
菊地英昭の使用ギター|59年製レス・ポール・カスタムとフライングV【2026年版】
サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…
THE YELLOW MONKEYのギタリスト菊地英昭(EMMA)は、2024年のアルバム『Sparkle X』のレコーディングと同年4月27日の東京ドーム公演で使ったギターとして、ギター・マガジンWEBの機材取材でギブソンを中心に9本が紹介されています。登場したのは、1959年製と1958年製のLes Paul Custom、1965年製のSG Standard、1958年製・1969年製のFlying V、2008年製のHistoric Collection 1967 Flying V Reissue、愛知県の工房Bizen WorksのBURNED EXPとBURNED FV、Sadowsky NYCのエレクトリック・ガット・ギターです。ギター・マガジンWEBは、このうち1959年製のLes Paul Customを「再集結後のメイン・ギター」と紹介しています。
フェンダーについては、2023年のFenderNewsのインタビューで、フェンダーの中で一番使っているのは51年製の「Blackguard」だと話しています。本記事では、2024年の使用ギターと東京ドーム公演での使用楽曲、フェンダーとの関わり、購入時の価格の目安を、ギター・マガジンWEBの機材記事、Gibson Japan公式サイト、FenderNewsのインタビューをもとに整理します。
菊地英昭とギター:ハムバッカー好きから、バンドごとの使い分けへ
菊地英昭は1986年12月にKILLER MAYのギタリストとしてメジャー・デビューし、1989年にTHE YELLOW MONKEYに参加しました。2004年の解散後、2008年10月にソロ・プロジェクトbrainchild’sを始動し、2016年1月にTHE YELLOW MONKEYとして15年ぶりの再集結を果たしています(Gibson Japan公式サイトのプロフィールより)。
FenderNewsのインタビューによると、ギターを志したきっかけはエアロスミスのジョー・ペリーで、最初はマイケル・シェンカーやランディ・ローズといったハムバッカーを使うギタリストが好きだったことから、自身もハムバッカーのギターをずっと使っていたといいます。転機はKILLER MAYのデビューアルバム『Joy Stick』の録音で、プロデューサーから「EMMA君のギターはシングルコイルのほうが合うと思う」と言われ、ハムバッカーで作ってきたギターパートをすべてプロデューサーが持っているTelecasterで弾くことになったと振り返っています。
同じインタビューの後編では、THE YELLOW MONKEYではハムバッカーが多く、brainchild’sと吉川晃司のサポートではシングルコイルが多いと使い分けを説明しています。brainchild’sがTHE YELLOW MONKEYの再集結前に作ったミニアルバム『6 continents』は、8割ほどをStratocasterやTelecasterで録音したそうです。
2024年『Sparkle X』と東京ドーム公演のギター:ギター・マガジンWEBが紹介した9本
ギター・マガジンWEBは2024年7月5日と12日の2回に分けて、菊地英昭が『Sparkle X』(2024年5月29日発売)のレコーディングと、4月27日の東京ドーム公演『SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”』で使ったギターを紹介しています。1回目が4本のフライングV、2回目がそれ以外の5本です。
モデル | 入手時期(記事の記述) | 東京ドーム公演での使用楽曲 | 『Sparkle X』での使われ方 |
|---|---|---|---|
1959 Gibson Les Paul Custom with Bigsby B7 | 2016年、再集結の直前 | 使用なし | レコーディングで多用 |
1958 Gibson Les Paul Custom | 再集結の直前 | 「バラ色の日々」「SHINE ON」「アバンギャルドで行こうよ」「ALRIGHT」「悲しきASIAN BOY」 | ─ |
1965 Gibson SG Standard | 2018年頃 | 「楽園」「SPARK」 | ─ |
1958 Gibson Flying V | 2017年頃 | 「聖なる海とサンシャイン」「BURN」「ROCK STAR」「WELCOME TO MY DOG HOUSE」 | ─ |
1969 Gibson Flying V | 2016年 | 「JAM」 | 「罠」「ホテルニュートリノ」など |
2008 Gibson Custom Historic Collection 1967 Flying V Reissue | 2018年頃 | 「ホテルニュートリノ」 | 使用機会はなかったという(「ホテルニュートリノ」「罠」のMVに登場) |
Bizen Works BURNED EXP | ─ | 「Romantist Taste」「Tactics」「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」「SUCK OF LIFE」「LOVE LOVE SHOW」 | ─ |
