
増川弘明の使用ギター|TriAmp Mark 3とFree The Toneボード、中古相場【2026年版】
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BUMP OF CHICKENのギタリスト・増川弘明のステージ機材は、ギターシステムを構築したFree The Tone(フリーザトーン)が、2016年から2024年にかけて自社サイトで写真つきで紹介しています。そこでメインアンプとして挙がっているのはHughes & Kettner TriAmp Mark 3。立ち位置と舞台袖には、Free The Tone製のルーティング・コントローラーを中心にしたボードが組まれています。この記事では、その公式資料を年ごとに読み解いたうえで、ギター本体のラインナップ、藤原基央との機材の違い、各モデルの中古相場を整理します。
増川弘明のプロフィールと、機材情報の出どころ
増川弘明は1979年12月20日生まれ(BUMP OF CHICKEN公式サイト PROFILE)。所属レーベルのトイズファクトリーのバイオグラフィーでは、藤原基央(Vo, Gt)・増川弘明(Gt)・直井由文(Ba)・升秀夫(Dr)の幼馴染4人によるバンドで、1996年2月に現在の編成で初めてのステージを踏み、2000年のシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビューしたと記されています。2002年のメジャー1stアルバム『jupiter』はオリコン初登場1位を獲得しました(TOY'S FACTORY バイオグラフィー)。
機材の情報源として中心になるのは、Free The Toneのニュース欄です。2016年の記事には「増川氏のギターシステムはフリーザトーンにて構築いたしました」と明記されており(Free The Tone, 2016年7月27日)、その後も2017年・2019年・2021年・2022年・2024年と、ツアーやシステム更新のタイミングでボードの写真とキャプションが公開されています。アンプについては、Hughes & Kettnerの国内代理店であるパール楽器製造のアーティストページにも、増川の使用楽器としてTRIAMP MARK3が掲載されています(パール楽器製造 Hughes & Kettner「増川弘明」)。
メインアンプはHughes & Kettner TriAmp Mark 3
2016年の日産スタジアム公演のレポートには、次のように書かれています。
増川氏がメインに使用しているアンプは、ヒューズアンドケトナーのTRIAMP Mark3です。右側にあるMESA/BOOGIEは予備として準備されていました。
その後の2019年・2021年・2022年・2024年の記事でも、メインアンプとして写っているのはTRIAMP Mark3のヘッドとキャビネットです。台数は1セットではなく、2019年の「aurora ark」ツアーの記事には「ヒューズアンドケトナー/TRIAMP Mark3ヘッドとキャビネットが2セット、ステージにセットされています」とあり(Free The Tone, 2019年7月24日)、2024年の記事でもMIDI信号の分岐先として「TRIAMP Mark3ヘッド2台」が挙げられています(Free The Tone, 2024年6月14日)。
TriAmp Mark 3の仕様
パール楽器製造の製品ページでは、TriAmp Mark 3の仕様が次のように記載されています(パール楽器製造「TRIAMP MARK3」)。
6本のパワー管による最大出力150W
3つのアンプにそれぞれ独立のEQを装備した実質6チャンネル仕様(AMP1〜AMP3に各A/Bチャンネル)
EL34と6L6GCのパワー管を選択できる機能(Power Amp Select:1/2、3/4、5/6)
真空管のアレンジとチャンネル・セレクトの組み合わせで、最大42種類のアンプサウンドをプログラミング可能
真空管構成(出荷時):パワー管 2×EL34・4×6L6GC、プリ管 8×ECC83・1×12AX7A-C
MIDI端子(In、Out/Thru)を装備
なお、同じ製品ページでは本機に「取扱終了」と表示されています(2026年9月25日閲覧時点)。
チャンネル切り替えとEQもMIDIで制御
増川のシステムでは、このMIDI端子が活用されています。2016年の記事には「TRIAMPは ARC-3からMIDIで制御されチェンネルの切り替えを行っています」とあり、アンプのチャンネル切り替えまでがFree The Tone製コントローラーの制御下に置かれています(Free The Tone, 2016年)。
