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ギターリペア費用を 項目別に解説 納期目安と買い替え 判断の考え方

ギターリペア費用を項目別に解説!納期目安と買い替え判断の考え方

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サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…

「見積もりが3万円と言われたけれど、これは高いのか安いのか」──ギターを修理に出すとき、多くの人が最初につまずくのが相場感のなさです。

ギターリペアの費用は、修理項目によって1,000円台から20万円超まで大きな幅があります。たとえばセットアップ(総合調整)は3,000〜10,000円、フレット交換は25,000〜60,000円、ネック折れ修理は25,000〜80,000円、全塗装リフィニッシュは80,000〜250,000円が相場帯です(2026年6月時点)。同じ修理項目でも大手楽器店チェーンと個人工房では価格帯が異なります。

この記事では、島村楽器・石橋楽器・黒澤楽器の大手3社と個人工房の公開料金を横断比較した独自テーブルを中心に、費用に幅がある理由、リペアか買い替えかの判断基準、中古ギター購入時のリペアコストの考え方まで解説します。

矢野経済研究所の調査によると、国内楽器市場規模は約3,600〜3,800億円(2023年、メーカー出荷金額ベース)に上ります(出典:矢野経済研究所『楽器・音響機器マーケットに関する調査』2024年9月発表)。経済産業省『生産動態統計』によれば、2023年の国内ギター出荷金額は約98億円(エレキギター約52億円、アコースティックギター約46億円)です(出典:経済産業省『生産動態統計(機械統計編・楽器)』2024年3月公表)。しかし出荷後に発生するリペア・メンテナンスの市場規模は公的統計に区分が存在せず、「見えない需要」のまま可視化されていません。本記事が大手チェーン3社と個人工房の公開料金を横断比較して整理すること自体が、この見えない市場に具体的な相場感を提供する試みです。

【主要修理項目の費用早見表】(2026年6月時点・税込・部品代別)

修理項目

大手チェーン帯

個人工房帯

セットアップ(総合調整)

5,500〜11,000円

3,000〜8,000円

フレットすり合わせ

8,800〜13,200円

8,000〜15,000円

フレット交換(リフレット)

33,000〜44,000円

25,000〜55,000円

ナット交換(牛骨)

4,400〜5,500円

3,500〜6,000円

ネック折れ修理

33,000円〜

25,000〜60,000円

全塗装リフィニッシュ

88,000円〜

80,000〜250,000円

出典:島村楽器・石橋楽器店・黒澤楽器店の公式リペア料金ページおよび複数の個人工房公開料金(2026年6月閲覧)をサウンドマニア編集部が整理。詳細な横断比較は「修理項目別のリペア費用と納期一覧」で解説しています。

ギターリペアの費用に幅がある理由──見積もりを読み解く5つの変動要因

同じ「フレット交換」でも、見積もり金額は25,000円から60,000円近くまで開きます。理由は1つではなく、ギターの種類・ネック接合方式・パーツ素材・塗装方式・依頼先の業態という5つの要因が掛け合わさっているためです。見積もりを受け取って「高いのか・安いのか・妥当なのか」を判断するには、この5要因の理解が出発点になります。

【リペア費用を変動させる5つの要因】

費用の最終金額は、①ギターの種類 → ②ネック接合方式 → ③パーツ素材・グレード → ④塗装方式 → ⑤依頼先の業態、という5つのレイヤーが順に重なって決まります。①〜④はギター本体の仕様による変動、⑤は依頼先の選択による変動です。

ギターの種類(エレキ・アコギ・クラシック)による費用差

エレキギターとアコースティックギターでは、同じ修理項目でもアコギの方が10〜30%高くなります。たとえばフレット交換は、島村楽器の公開料金でエレキ38,500円〜に対しアコギ44,000円〜(2026年6月時点)。アコギはボディがホロー構造(中空)で、指板にバインディング(縁飾り)が付いている個体も多く、作業工程が増えることが主な理由です。クラシックギターはナイロン弦用のナット・サドル加工が必要なため、パーツ周りの費用がさらに変わります。