Bizen Works BURNED FV | ─ | 「ソナタの暗闇」「天道虫」「太陽が燃えている」 | ─ |
2018 Sadowsky NYC Electric Guts | ─ | ─ | 「Exhaust」のバッキング |
※ギター・マガジンWEB「菊地英昭(THE YELLOW MONKEY)が新作『Sparkle X』と東京ドーム公演で使用した、4本のフライングV」(2024年7月5日)・「同、5本のギター」(2024年7月12日)をもとに編集部が整理。「─」は記事に記載がない項目です。使用楽曲は各ギターの紹介欄に挙げられた曲で、公演の全曲を示すものではありません。
1959 Gibson Les Paul Custom with Bigsby B7:記事が「再集結後のメイン・ギター」と紹介
ギター・マガジンWEBによると、ファクトリー・ビグスビーを搭載した59年製のLes Paul Customで、2016年、THE YELLOW MONKEY再集結の直前に手に入れたものだといいます。菊地はセンター・ピックアップを使わないため配線が外されており、ピックアップ・セレクターのセンター・ポジションではフロントとリアのミックスの音が出るように改造されています。音の立ち上がりの速さや抜けの良さを気に入っていて、本人いわく「オールマイティなギター」。2024年の東京ドーム公演では使われませんでしたが、『Sparkle X』のレコーディングでは多用したと紹介されています。
2022年4月にGibson Japanが公開した『クロスロード TOKYO』第3弾の動画では、生形真一とのツインギターによるNothing’s Carved In Stoneの「Spirit Inspiration」で、ヴィンテージ1959年製の「Gibson Les Paul Custom with Bigsby」を弾いています。Gibson Japan公式サイトは、このギターをTHE YELLOW MONKEYのステージで多用されるものと説明しています。
1958 Gibson Les Paul Custom:59年製のサブで、東京ドームでは5曲に登場
58年製のLes Paul Customは、59年製のサブとして、同じく再集結の直前に手に入れた1本です。ギター・マガジンWEBによると、ストップ・テイルピース仕様のため、ビグスビーを載せた59年製と比べてサステインがあり太い音がするとのことで、本人はハードロック調の楽曲と相性が良いと語っています。撮影時にはピックガードに黒いテープが貼られていました。2024年の東京ドーム公演では「バラ色の日々」「SHINE ON」「アバンギャルドで行こうよ」「ALRIGHT」「悲しきASIAN BOY」で使われています。
1965 Gibson SG Standard:brainchild’sで多用するペルハム・ブルーのSG
2018年頃に入手した65年製のSG Standardです。ギター・マガジンWEBによると、ペルハム・ブルーの塗装は60年代当時にリフィニッシュされたもので、ボディやヘッドにはクラックがびっしり入っていました。サウンドについて本人は「ミドルが出ていて重心が低い音がするけど、ローはスッキリしている」とコメント。brainchild’sで多用しており、歌との馴染みが良いと紹介されています。2024年の東京ドーム公演では「楽園」と「SPARK」で使われました。
1958 Gibson Flying V:2017年頃に入手した初年度のコリーナV
2017年頃に入手した、初年度にあたる58年製のコリーナ・フライングVです。ギター・マガジンWEBによると、ピックアップは2基ともオリジナルですが、ポットはすべて交換されており、ヴァイブローラ・ユニットを取り付けた際に空けられたとみられる穴や、左側のボディの肩にストラップ・ピンの穴を埋めた痕があるなど、以前の持ち主によってかなり手が加えられています。本人は「サウンドはかなり異質で、Vっぽさが全然ないんです」と語っています。2024年の東京ドーム公演では「聖なる海とサンシャイン」「BURN」「ROCK STAR」「WELCOME TO MY DOG HOUSE」で使われました。
2022年の『クロスロード TOKYO』では、菊地が作曲したTHE YELLOW MONKEYの「TVのシンガー」で、ヴィンテージ1958年製の「Gibson Korina Flying V」が使われています(Gibson Japan公式サイトより)。
1969 Gibson Flying V:『Sparkle X』の「罠」「ホテルニュートリノ」などで使用
2016年に入手した69年製のフライングVです。ギター・マガジンWEBによると、ネックはスティンガー仕様にリフィニッシュされ、ボディはバーガンディ・ミストが退色してゴールドのような色味になっていますが、こちらもリフィニッシュされている可能性があるといいます。本人は「ハイ・ミッドが薄いけど、ロー・ミッドがあるからカッティングやアルペジオに合う」「ネックが自分の手癖と相性が良いみたいで、フレーズが弾きやすい」と話しています。『Sparkle X』では「罠」や「ホテルニュートリノ」などで、2024年の東京ドーム公演では「JAM」で使われました。
