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ギターピックの選び方! 厚さ・形状・素材を mm数値と物性データで比較

ギターピックの選び方!厚さ・形状・素材をmm数値と物性データで比較

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サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…

ギターピックは「形状×厚さ×素材」の3要素の組み合わせで選びます。迷ったらMedium(0.60〜0.80mm)のティアドロップ型・セルロイドかTORTEXが万能な出発点。ただし、弾き語りとメタルでは最適な組み合わせがまったく異なります。本記事では、メーカー公式スペックを横断した厚さmm対応表、素材メーカーの物性データシートに基づく硬度・弾性率の定量比較表、そしてジャンル・奏法別の逆引きセレクトガイドを用意しました。「なんとなく」のピック選びを卒業し、データと根拠に基づいて自分に合う1枚を見つけるための総合ガイドです。

※本記事はサウンドマニア編集部が独自に作成しており、特定のメーカー・販売店からの協賛・広告出稿を受けていません。

ピック選びの3要素 ── 形状・厚さ・素材が変わるとサウンドはこう変わる

同じギター・同じアンプでも、ピックを1枚替えるだけでサウンドは明確に変化します。ピックはギタリストの指先と弦をつなぐ唯一の接点──その小さなパーツが操作感・アタック感・トーンのすべてに関わっています。

ピックはギタリストと弦の唯一の接点

エレキギターの音作りではアンプやエフェクターに注目しがちですが、信号の起点はピックが弦を弾く瞬間です。弦の振動パターンはピックの硬さ・弦への接触角度・接触面積で決まり、ピッキングの質がそのままトーンの質に直結します。

裏を返せば、ピック選びを最適化するだけで、機材を変えずにサウンドを大きく改善できる余地があるということです。

形状・厚さ・素材 ── 3要素の役割を俯瞰する

  • 形状 → 弦との接触面積・グリップの安定感 → 操作感 (ピッキングの精度・ストロークのしやすさ)に最も影響

  • 厚さ → ピックのしなり量・弦への力の伝わり方 → アタック感とダイナミクス (シャリっと軽やかか、太くダイレクトか)に最も影響

  • 素材 → 硬度・表面摩擦・密度 → トーンの音色(明暗・倍音量)と耐久性 に最も影響

3要素は独立しているようで互いに絡み合います。たとえば「薄いナイロンのトライアングル型」と「厚いウルテムのジャズ型」では、同じギターでもまったく別のサウンド。各要素を掘り下げたうえで、「ジャンル・奏法別 逆引きセレクトガイド」で3要素をクロスさせた結論を出します。

ピック選びは形状・厚さ・素材の3要素の掛け合わせで決まり、1つだけを見ても最適解にはたどり着けません。

形状で変わるピッキングの操作感 ── 4つの定番シェイプを比較する

ティアドロップ型は国内外で最も流通量が多く、楽器店のピック売場でも棚の大半を占めるほど普及しています。しかし形状が変われば弦との接触面やグリップの安定感は大きく変わります。4つの定番シェイプの特徴を、まず比較表で俯瞰してみましょう。

形状

サイズ感

弦への接触面

向いている奏法

メリット

デメリット

ティアドロップ

中

やや狭い

リード・カッティング全般

汎用性が高く、リードからコードストロークまで対応

グリップ面が小さく、慣れないと持ち替え時に回転しやすい

トライアングル(おにぎり型)

大

広い

ストローク・アコギ弾き語り

3つの角が使え経済的。グリップ面が広く安定

繊細な単音リードのコントロールはやや苦手

ジャズ型(Jazz III系)

小

非常に狭い

速弾き・ジャズ・フュージョン

先端が鋭く、ピッキングの正確性が高い

小さいため慣れが必要。ストロークには不向き

サムピック

親指に装着

可変

フィンガーピッキング+親指のアタック

他の指を自由に使いながら親指のアタックを強化

フラットピックと持ち替えが煩雑。形状の好みが分かれる

ティアドロップ型 ── 最も普及した万能シェイプ

涙型のシルエットで、Fender 351やDunlop Standardなど定番モデルの大半がこの形状です。先端がほどよく鋭いため、コードストロークと単音リードの両方をこなせる汎用性の高さが支持される理由でしょう。初めてピックを買うなら、この形状を基準にするのが最も効率的です。

