier G1とG1/R(Reborn)は何が違いますか?
メーカーの説明では、MD-Premier G1が松原正樹と同じモデルで受注生産、G1/R(Reborn)はそのノウハウをより多くのギタリストに届けるための汎用価格帯のモデルという位置づけです。仕様や価格は個別に異なるため、購入前にメーカーまたは取扱店にご確認ください。
まとめ
松原正樹の機材は、Gibsonのヴィンテージ ES-335を基準点に、そこから持ち替えても同じ感覚で弾けるよう設計されたMD-Premier G1、そしてLA製のVarita U.S. Soltar 松原正樹Modelという3つの軸で捉えると全体像がつかめます。オフィシャルサイトの使用機材ページにはエレキからガット、ウクレレ、エレクトリック・シタールまで数十点が並び、1万曲を超えるセッションが求めた音色の幅がそのまま残されています。
そして2015年に公開されたシグナル・チェーンが示すのは、Providence PEC-2を中心に必要なペダルだけを信号経路に通す、徹底したシステム管理でした。ケーブル1本で音は変わるという本人の言葉も含めて、松原正樹の音づくりは機材の銘柄より先に、信号の通り道をどう設計するかという話だったといえます。同じ系譜のギターを試したい場合、MD MM-Produceの受注生産ラインは現在も注文を受け付けている窓口です。
サウンドマニア編集部
楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。