アンプのセンド/リターンにもEQが入っています(2019年以降の各記事に記載)。2024年の記事には「TRIAMP Mark3ヘッドのセンドリターンにはFREE THE TONE/10 Band EQが接続されています。フレーズによる音色やレベルを調整するために使用されています」とあり、ARC-4からのMIDI信号はMIDIスルーボックスのMB-5で分岐され、この10 Band EQと2台のTRIAMP Mark3ヘッドに送られていると説明されています(Free The Tone, 2024年)。ボード上のイコライザーとは別に、アンプのループ内にもう1台のイコライザーを置く構成です。
ペダルシステムの変遷(2016〜2024年)
ボードの構成は、公開のたびに少しずつ変わっています。各年の記事から、コントローラーとエフェクターの台数、その年の主な変更点を並べると次のとおりです。
記事の年(公演・ツアー) | コントローラー | エフェクター台数(キャプションの記述) | 主なトピック |
|---|---|---|---|
2016年(STADIUM TOUR 2016 "BFLY" 日産スタジアム公演) | メインボード:ARC-3(特注の青)/サブボード:ARC-53M | メインボード7台/サブボード3台 | FLIGHT TIMEを「かなりの頻度で」使用。予備アンプにMESA/BOOGIE。メイン/サブボードは舞台袖に設置 |
2017年(同年9月開始の国内ツアー、リハーサル時撮影) | ARC-3+特注のARC-53Mを追加 | 記載なし | ペダルボードを一新。SILKY COMPが2台に。開発中の10 band EQを組み込み。インプットセレクターをテスト中 |
2019年(TOUR 2019 aurora ark) | ARC-3(特注のブルー)+ARC-53M(特注のブルー) | ボード内11台 | ほぼすべてのエフェクターとARC-3・ARC-53Mの配線順を変更。発売予定だったMB-5(MIDI THRU BOX)も紹介 |
2021年(システムのリニューアル) | ARC-4(特注のブルー)+ARC-53M | ボード内11台 | ARC-3からARC-4へ。ARC-3のブルーカラーを継承 |
2022年(Silver Jubilee at Makuhari Messe) | ARC-4+ARC-53M | ボード内12台 | リバーブのAMBI SPACEを新たに追加 |
2024年(TOUR ホームシック衛星2024) | ARC-4+ARC-53M | ボード内11台 | ツアーリハーサル前にオーバーホール。Eventide H90を新たに採用 |
出典:Free The Tone 機材紹介記事(2016年7月27日/2017年9月13日/2019年7月24日/2021年2月16日/2022年9月30日/2024年6月14日)
ボードの置き場所について:2016年の記事では、増川の立ち位置に置かれたボードとは別に、ARC-3を中心としたメインボードとサブボードが舞台袖に置かれていたと説明されています。すべてが足元に並ぶ構成ではなく、立ち位置と舞台袖に機能を分けた配置です。
各年の記事に登場する主な機材
役割 | 機材 | 記事で確認できる年 |
|---|---|---|
オーディオ・ルーティング・コントローラー | Free The Tone ARC-3 → ARC-4(いずれも特注のブルー) | ARC-3:2016・2017・2019/ARC-4:2021・2022・2024 |
オーディオ・ルーティング・コントローラー(ARC-3/ARC-4からMIDIで制御) | Free The Tone ARC-53M | 2016(サブボード)・2017(メインボードに追加)・2019・2021・2022・2024 |
オーバードライブ | Free The Tone RED JASPER | 2016・2019・2021・2022・2024 |
ブースター | Free The Tone FINAL BOOSTER | 2016・2019・2021・2022・2024 |
コンプレッサー | Free The Tone SILKY COMP(2017年から2台) | 2016・2017・2019・2021・2022・2024 |
ディレイ | Free The Tone FLIGHT TIME | 2016・2019・2021・2022・2024 |
ディレイ | LINE6 DL4 | 2019・2021・2022・2024 |
マルチエフェクト | Eventide H9(2台) | 2019・2021・2022・2024 |