トライアングル型に比べるとグリップ面が小さいため、手汗が多い方は滑り止め加工付きのモデルも検討してみてください。

トライアングル型(おにぎり型) ── 安定したグリップと3角使いの利点

正三角形に近い大きめのシェイプ。3つの頂点すべてがピッキングポイントになるので、1つの角が摩耗したら回転させるだけで次の角を使えます。実質的な寿命はティアドロップの約3倍──コスト面で大きなメリットです。

グリップ面が広く握りが安定するため、アコギの弾き語りや力強いストロークに向いています。接触面が広い分、速いフレーズで弦に引っかかりやすいと感じる場合も。

ジャズ型(Jazz III系) ── 速弾きと正確性を追求する小型シェイプ

Dunlop Jazz IIIに代表される小型ピック。先端が極めて鋭角で弦との接触面積を最小限に抑えているため、弦をすばやく抜けます。16分音符以上の高速フレーズでピッキング精度を保ちやすいのはこの構造のおかげです。

Kirk HammettやJohn Petrucciなど、テクニカル系のプロギタリストにシグネチャーモデルが多いのもこの形状。グリップが小さく、ストロークで6弦を一度に鳴らす用途には不向きです。

サムピック ── フィンガーピッキングに親指のアタックを加える

親指にはめて使う特殊形状で、カントリーやアコースティックソロで使われています。他の指を自由に動かせるので、フィンガーピッキングの中で親指のベース音だけアタックを強調したい場面に有効です。フラットピックとの持ち替えが煩雑になるため、曲中ずっとフィンガー主体で弾くスタイルに適しています。

形状選びの第一歩は**「ストローク主体ならトライアングル、単音リード主体ならジャズ型、両方こなすならティアドロップ」**──この3分類で候補を絞ること。

厚さで変わるアタック感としなり ── mm数値で理解する5つの区分

ピックの厚さで最も売れ筋なのはMedium(0.60〜0.80mm)からHeavy(0.85〜1.20mm)の帯域。サウンドハウスのギターピックカテゴリーでもこの帯域の製品が常時上位を占めています(サウンドハウス ギターピックカテゴリー、2026年8月確認)。ところが「Medium」の定義はメーカーごとに異なり、数値を知らずに選ぶと想定と違う厚さのピックを手にしてしまうことがあります。

厚さ5区分の定義 ── Extra ThinからExtra Heavyまで

厚さの呼称に業界統一規格は存在しません。以下は複数メーカーの製品ラインナップから帰納的に整理した目安です(Fender公式ガイド、Jim Dunlop製品ページ等を基に2026年8月時点で整理)。

呼称

mm範囲

サウンド傾向

向く奏法

Extra Thin

0.38〜0.44 mm

シャリっと軽やか。倍音が多くきらびやか

軽いストローク・アコギのコード弾き

Thin

0.45〜0.56 mm

明るく繊細。しなりが大きい

アルペジオ・弾き語り

Medium

0.60〜0.80 mm

バランス型。アタック感としなりを両立

オールラウンド(ストローク+リード)

Heavy

0.85〜1.20 mm

太くダイレクト。アタック明瞭

リード・パワーコード・メタル

Extra Heavy

1.20 mm以上

極太でタイト。弦の振動をダイレクトに伝達

速弾き・ジャズ・ベース

Gravity Picks社は「薄いピックはストラミング向きで明るいトーン、厚いピックはリードプレイ向きで太いトーン、中厚はオールラウンド」と解説しており(Gravity Picks公式サイト)、この傾向は素材を問わず共通です。

メーカー横断mm対応表 ── 同じ「Medium」でも最大0.04mmの差

各メーカーの公式製品スペックを2026年8月時点で突き合わせると、同じ「Medium」表記でもFender 0.71mm、Dunlop 0.73mm、Ibanez 0.75mmと差があります。