ネック接合方式(ボルトオン・セットネック・スルーネック)の影響

ネック関連の修理費用は、ネックとボディの接合方式で大きく変わります。ボルトオン(Fender Stratocaster等)はネックの着脱が容易なため、ネック周りの作業費は最も安い構造です。セットネック(Gibson Les Paul等)は接着剤で固定されており、ネック折れ修理やネックリセットの難易度が上がる分、費用も高額になります。スルーネック(Ibanez上位機種等)はネックとボディの一体成形で、ネック折れ修理は最も高額。損傷の程度によっては修理不可能と判断されることもあります。

パーツ素材・グレードと塗装方式による費用差

修理に使うパーツの素材選択だけで、費用が数千円から数万円単位で変わります。

項目

素材・方式

費用傾向(2026年6月時点)

ナット素材

TUSQ(人工素材)

3,500〜4,500円

ナット素材

牛骨

4,400〜5,500円

ナット素材

ブラス(真鍮)

5,000〜7,000円

フレット素材

ニッケルシルバー

標準価格

フレット素材

ステンレス

ニッケルの1.3〜1.5倍

塗装方式

ポリウレタン/ポリエステル

標準価格

塗装方式

ラッカー

ポリ系の1.2〜1.5倍

TUSQ(タスク)はGraph Tech社が開発した人工素材で、品質のばらつきが少なくコストも抑えられます。ステンレスフレットは耐摩耗性に優れ交換頻度を大幅に減らせる反面、硬い素材ゆえ加工に手間がかかり工賃が上がります。ラッカー塗装は乾燥時間が長く薄膜を何度も重ねる必要があるため、リフィニッシュ費用はポリ系より高額です。

依頼先の業態による価格差──大手チェーン・個人工房・メーカー修理

リペアの依頼先は大きく3系統に分かれ、それぞれ特徴が異なります。

業態

価格傾向

メリット

デメリット

大手楽器店チェーン

一律料金表あり。中〜やや高め

全国店舗で持ち込み可・料金が明瞭・短期保証がつく場合あり

混雑時は納期が長い・外注の場合もある

個人リペア工房

工房ごとに異なる。安〜中程度

技術者と直接相談できる・柔軟な価格設定・こだわりの仕上げ

工房ごとの技術差がある・保証は工房次第

メーカー修理

個別見積もり。やや高め

純正部品を使用・メーカー保証内なら無償修理の可能性

対象機種が限定される・納期が長い傾向

サウンドマニアは特定のリペアショップ・楽器店と提携関係にありません。3系統それぞれに向いたケースがあるため、自分のギターの修理内容に合わせて業態を選んでください。

見積もりの「高い・安い」は、これら5つの変動要因のどこに該当するかで判断できます。単純な金額比較だけでは妥当性を見誤るため、見積もりを受け取ったらまず「どの変動要因が金額に影響しているのか」を確認してみてください。

【費用相場を横断比較】修理項目別のリペア費用と納期一覧

大手楽器店チェーン3社と個人工房の公開料金を、サウンドマニア編集部が2026年6月時点で各社公式料金ページを確認し横断比較しました。サウンドマニアは特定のリペアショップと提携関係にありません。

基本調整・セットアップの費用と内容

セットアップとは、弦高調整・オクターブ調整・ネック反り確認(トラスロッド調整)・ピックアップ高さ調整などを総合的に行う作業です。ギターの不調を感じたとき「まず試すべき最初のステップ」にあたります。大手チェーンでは5,500〜11,000円、個人工房では3,000〜8,000円が目安(2026年6月時点)。弦交換とセットで依頼すると工賃が割安になるショップもあります。新品購入後の初期セットアップや季節の変わり目の調整など、年1〜2回の定期メンテナンスとして利用しているプレイヤーも多い作業です。

フレットすり合わせ・フレット交換(リフレット)の費用

フレットすり合わせは、摩耗して高さが不均一になったフレット(ネック上の金属の棒で、弦を押さえる位置を決める部品)の頂点を均一に削り直す作業です。大手チェーンで8,800〜13,200円、個人工房で8,000〜15,000円が相場帯(2026年6月時点)。フレットの残り高さが0.5mm以上あればすり合わせで対応でき、それ以下に減っている場合はフレット交換(リフレット)が必要です。