2008 Gibson Custom Historic Collection 1967 Flying V Reissue:MVと東京ドームの「ホテルニュートリノ」に登場
2018年頃に入手した、2008年製のHistoric Collectionによる67年リイシューのフライングVです。ギター・マガジンWEBによると、67年の特徴である17フレット・ジョイント仕様で、ショート・ヴァイブローラを搭載。ピックアップはBurstbuckerのType 2(フロント)とType 3(リア)です。『Sparkle X』のレコーディングでは使用機会がなかったそうですが、「ホテルニュートリノ」と「罠」のMVに登場し、2024年の東京ドーム公演では「ホテルニュートリノ」で使われました。本人は「ビンテージに近いような倍音がありつつ、ビンテージよりも音が太いので使いやすい」と評しています。
Bizen Works BURNED EXP/BURNED FV:愛知県の工房が作ったエクスプローラー・タイプとVタイプ
Bizen Worksは愛知県に工房を構えるメーカーです。ギター・マガジンWEBによると、エクスプローラー・タイプのBURNED EXPは、メーカーが中古として販売していたものを菊地が見つけて購入しました。本人は「ピッチ感がビンテージと比べると圧倒的に良いのでライブで使いやすいんです」「サウンドはミドルが立っていてサステインが長い」と話しています。2024年の東京ドーム公演では「Romantist Taste」「Tactics」「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」「SUCK OF LIFE」「LOVE LOVE SHOW」で使われました。
BURNED FVは58年スタイルのVタイプで、ボディはコリーナ、指板はハカランダです。BURNED EXPの購入をきっかけにメーカーとつながりができ、「ちょうど今Vタイプを作っているんです」という話になったことから、カラーをペルハム・ブルーに指定して製作してもらったと紹介されています。ネックの角度は50年代のフライングVに近いとのこと。東京ドーム公演では「ソナタの暗闇」「天道虫」「太陽が燃えている」で使われました。BURNED EXPのボディ側面とBURNED FVの左側のボディ・エンドにはPick GripsのPGL100が貼られており、BURNED EXPではそこにピックをセットしています。
2018 Sadowsky NYC Electric Guts:「Exhaust」のバッキングで使ったエレ・ガット
Sadowsky NYCのエレクトリック・ガット・ギターで、ギター・マガジンWEBは2018年製と思われると紹介しています。brainchild’sでエレ・ガットが必要になった際に購入したもので、ボディはフレイム・メイプル・トップとチェンバード・マホガニー・バック、ピックアップはBarbera Transducers製、プリアンプはSadowskyのカスタムです。『Sparkle X』では「Exhaust」のバッキングで使われました。本人は「エレキ・ギターから持ち替えても違和感なく弾けます。音の粒立ちやピッチも良い」とコメントしています。
フェンダーのギター:51年製Blackguardと、試奏で選んだ1972 Telecaster Thinline
2023年のFenderNewsのインタビューで菊地は、フェンダーの中で今一番使っているのは「51年製のBlackguard」だと話しています。巡り合えたのは運命で、一生手放さないと思っているほどのギターだといい、ハムバッカー向けのアンプのセッティングのまま使える点や、音の太さと立ち上がりを評価しています。
同じインタビューでは、American Vintage IIシリーズを試奏し、その中からAmerican Vintage II 1972 Telecaster Thinlineを選んでいます。選んだ理由は「今の戦力にない」タイプで、自分が次に使いたいと思うギターだったから。太いけれどパキッとした音が出て、セミホロウならではの甘さもあると評し、曲を弾いていて「これシングルコイルかな。ハムバッカーかな。どっちだろう?」と思ったときに使えると話しています。インタビュー時点では試奏して選んだという段階で、ライブやレコーディングでの使用は記事に書かれていません。
前編では、それ以前のフェンダー遍歴も語られています。フェンダーはすぐには買えず、しばらくして日本製のフェンダーの黒いStratocasterとTelecaster Thinlineを使い、その後THE YELLOW MONKEYの人気が出てから、ジョー・ペリーをまねて黒いStratocasterを買い、ピックガードだけ黒に替えたそうです(本人は「70年代のStratocasterだったかな」と記憶をたどっています)。当時はバンド内にギターの価格の上限を決めた暗黙のルールがあり、ヴィンテージは買えず、50年代製ではなく70年代製やレリックのStratocasterを使っていたとのこと。「LOVE LOVE SHOW」や「球根」は、レリックか何かのブルーメタリックのStratocasterで「たぶん」録音しているはずだと話しています。
菊地英昭の使用ギターの価格と入手方法
ヴィンテージのギブソン:相場レンジは掲載していません
