
柏倉隆史のドラム機材|CANOPUSシグネチャー2機種と鍵束ミュート【2026年版】
サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…
柏倉隆史とは──toe・the HIATUSを支えるCANOPUS/Paisteのエンドーサー
柏倉隆史(かしくら たかし)は、インストゥルメンタル・バンドtoeと、細美武士がボーカル/ギターを務めるthe HIATUSでドラムを担当するドラマーです。the HIATUS公式サイトのBIOGRAPHY(https://thehiatus.com/biography/)には、過去にREACHのドラマーとして活動し、現在はtoeとthe HIATUSのメンバーとして活動中であること、バンド活動と並行してサポート・ドラマーとしてレコーディングやライブに参加していることが記載されています。
プロフィールと活動範囲
同ページに挙げられているサポート参加先は、木村カエラ、ACO、SUEMITSU & THE SUEMITH、コトリンゴ、黒木渚、ももいろクローバーZなど。ジャンルの幅が広く、バンドのメンバーとしての顔と、現場ごとに音を作り分けるセッション・ドラマーとしての顔の両方を持っていることがわかります。同じ紹介文はCANOPUS公式の製品ページにも掲載されています。
リズム&ドラム・マガジンの「Set Up」(https://drumsmagazine.jp/player/kit-kashikuratakashi/)では、ドラマーのオータコージらと結成したユニット、Devil Rhythm Riverのメンバーとしても紹介されています。またリットーミュージックが運営するT-ODの商品ページ(https://t-od.jp/products/takashikashikura-ts-001)では、誌上ドラム・コンテストの最終審査員を務めるドラマーとして紹介されています。
CANOPUSとPaiste──2社の公式エンドース
機材面で押さえておきたいのは、柏倉がCANOPUS(カノウプス)とPaiste(パイステ)の両方で公式に掲載されているアーティストだという点です。CANOPUSは東京・野方に工房を構え、オリジナルドラムの製作・販売を行う国内メーカー(会社概要)。Paisteはスイスのニットヴィルに本社を置くシンバル・メーカーです。
CANOPUS公式の国内エンドーサー一覧には「柏倉隆史(toe / 木村カエラ / the HIATUS)」として掲載されています(https://canopusdrums.com/jp/endorser-j/kashikura_takashi/)。Paiste公式のアーティストページ(https://www.paiste.com/en/musicians/takashi-kashikura)には、Paiste Artist Sinceが1999年7月であること、Main Affiliationsがtoeとthe HIATUSであることが記載されています。
CANOPUS公式は、toeが2025年に結成25周年を迎えたと記載しています。そこから逆算すると結成は2000年で、Paisteへの掲載はtoe結成より前から始まっていることになります。加えてCANOPUSからはシグネチャー・スネアが2機種、本人が共同開発したアクセサリーが1点、いずれも製品として発売されています。ここが柏倉の機材を語るうえでの出発点です。
柏倉隆史の使用機材一覧──キット・スネア・シンバル・ペダル
下の表は、リズム&ドラム・マガジン「Set Up」に掲載されたセット内容(2020年4月公開/Devil Rhythm Riverのライヴで使用されたもの)を、同記事の記載どおりに整理したものです。ドラマーのセットは現場ごとに変わるため、「この記事はどの現場のセットか」を分けて読む必要があります。
カテゴリ | メーカー | モデル名・仕様 | サイズ |
|---|---|---|---|
ドラムキット | CANOPUS | Special Order Kit(特注セット/シェルはビーチ) | — |
バスドラム | CANOPUS | 同上 | 22"×15" |
タム | CANOPUS | 同上 | 12"×8"/13"×9" |
フロアタム | CANOPUS | 同上 | 16"×15" |
スネアドラム | CANOPUS | 1ply Soft Maple | 14"×5.5" |
ハイハット | PAISTE | Signature Dark Crisp Hi-Hat | 14" |
クラッシュ | PAISTE | Formula 602 Thin Crash | 16"/18" |
ライド | PAISTE | Formula 602 Medium Ride | 20" |
フットペダル | DW | DW-5000TD | — |
ビーター | Danmar Percussion | フェルト製 | — |
ミュート | — | スネア打面に置く鍵束のミュート(柏倉のオリジナル) | — |