呼称

Fender

Jim Dunlop

D'Andrea

Ibanez

Thin

0.44〜0.46 mm

0.46〜0.50 mm

0.46 mm

0.50 mm

Medium

0.69〜0.71 mm

0.60〜0.73 mm

0.71 mm

0.75 mm

Heavy

0.88〜1.00 mm

0.88〜1.00 mm

0.96 mm

1.00 mm

Extra Heavy

—

1.14〜1.50 mm

1.21 mm

1.20 mm

0.04mmの差はわずかに見えますが、しなり量やアタックの硬さとして指先には確実に伝わります。メーカーを横断してピックを比較する際は、呼称ではなくmm数値を基準にすると失敗を防げます。

薄いピックと厚いピック ── サウンドとプレイアビリティはこう変わる

薄いピック(0.50mm以下)はしなりが大きく、弦への抵抗が少ないためストロークが軽快になります。しなりの分だけ弦を弾くタイミングにわずかなタイムラグが生まれ、速いパッセージではアタックのコントロールが難しくなる面も。

厚いピック(1.00mm以上)はしなりがほぼゼロで、弦にダイレクトに力が伝わります。太く力強いトーンを得られる反面、初心者は力みやすく、弦抵抗が大きいため長時間のストロークで疲労を感じることも少なくありません。

なお、Dunlop TORTEXシリーズは色で厚さを識別できる仕組みです。

色

mm数値

厚さ区分

赤

0.50 mm

Thin

オレンジ

0.60 mm

Thin〜Medium

黄

0.73 mm

Medium

緑

0.88 mm

Medium〜Heavy

青

1.00 mm

Heavy

紫

1.14 mm

Extra Heavy

厚さ選びで迷ったらMedium帯(0.60〜0.80mm)から始め、ストロークが硬いと感じたら薄く、アタックが弱いと感じたら厚くシフトするのが効率的です。

素材で変わるトーンと耐久性 ── 物性データで7素材を比較する

セルロイドは1900年代初頭からギターピックに使われてきた最古の合成樹脂ピック素材で、現在も多くのメーカーが定番として採用しています。近年はウルテムやTORTEXなど高機能素材の選択肢が広がりましたが、「結局どの素材が何に優れているのか」は見えにくくなっています。素材メーカーの公開データシートの物性値で、7素材を定量的に比較します。

素材物性比較表 ── 硬度・しなり・耐久性を数値で見る

表の読み方:ロックウェル硬度(Mスケール)は素材の硬さを示す国際的な工業指標で、数値が大きいほど硬いことを意味します。曲げ弾性率(MPa)は素材がどれだけしなりにくいかを示す数値で、大きいほど硬くしなりにくくなります。

素材

密度(g/cm³)

ロックウェル硬度(Mスケール)

曲げ弾性率(MPa)

吸水率(%)

サウンド傾向

耐久性

出典

セルロイド

1.35〜1.40

M50〜M70

1,400〜2,100

1.0〜2.0

明るくバランス良い

△ やや短い

Omnexus

ナイロン(PA6)

1.13〜1.15

M60〜M75

2,700〜2,900

1.3〜1.8

暖かく丸い

△ 短め

MatWeb

ウルテム(PEI)

1.27

M109

3,300

0.25

明瞭でブライト

◎ 長い

MatWeb / SABIC

デルリン(POM)

1.42

M80〜M94

2,830

0.20

エッジが立つ

○ やや長い

MatWeb / DuPont

ポリカーボネート

1.20

M70〜M75

2,300〜2,400

0.15

クリアで硬質

○(割れに注意)

MatWeb

べっ甲(参考)

1.29

—(天然素材のため規格外)

—

—

暖かく上品

△ 割れやすい

—

金属(参考)

7.8〜8.9

—(スケール外)

—

0

金属的で倍音豊富

◎ ほぼ摩耗しない

—

注目すべきはウルテムの硬度M109と曲げ弾性率3,300MPa。セルロイド(M50〜M70、1,400〜2,100MPa)と比較すると硬度・しなりにくさともに大きく上回っており、「爪に最も近い弾性」と評される根拠がこの数値に表れています。吸水率0.25%と低く、汗や湿度による特性変化も極めて小さい素材です。