マルチエフェクト | Eventide H90 | 2024 |
モジュレーション | BOSS MD-500 | 2019・2021・2022・2024 |
コーラス | Free The Tone TRI AVATAR | 2016・2019・2021・2022 |
リバーブ | Free The Tone AMBI SPACE | 2022 |
イコライザー(ボード上) | Free The Tone 10 Band EQ/PA-1QG | 2017(「開発中の10 band EQ」として)・2019・2021・2022・2024 |
シグナルジャンクションボックス | Free The Tone JB-82S(メインボード)/JB-41S・JB-41(立ち位置のボード) | JB-82S:2016・2019・2021・2022・2024/JB-41S:2019/JB-41:2021・2022・2024 |
パワーサプライ | Free The Tone PT-1D+PT-3(2019)/PT-1D+PT-3D(2024) | 2019・2024 |
出典:Free The Tone 各年の機材紹介記事の本文と写真キャプション。2017年の記事は型番を記さず「開発中の10 band EQ」と紹介しています。
SILKY COMPが2台になったのは2017年です。同年の記事に「FREE THE TONE/SILKY COMPが2台になり、ギターに合わせた異なるセッティングに対応できるようになりました」と書かれています(Free The Tone, 2017年9月13日)。2022年と2024年の記事ではその内訳が「SILKY COMPが2台(クリーンとクランチ用)」と記されており、同じコンプレッサーを2台、クリーン用とクランチ用に分けて置いていることがわかります。
Eventide H9も2台で、2019年の記事には「Eventide/H9です。ディレイ用とピッチシフト用と分けて使用されています」とあります(Free The Tone, 2019年)。同じ機種を役割ごとに1台ずつ割り当てる考え方は、SILKY COMPの2台使いと共通しています。
ARC-3/ARC-4で「呼び出す」システム
2019年の記事は、ARC-53MはARC-3からMIDIで制御され、FLIGHT TIME・LINE6 DL4・Eventide H9の3台がそのループでオン/オフされていること、そのうちFLIGHT TIMEとH9はMIDIでもつながっていてプリセットの呼び出しまで制御されていることを説明しています。10 Band EQ(PA-1QG)とTRI AVATARもMIDI接続され、ARC-3からプリセットを呼び出す構成でした(Free The Tone, 2019年)。ARC-4に替わった2021年と2022年の記事でも、10 Band EQ(PA-1QG)・TRI AVATAR・MD-500のプリセットをARC-4で制御していると記されています(2021年、2022年)。
2021年以降の立ち位置のボードには、曲名タイトルなどを表示できる「12-DIGIT LED DISPLAY / LDP-1」と、ARC-4に合わせてブルーでカスタム製作されたボリュームペダル「DVL-1L」が写っています。ボリュームペダルは2019年の記事にも登場し、そちらは「ローインピーダンス20kΩのポットを使用した試作品」と説明されています。2024年の記事の写真では、LDP-1にツアータイトルの「HOMESICK2024」が表示されていました。同じ2024年の記事では、チューナーがラックタイプのKORG DTR-1、ワイヤレスレシーバーがSHURE AD4Dと記されています(2022年の記事は「ラックタイプのKORG製チューナー」、2019年の記事は「SHUREのワイヤレスレシーバー」と、型番までは記していません)。
ペダルの「並び順」について:Free The Toneの記事は、各機材がARCのループに配線され、オン/オフとプリセット呼び出しが制御されていることを説明していますが、固定した直列の接続順は示していません。2019年の記事には「今回、ほぼすべてのエフェクターとARC-3&ARC-53Mの配線順が変更となり、今回のツアーに適した配置となりました」とあり、2019年のツアーに合わせて配線順が組み替えられたことがわかります。
2024年に入れ替わったもの