出典:リズム&ドラム・マガジン「【Set Up】柏倉隆史」(2020年4月29日公開)。同記事に掲載されたDevil Rhythm Riverのライヴ時のセット内容です。
ドラムキット──CANOPUSの特注セットとビーチ・シェル
同誌によれば、柏倉が用いたのはCANOPUSの特注セットで、構成は1バス・2タム・1フロアタム。シェルはビーチ(ブナ材)で、ほぼ剥き出しのフィニッシュが施されています。セット全体については、タイコ同士の間隔を詰め、コンパクトにまとまっている点が特徴として挙げられています。
一方、toeのライブでのセッティングは同じではありません。リットーミュージックのT-ODが「Drummer's Set Up Vol.15」としてTシャツ化した際の商品説明には、モチーフにしたのがtoeのライヴにおけるセッティングであること、2014年より愛用しているCANOPUSのカスタム・モデルにPaisteのシンバルを組み合わせ、3台のスネア・ドラムを並べた多点キットであることが記されています。
💡 同じドラマーでも、バンドやプロジェクトによってセットは別物です。柏倉の場合、Devil Rhythm Riverでは1バス・2タム・1フロアタム+スネア1台のシンプルな構成、toeのライブではスネア3台を並べた多点キットと、公開されている情報の中でも構成が大きく異なります。
シンバル──Signature Dark CrispとFormula 602の組み合わせ
同誌のSET UP欄に挙げられたシンバルは、すべてPaiste製です。内訳はハイハットが14インチのSignature Dark Crisp Hi-Hat、クラッシュが16インチと18インチのFormula 602 Thin Crash、ライドが20インチのFormula 602 Medium Rideと記載されています。記事本文では、シンバル類にPaisteの現行Formula 602シリーズが使われており、サイズ構成はオーソドックスであると説明されています。
Formula 602は、Paisteの現行ラインナップでは「Formula 602 Classic」「Formula 602 Modern Essentials」としてシリーズ紹介ページが用意されています(https://www.paiste.com/en/products/series/formula-602-classic)。Signatureシリーズも別系統のシリーズとして併存しており、同シリーズのページ(https://www.paiste.com/en/products/series/signature)にはSignature Dark Crisp Hi-Hatが掲載されています。Paisteは同モデルを、開いた音にわずかな濁りを含み、チックの音がはっきり出る、表現の幅が広いハイハットと説明しています。SET UP欄の記載どおりに読めば、ハイハットだけが別系統ということになります。
ペダルとセッティング──左右ペダルの間隔と打面のミュート
フットペダルはDW-5000TD、ビーターはDanmar Percussion(ダンマー)のフェルト製が選ばれています。同誌が特徴として挙げているのが、フットペダルとハイハット・ペダルの間隔が極端に狭いという点です。左右の足の位置関係はフレーズの組み立てに直結する部分で、カタログスペックには現れない個人的な調整が読み取れる箇所といえます。
もうひとつが、スネアの打面に置かれた鍵束のミュート。同誌はこれを柏倉のオリジナルと記しています。そしてこの鍵束は、後にメーカーとの共同開発で製品になりました。詳しくは後述します。
シグネチャー・スネア2機種──SIG-1465TK1とTKT-1465AL3
CANOPUSからは、柏倉隆史の名を冠したスネアドラムが2機種発売されています。どちらもアルミ系のシェルを採用した14インチ×6.5インチという共通点を持ちながら、シェルの構造と厚みが異なります。
項目 | SIG-1465TK1 | TKT-1465AL3 |
|---|---|---|
位置づけ | 柏倉隆史 シグネチャースネア | 柏倉隆史 toe 25th Anniv. Model |
サイズ | 6.5”x14” | 6.5”X14” |
シェル | CenterBead Alumi 1.2mm | Aluminium 3mm Thick |
フィニッシュ | Hairline w/Clear Coat | — |
ラグ | Yaiba SD Lug 8H | Solid Tube Lug |
フープ | 1.6mm PH | Die Cast - 8H |
ヘッド | Canopus REMO SWC / SA | CB14E (2ply Coated) / SA |
スネアワイヤー | CPSL14 NP | CPSS-BB14SNP30 |
マフラー | CIM-20(Baseball Bat Type) | — |
価格 | 税別70,000円 | 税込139,700円 |
展開時期 | 2020年3月23日出荷開始/2020年12月まで | 2025年10月25日受注開始/2025年12月31日受注終了 |