1950〜60年代のLes Paul Custom、SG Standard、Flying Vについて、本記事では実測にもとづく相場レンジを掲載していません。菊地の個体も、リフィニッシュ、ポット交換、穴埋めの痕、配線の改造など、手が加えられたものが多いことがギター・マガジンWEBで紹介されています。中古やヴィンテージを検討するときは、次の点を確認しながら個体ごとに判断してください。
シリアルや仕様から年式を確かめられるか(ヘッドの形、フレット・ジョイントの位置、テイルピースなど)
リフィニッシュの有無と時期(当時のリフィニッシュか、後年のものか)
ピックアップ・ポット・配線がオリジナルか交換品か
ビグスビーやヴァイブローラの後付け・取り外しの痕、ストラップ・ピンの穴埋めなどの加工痕
ネックの反り、フレットの残り、ヘッド折れ修理の有無
American Vintage II 1972 Telecaster Thinline:2026年10月1日時点の公式価格は448,800円(税込)
菊地が試奏して選んだAmerican Vintage II 1972 Telecaster Thinlineは、2026年10月1日にフェンダー日本公式サイトの製品ページで確認した価格が448,800円(税込)で、在庫切れの表示でした。同ページの仕様では、ボディはセミホロウのアッシュ、ネックはハードロック・メイプル、指板はメイプル(7.25インチ・ラジアス)、ピックアップはCuNiFeのワイドレンジ・ハムバッキング・ピックアップ、ブリッジは6サドルの弦裏通しハードテイルです。
Bizen Works:工房製のハンドメイド・ギター
菊地のBURNED EXPはメーカーが中古として販売していたもので、BURNED FVはカラーを指定して製作してもらった1本です。本記事では実測にもとづく相場レンジは掲載していません。中古を検討するときは、モデル名だけで判断せず、ボディ材・指板材・ピックアップを個体ごとに確かめるようにしましょう。
よくある質問
菊地英昭のメインギターは何ですか?
2024年7月のギター・マガジンWEBの記事は、1959年製のGibson Les Paul Custom with Bigsby B7を「再集結後のメイン・ギター」と紹介しています。ただし同年4月の東京ドーム公演ではこのギターは使われず、1958年製のLes Paul CustomやフライングV、Bizen Worksのギターなどが曲ごとに使われていました。
菊地英昭はフライングVを何本使っていますか?
ギター・マガジンWEBの2024年7月5日の記事では、『Sparkle X』と東京ドーム公演で使われたフライングVとして、1958年製と1969年製のGibson Flying V、2008年製のHistoric Collection 1967 Flying V Reissue、Bizen WorksのBURNED FVの4本が紹介されています。所有するフライングVの総数は記事に書かれていません。
フェンダーのギターも使っていますか?
2023年のインタビュー時点では使っています。FenderNewsのインタビューで、フェンダーの中で一番使っているのは51年製のBlackguardだと話しています。同じインタビューでは、THE YELLOW MONKEYではハムバッカー、brainchild’sや吉川晃司のサポートではシングルコイルが多いと説明しています。
2022年のギブソンの動画では何を弾いていましたか?
Gibson Japan公式サイトによると、2022年4月公開の『クロスロード TOKYO』第3弾で、「TVのシンガー」ではヴィンテージ1958年製のGibson Korina Flying V、「Spirit Inspiration」ではヴィンテージ1959年製のGibson Les Paul Custom with Bigsbyを使っています。
まとめ:ギター・マガジンWEBが「再集結後のメイン・ギター」と紹介した1959年製Les Paul Custom、東京ドーム公演は曲ごとに持ち替え
2024年のギター・マガジンWEBの取材によると、菊地英昭は『Sparkle X』の録音で1959年製のLes Paul Custom(記事では「再集結後のメイン・ギター」)を多用し、東京ドーム公演では1958年製のLes Paul Custom、1965年製のSG Standard、3本のギブソンのフライングV、Bizen Worksの2本を曲ごとに持ち替えていました。ギブソンのヴィンテージが多く、手が加えられた個体や工房製のギターも並びます。
フェンダーでは2023年時点で51年製のBlackguardを一番使っていると話し、試奏したAmerican Vintage II 1972 Telecaster Thinlineを「自分が次に使いたいと思うギター」として選んでいます。THE YELLOW MONKEYではハムバッカー、brainchild’sではシングルコイルが多いという使い分けも、ギター選びを見るうえでの手がかりになります。ギブソンのLes Paul Customが登場するギタリストの機材は、三輪テツヤの使用機材の記事でも紹介しています。
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サウンドマニア編集部
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