2024年の記事は冒頭で「ツアーリハーサル開始前に、オーバーホールを行い、一部の機材を入れ替えました」と述べています。新たに採用されたと名指しされているのはEventide H90です。一方、2016年・2019年・2021年・2022年の記事に登場していたコーラスのTRI AVATARと、2022年に追加されたリバーブのAMBI SPACEは、2024年の記事のキャプションには出てきません。記事は写真に写った範囲を説明したものなので、ここでは「2024年の紹介では確認できない」という事実にとどめます。
使用ギター:研究サイトの記録にみるレスポール中心の複数本体制
Free The Toneの記事はエフェクターとアンプが中心で、ギター本体の機種は書かれていません(2021年の写真キャプションに「右側のスタンドには、ずらりと増川氏のギターが並んでいます」とあり、本数が多いことはわかります)。ギター個体の記録として詳しいのが、スコアブックやライブ映像、参考画像を個体ごとに示して整理しているBUMP OF CHICKEN研究サイト「The Chickens」の調査です。同サイトは増川のギター全28本の使用履歴をまとめており、以下はその中から代表的なものを抜粋しています。メーカーやアーティストの公式発表ではないため、「〜とされます」という強度で記します。
メインとされるGibson Les Paul Standard "1959 Historic Collection"(2003年製)
The Chickensによれば、2004年以降のライブでメイン機となっているのは、2003年製のGibson Les Paul Standard "1959 Historic Collection"(サンバースト/トラ目)とされます。アルバム『ユグドラシル』のレコーディングの時期に入手し、先に使っていた"1958 Historic Collection"に比べて倍音が良くなる、という趣旨の話も記録されています。
このモデルの系譜にあたる現行品、Gibson Customの1959 Les Paul Standard Reissueは、Gibson公式の仕様欄で次のように記載されています(Gibson「Gibson Custom 1959 Les Paul Standard Reissue, VOS, Iced Tea Burst」)。
バック:1ピースの軽量マホガニー(Weight Relief:None=軽量化のための空洞加工なし)
トップ:2ピースの杢入りメイプル(Hide Glue Fit=膠による接着)
ネック:ソリッド・マホガニー、プロファイルは「Authentic 1959」
ネックジョイント:Long Tenon, Hide Glue Fit(長いテノンを膠で接着)
スケール長:628.65mm(24.75インチ)
ピックアップ:Custombucker Alnico 3(ネック/ブリッジ)
上記は現行リイシューの仕様です:Gibson公式の仕様欄が示しているのは現在販売されているリイシューの仕様であり、増川が使っているとされる2003年製の個体が同じ仕様であるかは公表されていません。中古で探す際は、年式ごとの仕様を販売店の商品説明で個別に確認してください。
ほかのレスポール
The Chickensの記録では、レスポールはこの1本だけではありません。2002年初頭に入手した増川初のヒストリック・コレクション"1958 Historic Collection"、2016年の「STADIUM TOUR 2016 "BFLY"」で初披露されたGibson Custom Shop "True Historic 1959 Les Paul"(2016年製)、『jupiter』のレコーディングで主に使われたTea Burstのレスポール・スタンダード、2010年4月の六本木シークレットライブが初露出とされる1956年製のコンバージョン・モデルなどがあり、レスポールは9本以上を所有しているとされます。初めて購入したギブソン製のレスポールは、Gibson Les Paul Studio(Fated Cherry/赤)だったと記録されています。
Gibson ES-335:サブステージや特定曲で
The Chickensによれば、増川はGibson Custom Shop ES-335 Memphis 1961 Reissued(チェリーレッド)を2014年の「WILLPOLIS 2014」のサブステージで初披露し、「銀河鉄道」「歩く幽霊」(いずれも2014年)、「流星群」(2016〜2018年)で使用したとされます。サンバーストのES-335も、チェリーレッドのサブ機として用意されていると記録されています。
ES-335という機種の基本構造は、Gibson公式の仕様欄では次のとおりです(Gibson「ES-335, Sixties Cherry」)。
ボディ(トップ/バック):メイプル/ポプラ/メイプルの3層合板