現況 | 生産完了 | 生産完了 |
出典:CANOPUS公式製品ページ(SIG-1465TK1/TKT-1465AL3)。いずれも公式サイト上で生産完了として扱われています(2026年9月確認)。価格は公式ページの表記に合わせており、SIG-1465TK1のみ税別表記です。
SIG-1465TK1──構想6年、マフラーの使い分けから生まれた仕様
特筆すべきは、マフラーが専用設計になっている理由です。同ページは、柏倉の演奏スタイルのひとつとしてマフラーのハーフポジションとフルポジションを使い分けて演奏することがあると述べ、既存のマフラーではハーフポジションで固定するのが難しかったため、ポジション切り替え機能を備えたBaseball Bat Muffler CIM-20を開発したと説明しています。
つまりこのスネアは、シェル材やサイズよりも先に「ミュート量を演奏中に変える」という奏法上の要求が仕様に反映されたモデルということになります。音の性格については、アルミ合金と8テンションのラグによるファットでショートサスティーンなサウンド、チューニングレンジの広さ、音色の多彩さが挙げられています。
TKT-1465AL3──toe結成25周年の記念モデル
もう1機種のTKT-1465AL3は、toeの結成25周年を記念したモデルです。CANOPUS公式の製品ページ(https://canopusdrums.com/jp/product/takashi-kashikura-toe25th-anniv-model/)には、2025年で結成25周年を迎えるtoeが10月25日に両国国技館で結成25周年記念特別公演を開催すること、これにあわせて完全受注生産で発売されたこと、ライブ会場で実機が展示されたことが記載されています。
仕様面では、3mm厚のアルミニウム・シェルにダイキャストフープ(Die Cast - 8H)とSolid Tube Lugという構成。SIG-1465TK1の1.2mmシェルと比べるとシェル厚が大きく異なり、同じアルミ系でも別物の設計です。価格は税込139,700円、JANコードは4511239097069。
⚠ 2機種とも現在は新品で購入できません。SIG-1465TK1はCANOPUS公式サイト上で生産完了モデルのSignature Seriesに収録されており、TKT-1465AL3も受注期間(2025年10月25日〜12月31日)が終了し、製品ページに生産完了と表示されています。新品在庫として販売店に残っている場合を除き、入手経路は中古市場が中心になります。
私物の鍵束が製品になった──CANOPUS KM-1キーマフラー
柏倉の機材で、シグネチャー・スネア以上に「その人らしさ」が形になっているのが、CANOPUSのブラス製キーマフラーKM-1です。製品ページ(https://canopusdrums.com/jp/product/brass-key-bundle-muffler/)には、柏倉隆史との共同開発であることが明記されています。
KM-1の仕様と成り立ち
項目 | 内容 |
|---|---|
品番 | KM-1 |
品名 | Brass Key Bundle Muffler(ブラス製 キーマフラー) |
価格 | 3,960円(税込) |
JAN | 4511239086100 |
開発 | 柏倉隆史 共同開発 |
構造 | マグネット式。鍵までの形状が鎖になっており距離を変えられる |
出典:CANOPUS公式製品ページ「ブラス製 キーマフラー KM-1」。
同ページによれば、KM-1はスネアドラムに乗せるだけで迫力のあるミュート音が得られる製品として、ドラマーの現場経験から生まれたものと説明されています。スペアキーを1つ作るだけでも費用がかかるところ、鍵束を自作する手間とコストを省ける点も挙げられています。
ここで前半の話とつながります。リズム&ドラム・マガジンのSet Up(2020年4月公開)が、スネア打面の鍵束のミュートを柏倉のオリジナルとして紹介していたもの、それ自体が製品化されたということです。柏倉自身もKM-1の製品ページで、自分の私物として使っていた鍵のミュートを、CANOPUSとの共同開発という形で商品に落とし込んだとコメントしています。
本人が語るKM-1の使い方
KM-1の製品ページに掲載された本人コメントでは、具体的な運用が語られています。要点は次のとおりです。
マグネット式のためオン/オフの切り替えが速く、サビ前の1小節のフィルインでオンにし、抜ける際にオフにするといった使い方ができる
鍵までが鎖状になっているため、打面との距離を素早く変えられる
浅く当てれば鍵が鳴る音が加わり、深く当てればコンプレッサーで歪ませたような音も作れる
リムショットと併用するとより強調される
使い方によっては、本来のスネアの響きを抑える方向のサウンドも作れる
柏倉自身は、音に特徴を持たせたいとき、アクセントを加えたいとき、サウンドにスパイスが欲しくなったときの新しいスタンダードなギアとして使ってほしい、と述べています。機材を「買う」のではなく「音の選択肢を1つ増やす」という発想が、そのまま言葉になっている箇所です。