セルロイド ── 100年超の歴史が証明する万能素材

D'Andrea社が1922年にセルロイド製ピックの商業生産を始めて以来、ピック素材の代名詞であり続けてきました。明るくバランスの良いトーンでジャンルを問わず使え、Fender 351 Classicなど定番モデルの多くが採用。価格も1枚100円前後と手頃です。

曲げ弾性率が1,400〜2,100MPaと比較的低いため、薄いゲージではしなりが大きく、先端の摩耗も速め。もう1つ知っておきたいのは、セルロイド(硝酸セルロース)が消防法上「自己反応性物質」に分類される可燃性素材だという点です(消防法 別表第一、総務省消防庁)。

ピック1枚で実害が起こるリスクは極めて低いものの、大量保管時は高温・火気を避けてください。

ナイロン ── しなやかで暖かいトーンの定番

密度1.13〜1.15 g/cm³──7素材中最軽量で、しなやかな弾き心地が持ち味です。アタック音が丸くなるため、アコースティックギターのフィンガーストロークやジャズのコンピングで好まれてきました。Jimmy PageがHerco Flex 75(ナイロン、0.75mm)を愛用していたことでも知られるとおり、ロックでも暖かいトーンを求めるギタリストの選択肢になります。

注意点は吸水率の高さ(1.3〜1.8%、MatWebナイロン6データシート参照)。長時間握ると汗を吸ってグリップ感が変化し、滑りやすくなることがあります。Dunlop Max-Gripシリーズのように表面に滑り止め加工を施したナイロンピックを選べば、この問題を軽減できるでしょう。

ウルテム(PEI) ── べっ甲に最も近い弾性を持つ高機能素材

SABIC社の商標名で、正式な素材名はポリエーテルイミド(PEI)。ロックウェル硬度M109、曲げ弾性率3,300MPaはピック用合成素材の中で最高クラスです(SABIC ULTEM Resin Product Guide / MatWebより、2026年8月参照)。べっ甲に近い適度な硬さとしなりのバランスを再現しています。

トーンは明瞭でブライト。アタックの立ち上がりが速く、吸水率0.25%のため汗による特性変化がほぼありません。耐久性はセルロイドの4〜12倍程度(「素材ごとの消耗パターンと交換頻度の目安」を参照)。価格は1枚150〜300円前後とやや高めですが、交換頻度を織り込むとランニングコストはむしろ下がるケースが多い素材です。

TORTEX・デルリン(POM) ── グリップとエッジを両立する人気素材

デルリンはDuPont社のポリアセタール(POM)の商標名。摩擦係数が0.20と低く本来は滑りやすい素材ですが、Jim Dunlop社がこのデルリンをベースに独自配合と梨地加工(表面を微細に凹凸にして滑りにくくする加工)を施し、1981年にTORTEXとして発売しました。Dunlop社はTORTEXについて「べっ甲に最も近いトーンとフィーリングの実現を目指した」と説明しています(Jim Dunlop TORTEX公式ページより)。

つまり**「デルリン=TORTEX」ではなく、TORTEXは「デルリンベースの独自配合」**。この違いは覚えておいてください。

マット仕上げの独特なグリップ感と、エッジの効いたアタックがロック・メタル系のプレイヤーに特に支持されています。独特のマット質感が手になじまないと感じるプレイヤーもいるため、可能であれば1枚触れてから判断するのがよいでしょう。

べっ甲 ── ワシントン条約で希少化した天然素材

原料であるタイマイ(ウミガメの一種)は1975年にワシントン条約附属書Iに掲載され、日本は1992年末をもってべっ甲の輸入を全面停止しました(経済産業省「ワシントン条約規制対象貨物の概要」より)。現在市場に出回るべっ甲ピックは1992年以前の在庫や国内加工品に限られ、1枚数千円〜1万円以上で取引される希少品です。

暖かく上品なトーンで、天然素材ならではの適度なしなりが独特の弾き心地を生みます。個体差が大きく、繊維方向によって割れやすいという弱点も。現在はウルテムやTORTEXがべっ甲の代替として開発された経緯があり、サウンド面では合成素材で十分に近い特性を得られるようになっています。