センターブロック:メイプル(ブレーシングはスプルース)
ネック:マホガニー、Rounded Cプロファイル
スケール長:628.65mm(24.75インチ)
ピックアップ:Calibrated T-Type ハムバッカー
Gibsonの製品説明は、メイプル/ポプラ/メイプルの合板ボディとメイプルのセンターブロックが「フィードバックを抑えつつ、ES-335が愛されてきた airy resonance(空気感のある響き)を保つ」と述べています。合板のボディに空洞を持つ点が、ソリッドボディのレスポール・スタンダードとの構造上の違いです。
引用元は通常ラインのモデルの仕様です:上記はGibsonの通常ラインのモデル「ES-335」の仕様で、増川が使用するとされるCustom Shop製の1961年リイシューとは別のモデルです。3層合板ボディとメイプルのセンターブロックという骨格を理解するための参照としてお読みください。
SG:1960年代前半のヴィンテージ
The Chickensは、Les Paul SG Standard With Sideways Vibrola(赤・1961〜1963年製)を2013年夏のリハーサル中に購入し、同年の「ベストアルバム発売記念ライブ」と全国ツアー「WILLPOLIS」で使用、そのライブでは「オンリーロンリーグローリー」のみに用いたと記録しています。
同系統の現行モデル「SG Standard '61 Maestro Vibrola」のGibson公式仕様は、ボディ・ネックともマホガニー、SlimTaperネックプロファイル、スケール長628.65mm、ピックアップは60s Burstbuckerです(Gibson「SG Standard '61 Maestro Vibrola, Vintage Cherry」)。製品説明では、深く彫り込まれたボディの面取り(body scarfing)、5プライのティアドロップ型ピックガード、22フレット位置でのネックジョイントが特徴として挙げられています。メイプルトップを持たない全マホガニー構成という点が、レスポール・スタンダードとの大きな違いです。
ヴィンテージ実機と現行モデルは別物です:増川が所有するとされるのは1961〜1963年製のヴィンテージ個体で、Gibsonの現行モデル「SG Standard '61 Maestro Vibrola」とは製造年も仕様も異なります。テールピースの名称も、The Chickensの記録ではSideways Vibrola、現行モデルの仕様欄ではMaestro Vibrolaと異なります。
フェンダー系とアコースティック
The Chickensは「増川氏のギターといえばギブソン・レスポール・スタンダードのイメージですが、実はストラトキャスター、SG、テレキャスターなど多くのギターを所有しています」と書いています。フェンダー系とアコースティックについても、楽曲ごとの使用が記録されています。
機材 | 記録されている使用場面 |
|---|---|
Fender Stratocaster(1963年製・オリンピックホワイト) | 「スノースマイル」「宝石になった日」「SOUVENIR」「クロノスタシス」 |
Fender Stratocaster(1961年製ネック+1959年製ボディとされる個体。サンバースト→2007年にフェスタレッドへ塗装) | 「真っ赤な空を見ただろうか」「white note」 |
Fender Custom Shop 30th Anniversary Stratocaster(ローズピンク) | 2017年のライブで「記念撮影」「宝石になった日」「Gravity」 |
Fender Custom Shop Jaguar 1962(緑) | 2014年「WILLPOLIS 2014」でステージ初使用。「サザンクロス」「spica」 |
Fender Jazz Master(1959年製) | 「話がしたいよ」のレコーディング |
Fender Telecaster(1967年製・クリーム色) | スタジオライブでの「コロニー」 |
Martin D-28(2010年製) | 2012年「GOLD GLIDER TOUR」のサブステージで初使用 |
Martin 000-18 | 自宅に置いているアコースティックギターとして本人が公言 |
出典:The Chickens「増川弘明の使用ギター・エフェクター機材一覧」。メーカーやアーティストの公式発表ではありません。
藤原基央との比較:2016年のFree The Tone記事から