シグネチャー・スネアが2機種とも生産完了となっている一方で、KM-1はCANOPUS公式の製品ページに掲載が続いています。本記事で挙げた柏倉関連の製品のなかでは、もっとも安価に試せるアイテムです。
同じ機材を中古で探すには──流通量の実測とチェックポイント
CANOPUSのシグネチャー・スネア2機種はいずれも生産完了、キットは特注品、シンバルは現行品という構成のため、「同じものを揃える」ハードルは項目ごとに大きく違います。まず流通量を実際に数えるところから始めます。
中古市場での流通量(実測値)
楽器検索サイトのデジマートで、商品状態を「中古」「ヴィンテージ」に絞り込んで検索した結果は以下のとおりです(2026年9月15日時点)。
検索条件 | 該当件数 | 備考 |
|---|---|---|
CANOPUS(全商品状態) | 4,429件 | 母数 |
CANOPUS(中古+ヴィンテージ) | 39件 | 全体の約1% |
CANOPUS+「スネア」(中古+ヴィンテージ) | 9件 | スネアのみ |
PAISTE(中古+ヴィンテージ) | 89件 | — |
「paiste formula 602」(中古+ヴィンテージ) | 11件 | 年代混在 |
「paiste signature」(中古+ヴィンテージ) | 38件 | — |
出典:デジマート(CANOPUS中古検索/Formula 602中古検索)。2026年9月15日時点の該当件数です。件数は日々変動します。
CANOPUSの全出品4,429件に対し、中古・ヴィンテージは39件。全体の約1%にとどまり、スネアに絞ると9件でした。シグネチャー・モデル2機種を名指しで探す場合、在庫を見つけてから検討するのではなく、アラートを設定して出物を待つのが現実的な進め方になります。
💡 本記事では、対象機材の中古相場レンジを掲載していません。実測した母数が統計として提示できる水準に達しておらず、またFormula 602は1960〜80年代の個体と現行シリーズが同じ検索結果に混在するため、レンジを示すと実態と乖離するためです。代わりに、下の「判断材料」で価格の妥当性を自分で判定する手順を示します。
価格の妥当性を判断する手順
新品価格の基準を確認する CANOPUS公式に掲載されている価格が出発点です。TKT-1465AL3は税込139,700円、KM-1は税込3,960円、SIG-1465TK1は展開当時で税別70,000円でした。生産完了品の場合、公式に確認できる価格の基準は当時の定価です。
同シリーズの現行品と比べる 個体の型番が違っても、同じメーカーの近いスペックの現行品価格が上限の目安になります。CANOPUS公式の製品ページには、現行モデルの価格表が掲載されています(例:R.F.M. Drum Kit)。
年代と世代を切り分ける Paiste Formula 602は年代によって価値の評価軸が変わります。検索結果に1960〜70年代の個体と現行シリーズが混ざっている状態のまま、価格だけを比較しないでください。
付属品の有無を価格に織り込む SIG-1465TK1には専用ケースとポスターが付属していました。付属品の欠品は、同じ型番でも価格差の理由になります。
中古ドラム機材のチェックポイント
確認の流れはシェル → ベアリングエッジ → フープ → ヘッド → シンバル → ハードウェア → 梱包・配送の順です。
シェル(胴体) 割れ、変形、ラッピングの剥がれを確認します。アルミ系のシェルの場合は、打痕や歪みがフープとの合わせに影響していないかも見てください。
ベアリングエッジ(シェル上下端のヘッド接触面) 欠けや打痕、変形の有無。写真だけでは判断が難しいため、通販での購入時はエッジ部分の接写を依頼してください。
フープ 曲がり、錆、テンションボルト穴の広がりを確認します。TKT-1465AL3のようなダイキャストフープ仕様では、ヘッドが均一に張れるかどうかに直結する部分です。
ヘッド ヘッドは交換前提の消耗品ですが、長期間張りっぱなしだった個体はエッジへの負荷が蓄積していることがあります。ヘッドの古さはエッジ状態の間接的なサインとして見てください。
シンバル キーホール(中央の穴がスタンドとの摩擦で広がった状態)とクラック(ひび割れ)の有無が最重要です。クラックは進行するため、購入後に直すのは難しいとされます。裏面の写真を必ず確認してください。
ハードウェア クランプの摩耗、ネジの緩み、ペダルのスプリング劣化を確認します。締めてもすぐ緩む、動きが極端に重いといった症状は消耗のサインです。
梱包・配送 ハードケースまたはソフトケースに入った状態で発送されるかを確認します。ドラムシェルのラッピングは衝撃や摩擦に弱く、ケースなしの配送は破損リスクが高まります。
⚠ 機材だけでは音は再現できません。ドラムの音色はチューニング、ヘッドの選択、打点、奏法、演奏する部屋の響きによって大きく変わります。機材は音作りの出発点です。
よくある質問(FAQ)
柏倉隆史のドラムはどこのメーカーですか?