フレット交換は全フレットを抜いて新品に打ち替える作業で、大手チェーンではエレキ33,000〜38,500円、アコギ38,500〜44,000円が目安。個人工房ではエレキ25,000〜45,000円、アコギ30,000〜55,000円と幅があります。ステンレスフレットを選ぶとニッケルシルバーの1.3〜1.5倍程度の工賃が加算されるものの、耐摩耗性が高く次の交換までの期間が大幅に延びるのがメリットです。

ナット交換・ペグ交換・ブリッジ修理の費用

ナット(ヘッド側で弦を支える溝付きの部品)の交換は素材によって費用が変わります。大手チェーンでは牛骨で4,400〜5,500円、TUSQで3,850〜4,500円程度。個人工房では3,500〜6,000円です(2026年6月時点)。ナットの溝が深くなりすぎると開放弦がビビるため、消耗品として適時交換が必要になります。

ペグ交換の工賃は2,000〜4,000円程度ですが、ペグ本体の部品代は別途かかります。ペグ穴の径が合わなければ穴の拡大・埋め加工が追加され、工賃が5,000〜10,000円程度上乗せされることもあるため注意してください。ブリッジの修理・交換はエレキで3,000〜8,000円(工賃)、アコギのブリッジ剥がれ再接着は8,000〜15,000円が目安。いずれも工賃と部品代を分けて見積もりを確認することが大切です。

配線修理・ピックアップ交換の費用(エレキギター)

ポット(ボリュームやトーンのつまみ)のガリノイズ、ジャックの接触不良、断線といったエレキギターの電装系トラブルは、部分修理で3,300〜5,000円程度から対応できます(2026年6月時点)。ポットやジャックの部品交換を含むと部品代が加算され、4,000〜8,000円程度になるケースが多いでしょう。

ピックアップ交換の工賃は、シングルコイル1基あたり2,750〜3,300円、ハムバッカー1基あたり3,300〜5,000円。配線全交換(ポット・コンデンサ・ジャック・配線材をすべて一新する作業)は工賃のみで8,000〜15,000円程度です。ガリノイズの原因がポットの接触不良だけであれば、接点洗浄スプレーによるセルフメンテナンスで解消できることもあるため、「セルフメンテナンスとプロリペアの境界線」も参考にしてください。

ネック折れ修理の費用と注意点

大手チェーンで33,000円〜、個人工房で25,000〜60,000円が相場帯です(2026年6月時点)。折れ方によって難易度は大きく変わります。ヘッド付け根の単純な折れは比較的安価に収まる一方、ボディ接合部の複雑な破損や木材が砕けている場合は60,000〜80,000円以上に達することも。

⚠ ネック折れ修理の注意点

ネック折れは修理しても「完全に元の強度に戻る」とは限りません。接着と補強によって演奏に支障のないレベルまで回復するケースがほとんどですが、同じ箇所が再び折れるリスクはゼロにならないのが実情です。中古市場では修理の完成度にかかわらず「ネック折れ修理歴あり」の個体は査定額が概ね30〜50%下落します(サウンドマニア編集部が中古楽器流通データを基に整理、2026年6月時点)。修理に出す前に、費用と資産価値への影響を併せて検討してください。

塗装修理・リフィニッシュの費用

塗装の修理は、範囲と方式で費用が大きく異なります。小さな打痕や剥がれの部分タッチアップは5,000〜15,000円程度。ボディ全体の全塗装リフィニッシュ(塗装をすべて剥がして塗り直す作業)は大手チェーンで88,000円〜、個人工房で80,000〜250,000円が相場帯です(2026年6月時点)。ラッカー塗装は乾燥工程に時間がかかるため、ポリウレタン塗装の1.2〜1.5倍の費用と1〜3ヶ月の長い納期を見込んでください。

見た目の回復効果は大きい一方、中古市場では「オリジナル塗装でない」ことが減額要因です。演奏用ギターなら気にする必要はありませんが、将来的に売却を考えている場合はリフィニッシュの判断を慎重に。

アコギ特有の修理──ネックリセット・ブリッジ剥がれ・ブレーシング修理

アコースティックギターには、エレキにはない高額修理項目があります。ネックリセットとは、ネックの取り付け角度を修正する大規模修理で、弦高がどんどん上がってトラスロッド調整でも対応できなくなった場合に必要です。費用は50,000〜100,000円、納期は3〜8週間が目安。ブリッジ剥がれの再接着は8,000〜15,000円、ボディ内部の力木(ブレーシング)の剥がれ・割れの修理は10,000〜30,000円が相場帯です(2026年6月時点、個人工房の公開料金から集約)。いずれもアコギのボディ構造に関わる修理で、放置すると演奏性と音質が著しく悪化するため、症状を感じたら早めに工房へ相談してください。