Free The Toneは、同じ2016年の日産スタジアム公演について藤原基央の機材も紹介しています。そこには「ギターは、レスポール・スペシャルが5本と、ストラト、アコースティックギターが準備されていました」とあり、写真キャプションでも「藤原氏がメインで使用するレスポール・スペシャル。5本準備されていました」と説明されています。使用アンプはMATCHLESSとHonda Sound Worksでした(Free The Tone, 2016年8月5日)。
増川のメインがThe Chickensの記録どおりレスポール・スタンダード系だとすれば、2人は同じ「レスポール」の名前を持つ別モデルを弾き、アンプも別のものを使っていることになります。Gibson公式の現行モデルの仕様を並べると、違いは次のとおりです。
項目 | 増川弘明(The Chickensの記録でメインとされる系譜):1959 Les Paul Standard Reissue(現行) | 藤原基央:Les Paul Special(現行) |
|---|---|---|
ボディ | マホガニー・バック+杢入りメイプル・トップ | スラブ・マホガニー(メイプルトップなし)、シングルカッタウェイ |
ピックアップ | Custombucker Alnico 3(ハムバッカー)×2 | P-90(シングルコイル)×2 |
ネック材/プロファイル | ソリッド・マホガニー/Authentic 1959 | マホガニー/50s Vintage |
スケール長 | 628.65mm(24.75インチ) | 628.65mm(24.75インチ) |
2016年時点のアンプ(Free The Tone記事) | Hughes & Kettner TRIAMP Mark3(予備にMESA/BOOGIE) | MATCHLESS、Honda Sound Works |
ギター仕様はGibson公式製品ページ(1959 Les Paul Standard Reissue/Les Paul Special)に基づく現行モデル同士の比較です。2人が実際に使っている個体の年式・仕様は公表されていません。
スケール長とネック材は共通で、差が出るのはボディ構成とピックアップです。Gibsonの製品説明は、レスポール・スペシャルについて「slab mahogany body and single-cutaway design」が「roaring midrange punch(吠えるようなミッドレンジの押し出し)」をもたらすと表現しています(Gibson「Les Paul Special, TV Yellow」)。一方のレスポール・スタンダード系はマホガニーのバックに杢入りメイプルのトップを貼り、ハムバッカーを載せています。同じレスポールの名を持ちながら、ボディの構成もピックアップの方式も異なるモデルです。
中古相場:デジマート掲載価格の実測
増川が使っているとされるモデルが、中古市場でいくらで出ているのかを、デジマートの掲載データから集計しました。
測定条件
データ元:デジマートに掲載中の商品(エレキギターのカテゴリ、売り切れ表示の商品を除く)
取得日:2026年9月25日
検索語:「Gibson Les Paul Standard」「Gibson 1959 Les Paul」「Gibson Les Paul R9」「Gibson ES-335」「Gibson SG Standard」
対象:デジマート上の区分が「中古」の商品のみ(新品・ヴィンテージ区分などは除外)
除外:Epiphone・Orvilleなど他ブランド、商品名から判別できるアーティストモデル・限定仕様・改造品(再塗装を含む)、同じ内容の重複掲載。通常ラインの3区分は、商品情報から1989年以前の製造と判別できるものも除外
価格:掲載価格(税込)。平均値は外れ値に引きずられるため使わず、中央値と四分位で示します
モデル別の実測結果
区分 | 件数 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
|---|---|---|---|---|
Gibson Les Paul Standard(通常ライン) | 64件 | 268,300円 | 279,000円 | 298,000円 |
Gibson Custom 1959 Les Paul Standard Reissue(ヒストリック・コレクション、Murphy Lab含む) | 69件 | 770,000円 | 858,000円 | 990,000円 |
Gibson ES-335(通常ライン) | 34件 | 349,350円 | 386,500円 | 418,000円 |
Gibson SG Standard(通常ライン) | 18件 | 176,500円 | 193,900円 | 206,000円 |