ドラムはCANOPUS(カノウプス)、シンバルはPaiste(パイステ)です。いずれもメーカー公式サイトのエンドーサー/アーティストページに掲載されています。CANOPUSからはシグネチャー・スネアが2機種(SIG-1465TK1、TKT-1465AL3)と、共同開発のキーマフラーKM-1が発売されています。
シグネチャー・スネアはいま買えますか?
2機種とも、CANOPUS公式サイト上では生産完了として扱われています(2026年9月確認)。SIG-1465TK1は生産完了モデルのSignature Seriesに収録され、TKT-1465AL3も受注期間が2025年12月31日で終了しています。販売店に新品在庫が残っている場合を除き、入手経路は中古市場が中心です。一方、共同開発のKM-1は公式の製品ページに掲載が続いています。
スネアの上に載っている鍵束のようなものは何ですか?
柏倉が自分の私物の鍵をミュートとして使っていたもので、リズム&ドラム・マガジンのSet Upでも本人のオリジナルとして紹介されています。これがCANOPUSとの共同開発によってブラス製キーマフラーKM-1(税込3,960円)として製品化されました。マグネット式で、演奏中にオン/オフを切り替える使い方が本人のコメントで紹介されています。
同じ機材を揃えれば同じ音になりますか?
なりません。ドラムの音色はチューニング、ヘッドの選択、打点や当て方、演奏する空間の響きで大きく変わります。柏倉の場合はさらに、マフラーのポジションを演奏中に使い分けるという操作が音の一部になっており、これはセッティングを揃えただけでは再現できません。ただし、同系統のシェルやシンバルを使えば音色の土台は近づきます。
toeとthe HIATUSでセットは違いますか?
公開されている情報の範囲では、プロジェクトごとに構成が異なります。リズム&ドラム・マガジンに掲載されたDevil Rhythm Riverでのセットは1バス・2タム・1フロアタムのシンプルな構成でしたが、T-ODが紹介するtoeのライブでのセッティングはスネア3台を並べた多点キットです。the HIATUSでのセットについては、本記事で扱った2つの資料のいずれにも記載がありません。
まとめ──柏倉隆史の機材を理解する3つの軸
第一に、CANOPUSとPaisteという2社の公式エンドース。CANOPUSは国内エンドーサー一覧に、PaisteはArtist Since 1999年7月として掲載しています。ドラムとシンバルのどちらも、メーカー公式で確認できる関係です。
第二に、シグネチャー機材の中身。SIG-1465TK1は構想6年をかけたモデルで、マフラーのハーフ/フルポジションを使い分けるという奏法上の要求から専用マフラーCIM-20が開発されました。TKT-1465AL3はtoe結成25周年の記念モデルで、3mm厚アルミシェルにダイキャストフープという別方向の設計です。両機種とも生産完了となっています。
第三に、私物が製品になったKM-1。スネア打面の鍵束のミュートは、リズム&ドラム・マガジンで本人のオリジナルとして紹介されていたもので、のちにCANOPUSとの共同開発でブラス製キーマフラーKM-1になりました。税込3,960円で現在も公式の製品ページに掲載されています。
少なくとも本記事で扱ったSIG-1465TK1とKM-1の2つについては、ブランドやスペックではなく、演奏中に何を変えたいかという操作の要求が製品の仕様に反映されている、という共通点があります。機材を選ぶ前に、手元で音をどう変えたいかを言語化してみると、比較する軸が定まりやすくなります。
サウンドマニア編集部
楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。