ポリカーボネート・金属・その他の素材

ポリカーボネートは透明度が高く、クリアで硬質なトーン。しなりが少なくダイレクトなアタック感が魅力ですが、衝撃に弱く割れることがある点には注意が必要です。

金属ピック(ステンレス・ブラス等)はほぼ摩耗しない圧倒的な耐久性が魅力。Brian Mayが英6ペンス硬貨をピックとして使っていたエピソードは有名でしょう。独特の金属的な倍音が出ますが、弦の消耗が非常に速くなり、フレットへのダメージリスクもあるため、常用するかは好みと覚悟次第です。

その他、木材(暖かくソフトなトーン、消耗は速い)やカーボンファイバー(シャープなトーンで耐久性が高いが高価)なども存在します。

素材ごとの消耗パターンと交換頻度の目安

ピック選びでは購入時の音だけでなく、「どのくらいで先端が丸まるか」も判断材料になります。以下は楽器店スタッフ・ギター講師の公開レビュー複数件を横断的に整理した目安値です(2020〜2025年公開の複数ブログ記事を基にサウンドマニア編集部が整理)。個人の演奏強度・頻度で大きく変動するため、相対的な比較としてご活用ください。

素材

摩耗速度

摩耗パターン

交換頻度目安

セルロイド

やや速い

先端が削れて丸くなる

1〜2週間

ナイロン

速い

先端が丸くなりやすい

1〜2週間

ウルテム

遅い

先端がわずかに削れる程度

1〜3か月

TORTEX/デルリン

やや遅い

先端が徐々にすり減る

2〜4週間

ポリカーボネート

遅い

割れる場合がある

2〜3か月

べっ甲

やや速い

先端が欠ける・割れる

2〜4週間

金属

非常に遅い

ほぼ摩耗しない(弦が先に消耗)

半年以上

セルロイドやナイロンは1枚あたりの単価が安い反面、1〜2週間で先端が丸まりアタックが変わります。ウルテムは単価がやや高くても交換頻度が4〜12倍程度低いため、月単位のランニングコストではむしろ安くなるケースが多い──この点は見落とされがちです。

素材選びではトーンの好みに加え、硬度・吸水率・消耗速度を数値で比較することで、自分のプレイスタイルに合う素材を客観的に絞り込めます。

ジャンル・奏法別 逆引きセレクトガイド ── 「どれを選べばいい?」に答える

形状・厚さ・素材を個別に押さえたところで、読者が最も知りたいのは「自分が弾くジャンルには結局どの組み合わせが合うのか?」という結論でしょう。6つのジャンル・奏法パターンごとに、推奨する形状×厚さ×素材の組み合わせを一覧表にしました。これは典型的な出発点であり、最終的な正解は自分の手と耳で見つけるものです。

ジャンル・奏法別おすすめ組み合わせ一覧表

ジャンル・奏法

推奨形状

推奨厚さ帯

推奨素材系統

サウンドの方向性

弾き語り(アコギ)

トライアングル or ティアドロップ

Thin〜Medium(0.50〜0.73mm)

セルロイド / ナイロン

軽やかで明るいストローク

ロック全般(リフ+コード)

ティアドロップ

Medium〜Heavy(0.73〜1.00mm)

TORTEX / ウルテム

バランスの取れたアタックと太さ

メタル・速弾き

ジャズ型(Jazz III系)

Heavy〜Extra Heavy(1.00〜1.50mm)

ウルテム / TORTEX

シャープなアタック、正確な高速ピッキング

ジャズ・フュージョン

ジャズ型 or ティアドロップ

Heavy(0.88〜1.20mm)

ウルテム / ナイロン

暖かく太いトーン、繊細なダイナミクス

ファンク・カッティング

ティアドロップ

Medium(0.60〜0.80mm)

TORTEX / デルリン

キレの良いカッティング、歯切れの良さ

ブルース

ティアドロップ

Medium〜Heavy(0.71〜1.00mm)