横断比較テーブル:修理項目別の費用相場と納期目安(統合版)

修理項目

島村楽器(税込)

石橋楽器(税込)

黒澤楽器(税込)

個人工房帯(税込目安)

納期目安

セットアップ(総合調整)

5,500円〜

5,500円〜

—

3,000〜8,000円

1〜3日

フレットすり合わせ(エレキ)

11,000円〜

8,800円〜

9,900円〜

8,000〜15,000円

3日〜1週間

フレット交換(エレキ)

38,500円〜

33,000円〜

35,200円〜

25,000〜45,000円

2〜4週間

フレット交換(アコギ)

44,000円〜

38,500円〜

—

30,000〜55,000円

2〜4週間

ナット交換(牛骨)

4,400円〜

4,950円〜

5,500円〜

3,500〜6,000円

3日〜1週間

ペグ交換(工賃)

3,300円〜

2,750円〜

—

2,000〜4,000円

1〜3日

配線修理

3,300円〜

2,750円〜

—

3,000〜5,000円

1〜5日

ピックアップ交換(工賃/1基)

3,300円〜

2,750円〜

—

2,500〜5,000円

1〜5日

ネック折れ修理

33,000円〜

38,500円〜

33,000円〜

25,000〜60,000円

2〜6週間

ネック調整(トラスロッド)

1,100円〜

1,100円〜

—

1,000〜2,000円

即日〜翌日

部分タッチアップ

5,500円〜

—

—

5,000〜15,000円

1〜3週間

全塗装リフィニッシュ

110,000円〜

88,000円〜

—

80,000〜250,000円

1〜3ヶ月

ブリッジ剥がれ再接着(アコギ)

—

—

—

8,000〜15,000円

1〜2週間

ネックリセット(アコギ)

—

—

—

50,000〜100,000円

3〜8週間

出典:島村楽器 公式リペア料金ページ、石橋楽器店 公式リペア料金ページ、黒澤楽器店 リペア工房、および複数の個人工房公開料金(2026年6月閲覧)をサウンドマニア編集部が整理。価格はすべて税込・部品代別(特記なき場合)。「—」は公式サイト上で該当項目の料金が確認できなかった項目。料金は予告なく変更される場合があります。最新料金は各社公式サイトでご確認ください。繁忙期(年末年始・GW前・ボーナス期)は納期が通常の1.5〜2倍になる場合があります。

このテーブルで自分の修理項目の相場帯を確認し、実際に受け取った見積もりが妥当かどうかの判断材料にしてください。大手チェーン3社と個人工房では同じ修理でも数千〜数万円の幅があるため、複数の見積もりを比較すると相場感がつかめます。

リペアか買い替えか──費用から考える損益分岐の目安

フレット交換に35,000円──その金額を見て「このギターにそこまでかける価値があるのか」と迷うのは自然な反応でしょう。判断の軸は修理費用の絶対額ではなく、ギター本体の現在の市場価値(中古相場)との比率です。

【リペアか買い替えかの判断チャート】 リペア費用 ÷ 本体の中古相場 │ ├ 30%以下 → 「リペアが経済的に合理的」ゾーン ├ 30〜50% → 「ギターへの思い入れ・希少性で判断」ゾーン └ 50%超 → 「買い替えも検討する価値あり」ゾーン ※思い入れのあるギター・廃番モデル・ヴィンテージは  経済合理性だけでは割り切れません

判断の目安──リペア費用と本体の中古相場を比べる

リペア費用が本体の中古相場の50%を超えたら、買い替えも選択肢に入ります。これはリペアショップや楽器買取の現場で広く共有されている実務的な目安であり、公的な基準ではありません。

新品3〜5万円帯のエントリーモデル(中古相場1.5〜3万円程度)のフレット交換に30,000〜40,000円かかる場合、リペア費用が本体中古相場の100%以上に達します。同価格帯の状態の良い中古ギターや新品エントリーモデルへの買い替えの方が経済的に合理的です。