デジマート掲載価格(税込)を2026年9月25日に集計。1961年仕様のES-335リイシュー(Custom Shop製、Murphy Lab含む)は該当が9件で15件に満たなかったため、レンジを出していません。
中央値で比べると、1959 Les Paul Standard Reissueは通常ラインのレスポール・スタンダードのおよそ3倍です。増川がメインとしているとされるのは前者の系譜にあたるモデルで、同じ「レスポール・スタンダード」の名前でも、価格帯はまったく別のレンジに分かれます。今回集計した4区分のうち、中央値がもっとも低かったのはSG Standardの193,900円でした。
掲載価格・成約価格・買取価格は別のものです:上の数値は販売店が掲載している「売値」です。実際に売れた金額(成約価格)とは一致しませんし、買取価格はさらに別の水準になります。買取価格は事業者が仕入れる側の価格で、再販時の販売価格や保証、在庫のコストを織り込んで決まるため、掲載価格と直接比較することはできません。
中古でギブソンを探すときの確認ポイント
ここで取り上げたギブソンの3モデル(1959 Les Paul Standard Reissue、ES-335、SG Standard '61)は、いずれもGibson公式の仕様欄でネック材がマホガニーとされ、1959 Les Paul Standard Reissueのネックジョイントは「Long Tenon, Hide Glue Fit」と記載されています。ボルトオンのようにネックを外して交換する構造ではないため、中古ではネック周りの状態確認が要点になります。
ヘッド裏とネックジョイント部:塗装の段差や色の境目、吹き直しの跡がないか。修理歴の記載があるかも見ておきます。
フレットの状態:フレットの頭が平らに削れていないか、弦の当たる位置に凹みがないか。打ち替えが必要な個体は、購入後の費用を見込んで検討します。
トラスロッドの余裕:ネック反りの調整代が残っているか。店頭であれば販売店に確認を依頼できます。
重量とウェイトリリーフ:現行の1959 Les Paul Standard Reissueは公式仕様でウェイトリリーフが「None」です。中古の個体は掲載情報に重量や仕様の記載があれば確認します。
電装系:ボリューム・トーンを回したときのノイズ、ピックアップセレクターの接触。ピックアップが交換されている個体は、オリジナル性の評価が変わります。
シリアルナンバーと年式の整合:Custom Shop製やヴィンテージは、シリアルと仕様が合っているかを販売店に確認しておくと安心です。
ES-335のようなセミホロウ構造では、これに加えてボディ内部の状態が見えにくいという事情があります。fホールから覗ける範囲は限られるため、写真だけで判断せず、実機を確認できる販売店を選ぶのが現実的です。
増川のシステムから読み取れる設計
増川のシステムは、ルーティング・コントローラーで多数の機材の組み合わせやプリセットを呼び出す構成で、個人がそのまま再現するのは現実的ではありません。ただし、公式資料から読み取れる設計の考え方はいくつかあります。
アンプのチャンネル切り替えをシステムに統合している:TriAmpのチャンネルはARCからMIDIで切り替えられています。ボード上の歪み系として記事に挙がっているのは、RED JASPER(オーバードライブ)とFINAL BOOSTER(ブースター)の2台です。
コンプレッサーを役割ごとに分けている:2017年からSILKY COMPを2台置き、2022年・2024年の記事ではクリーン用とクランチ用と説明されています。
イコライザーを2箇所に置いている:ボード上のPA-1QGと、アンプのセンド/リターンに入れた10 Band EQ。後者は「フレーズによる音色やレベルを調整するため」と説明されています。
同じ機種を用途ごとに割り当てている:Eventide H9は2台で、ディレイ用とピッチシフト用に分けて使われています。ディレイはFLIGHT TIMEとLINE6 DL4も並んでいます。
ギターから近づく場合、増川がメインとしているとされるのはヒストリック・コレクションの1959年リイシューにあたるモデルで(Gibsonの製品説明では、ヒストリック・リイシューはGibson Customが手がけているシリーズとされています)、通常ラインのレスポール・スタンダードとは価格帯も仕様も異なります(価格差は上の実測データのとおりです)。「メインと同じもの」を目指すのか、「同じレスポール・スタンダード系の方向性」を目指すのかで、必要な予算は大きく変わります。
よくある質問
増川弘明のアンプは何ですか?