セルロイド / ウルテム

暖かさとニュアンスを両立

弾き語りでは弦抵抗が少なく軽やかにストロークできるThin〜Medium帯が基本。メタル・速弾きではしなりが限りなくゼロに近いHeavy以上のジャズ型が定番で、弦をすばやく抜けるため高速フレーズの精度が上がります。ファンク・カッティングではMedium帯のほどよいしなりがカッティングのキレに直結します。

プロギタリストの使用ピックに学ぶ選び方のヒント

著名ギタリストが実際に使っているピックを知ることは、自分の選択の参考になります。以下は各メーカーの公式シグネチャーモデルページおよび公知のインタビュー情報を基に整理した一覧です(2026年8月時点で各メーカー公式に掲載の情報に基づく)。

ギタリスト

ピックモデル

厚さ

素材

主なジャンル

Jimmy Page

Herco Flex 75

0.75mm

ナイロン

ブルースロック

Eddie Van Halen

Dunlop EVH Max-Grip

0.60mm

ナイロン

ハードロック

Stevie Ray Vaughan

Fender Medium

0.71mm

セルロイド

ブルース

James Hetfield

Dunlop Black Fang

0.73mm

Ultex

スラッシュメタル

Kirk Hammett

Dunlop Jazz III

1.38mm

Ultex

スラッシュメタル

John Petrucci

Dunlop Trinity

1.40mm

Ultex

プログレッシブメタル

Eric Johnson

Dunlop Jazz III

1.38mm

ナイロン

ブルースロック

Brian May

英6ペンス硬貨

—

金属

ロック

同じメタルでもJames Hetfieldは0.73mm(Medium帯)、Kirk Hammettは1.38mm(Extra Heavy帯)と大きく異なります。Hetfieldはリフ・ダウンピッキング主体のため適度なしなりを好み、Hammettはリードソロの正確性を重視してしなりゼロの極厚ピックを選んでいます。Eddie Van Halenの0.60mmという薄さも意外に映りますが、軽快なタッピングやストローク主体のスタイルには薄めのピックが合っていたのでしょう。

プロの選択は参考になりますが、手の大きさや奏法の癖は一人ひとり異なります。出発点として捉え、そこから自分に合う方向へ調整してください。

ジャンル・奏法から形状×厚さ×素材の組み合わせを逆引きし、プロの実例も参考にしながら、候補を2〜3パターンに絞り込むのが効率的な選び方です。

ピックの持ち方・当て方で音が変わる ── 3つの変数を理解する

ピックの「選び方」に加えて、「持ち方・当て方」もサウンドに大きく影響します。形状・厚さ・素材を最適化しても、持ち方が不安定ではその性能を引き出せません。3つの変数と、ベース用ピックの選び方との違いを押さえておきましょう。

持つ深さ・角度・ピッキングの深さ ── サウンドを左右する3つの変数

① 持つ深さ(先端の露出量) 先端を5mm以上出すと弦への引っかかりが大きくなり、アタックが強くなります。2〜3mmに抑えると繊細なタッチになり、速いパッセージでの弦抵抗が減少。

② 角度(ピック面と弦のなす角度) 弦に対して平行(0°)に当てると最も抵抗が大きく、明瞭なアタック。15〜30°傾ける**「アングルピッキング」(ピックを弦に対して斜めに当てるピッキング方法)では弦との摩擦が減り、速弾きがスムーズに。45°以上傾ける「エッジピッキング」**(ピックの縁を弦に当てるようにして弾く方法)は柔らかく倍音豊かなトーンを生み、ジャズプレイヤーに多い手法です。

③ ピッキングの深さ 弦に浅く当てると軽やかで繊細な音、深く押し込むと力強く太い音。パワーコードでは深めに、クリーンアルペジオでは浅めに当てるのが一般的です。

この3変数は無意識に行っている方が多いですが、意識的にコントロールすれば同じピックでもサウンドの幅が大きく広がります。

ベース用ピックの選び方 ── ギターとの違いを整理する

ベースでピックを使う場合、ギターとは3つの点で選び方が変わります。

厚さ:ベース弦はゲージ045〜105(弦の太さを表す数値で、数値が大きいほど太い弦)とギターより太く、薄いピックでは弦に負けてしまいます。Medium以上(0.70mm〜)が主流で、Heavy帯を好むベーシストも少なくありません。