Free The Toneの機材紹介(2016〜2024年)では、メインアンプはHughes & Kettner TriAmp Mark 3です。2016年の記事に「増川氏がメインに使用しているアンプは、ヒューズアンドケトナーのTRIAMP Mark3です」と明記されており、2019年・2021年・2022年・2024年の記事でも同じアンプが写っています。国内代理店パール楽器製造のアーティストページにも、使用楽器としてTRIAMP MARK3が掲載されています。
エフェクターボードには何が入っていますか?
Free The Tone製の機材が中心です。2024年の記事では、ARC-4(特注のブルー)とARC-53Mでメインボードの11台を制御しており、写真キャプションにはRED JASPER、FINAL BOOSTER、SILKY COMP 2台、PA-1QG、FLIGHT TIME、LINE6 DL4、Eventide H9 2台、Eventide H90、BOSS MD-500が挙がっています。
メインギターはどのレスポールですか?
Free The Toneの機材紹介には、ギターの機種は記されていません。スコアブックやライブ映像をもとに個体を整理している研究サイトThe Chickensの記録では、2003年製のGibson Les Paul Standard "1959 Historic Collection"(サンバースト/トラ目)が2004年以降のライブのメイン機とされています。
藤原基央と増川弘明のギターはどう違いますか?
Free The Toneの2016年の記事では、藤原のメインギターはレスポール・スペシャルで、5本用意されていたと記されています。増川についてはThe Chickensの記録で、レスポール・スタンダード系(2003年製の1959 Historic Collection)がメインとされます。アンプも2016年時点では、藤原がMATCHLESSとHonda Sound Works、増川がHughes & Kettner TRIAMP Mark3でした。
同じモデルを中古で買うと、いくらくらいですか?
2026年9月25日にデジマートの中古掲載価格を集計した結果、中央値は通常ラインのLes Paul Standardが279,000円、Gibson Custom 1959 Les Paul Standard Reissueが858,000円、ES-335(通常ライン)が386,500円、SG Standard(通常ライン)が193,900円でした。いずれも掲載価格で、成約価格や買取価格とは異なります。
まとめ
増川弘明のステージ機材は、システムを構築したFree The Toneが2016年から2024年にかけて公開しています。2024年までの公開資料では、メインアンプはHughes & Kettner TriAmp Mark 3で、国内代理店のアーティストページにも使用楽器として掲載されています。
ペダルシステムはARC-3(2021年以降はARC-4)とARC-53Mを中心としたFree The Tone製の構成で、アンプのチャンネルやEQのプリセットまでMIDIで呼び出しています。固定した直列の接続順は公開されておらず、2019年のツアーでは配線順が組み替えられたことも記されています。
ギター本体の機種はFree The Toneの記事には記されておらず、研究サイトThe Chickensの記録では2003年製のLes Paul Standard "1959 Historic Collection"が2004年以降のメイン機とされます。ES-335、1960年代前半のSG、ストラトキャスター・ジャガー・ジャズマスター・テレキャスター、Martinのアコースティックも曲や場面に応じて使われているとされます。
藤原基央のメインは、Free The Toneの2016年の記事でレスポール・スペシャルとされ、The Chickensの記録で増川のメインとされるレスポール・スタンダード系とは、ボディ構成とピックアップが異なるモデルです。
2026年9月25日時点のデジマート中古掲載価格の中央値は、通常ラインのLes Paul Standardが279,000円、1959 Les Paul Standard Reissueが858,000円、ES-335が386,500円、SG Standardが193,900円でした。
機材の名前を知ることは、その人が何を優先して音を組み立てているかを知ることでもあります。増川のシステムからは、多くの音色を持ちながら、コンプレッサーやH9のように役割ごとに機材を割り当てていく整理のしかたが読み取れます。同じ機材を揃えなくても、この考え方は自分のボードづくりに応用できます。
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本記事の機材情報は、Free The Toneの各記事の公開時点(2016年〜2024年、最新は2024年6月14日公開)の記述に基づきます。ギターの仕様は各Gibson公式製品ページに記載された現行モデルのもので、本人が使用する個体の仕様とは異なる場合があります。
サウンドマニア編集部
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