形状:トライアングル型(おにぎり型)の使用率がギターより高い傾向にあります。グリップの安定感と広い接触面がベースのピッキングに適しているためです。

素材:デルリン/TORTEXやウルテムなど、アタックが明瞭で耐久性の高い素材が好まれます。ベース弦は太くニッケル巻きが多いため、ピックの摩耗がギターより速く、耐久性は選択の重要な軸です。

ピックの性能を最大限に引き出すには、形状・厚さ・素材の選択に加えて、持ち方の3変数──持つ深さ・角度・ピッキングの深さ──を意識的にコントロールしてください。

ピック選びのよくある疑問(FAQ)

初心者はまず何を買えばいい?

Medium(0.60〜0.80mm帯)のティアドロップ型を、セルロイドとTORTEXで1枚ずつ。この2枚を同じフレーズで弾き比べると、素材による音の違いが実感しやすくなります。1枚あたり100円前後なので、異なる厚さ・素材を3〜5枚試すところから始めてみてください。

ピックは何枚くらい持っておくとよい?

練習用に同じ仕様のピックを3〜5枚、予備として手元に置いておくのが実用的です。ピックは消耗品で、先端が丸まると音質が変わるため、練習中にすぐ交換できるストックがあると安心でしょう。ライブでは足元に予備を貼る、マイクスタンドにホルダーを付けるなどの工夫をしているプレイヤーが多くいます。

高いピックと安いピックで音は変わる?

1枚100円のセルロイドと1枚300円のウルテムでは、素材の物性値が異なるため音質にも違いが出ます。価格差の主因は「素材の製造コスト」であり、高い=良い音とは限りません。「素材物性比較表 ── 硬度・しなり・耐久性を数値で見る」で示したとおり、硬度・しなり・耐久性の違いが音と弾き心地の差として現れます。自分の好みに合う素材であれば、価格帯に関わらずそれが「良いピック」です。

ピックを使わないフィンガーピッキングとの使い分けは?

フィンガーピッキングは指の腹が弦に触れるため暖かく柔らかいトーン、ピック弾きはアタックが明瞭でシャープなトーンになります。アコギの弾き語りやクラシック、ジャズのコードワークではフィンガーが好まれ、ロックやメタルではピックが主流。曲中で使い分けるプレイヤーもいるため、どちらか一方に限定する必要はありません。

ピック選びの疑問は**「まず試すこと」で大半が解消されます**。異なる仕様を数枚ずつ手に取り、同じフレーズで弾き比べるのが最も確実です。

まとめ ── 自分だけのピックを見つけるために

本記事で解説した要点を3つに絞って振り返ります。

  • 形状×厚さ×素材の3要素の組み合わせで選ぶ :形状は操作感、厚さはアタック感としなり、素材はトーンと耐久性をそれぞれ左右します。1つの要素だけでなく、3つの掛け合わせで自分の演奏スタイルに合う組み合わせを探すのが最も効率的です。

  • 厚さのmm数値はメーカーごとに異なる :同じ「Medium」でもFender 0.71mm、Dunlop 0.73mm、Ibanez 0.75mmと差があります。メーカーを横断して比較するときは呼称ではなくmm数値を基準にしてください。

  • 素材の耐久性もコスト計算に含める :ウルテムはセルロイドより単価が高くても、交換頻度が4〜12倍程度低いため月単位のランニングコストはむしろ安くなる傾向があります。

迷ったらMedium(0.60〜0.80mm)のティアドロップ型から試し、そこを基準に「もっと硬いアタックが欲しい→厚くする」「もっと軽やかに弾きたい→薄くする」と調整するのが、最も遠回りしないアプローチです。まずは異なる厚さ・素材のピックを3〜5枚手に取り、同じフレーズを弾き比べてみてください。指先が感じる違いが、自分だけのピック選びの最良の判断基準になります。

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サウンドマニア編集部

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