一方、新品10万円以上の中〜高価格帯モデル(中古相場6〜10万円程度)であれば、フレット交換35,000円は中古相場の35〜58%に収まります。このゾーンではリペアして弾き続ける方が合理的になりやすく、思い入れや希少性を加味して判断する余地が生まれるでしょう。

買い替え時の「隠れコスト」──売却手数料・送料・再購入費用

「買い替えた方が安い」と感じても、売却から再購入までの総コストを計算すると意外と差が縮まります。

項目

メルカリで売却の場合

ヤフオクで売却の場合

売却価格(例)

30,000円

30,000円

販売手数料

3,000円(10%)

3,000円(10%)※プレミアム会員は8.8%

送料(ギター発送)

約2,000〜3,000円

約2,000〜3,000円

手取り

約24,000〜25,000円

約24,000〜25,000円

再購入費用(中古・同等品)

30,000〜50,000円

30,000〜50,000円

買い替え実質負担

約5,000〜26,000円

約5,000〜26,000円

※販売手数料・送料は2026年6月時点。ヤフオクのプレミアム会員は月額508円で手数料が8.8%に下がります。

この例では、買い替えの実質負担は5,000〜26,000円。フレット交換の費用(25,000〜45,000円)と比べて必ずしも大きく安いわけではなく、リペア後のギターがそのまま手元に残る安心感も含めて総合判断する必要があります。

経済合理性だけでは判断できないケース

金額ベースの判断を整理してきましたが、経済合理性だけでは割り切れないギターも存在します。初めて買った思い出の1本、すでに廃番になったモデル、入手困難なヴィンテージ、長年弾き込んで身体に馴染んだ個体──替えが効かないギターです。リペア費用が中古相場を超えていても、修理して弾き続ける選択には十分な理由があります。「このギターでなければならない理由があるか」を自分自身に問いかけることが、後悔しない判断につながるはずです。

リペア費用と中古相場の比率を基本軸に、経済合理性と思い入れの両面から判断する──後悔しないリペアの意思決定の基本はここにあります。

中古ギター購入時に押さえたいリペアコストの考え方

中古ギターを5万円で購入してもフレット交換で3万円かかれば総コストは8万円──この「購入後のリペア費用」を見落とすと、新品を買った方が安かったという結果になりかねません。中古ギターは「購入価格+想定リペア費用=総コスト」で新品と比較してください。

「購入価格+リペア費用=総コスト」で新品と比較する

中古ギターの「お買い得度」は本体価格だけでは測れません。

比較項目

ケースA:状態Bの中古ストラト

ケースB:状態Cの中古レスポール

中古購入価格

50,000円

80,000円

想定リペア

フレット交換+ナット交換

フレット交換+ナット交換+配線全交換

リペア費用見込み

約35,000〜40,000円

約45,000〜55,000円

総コスト

85,000〜90,000円

125,000〜135,000円

同グレード新品の参考価格

70,000〜90,000円

150,000〜200,000円

ケースAでは総コストが新品価格帯と同等か上回ってしまう可能性があります。ケースBでは新品との差が15,000〜65,000円ほど残り、中古+リペアの方が経済的にメリットがある計算です。中〜上位グレードの中古ギターは「購入価格+リペア」でも新品より安く、しかも当たり個体を選べるという利点も見逃せません。

購入先別のリペアリスク──店舗購入と個人売買の違い

中古ギターの購入先によって、購入後のリペアリスクと対応が変わります。

比較項目

中古楽器店(店舗購入)

個人売買(フリマ・オークション)

動作保証・返品

保証期間あり(1週間〜1ヶ月程度が多い)

ノークレーム・ノーリターンが多い

状態の事前確認

店頭で試奏可・スタッフに相談可

写真と出品者コメントが中心

想定外リペアのリスク

低い(メンテナンス済みで販売される場合が多い)

高い(未調整・不具合の未申告がある場合も)

価格帯

個人売買よりやや高め

安価に入手できる可能性がある

個人売買で中古ギターを購入する場合は、出品者に「フレットの残量」「ネックの状態(反り・捻れ)」「電装系の動作」を具体的に確認し、可能であれば現物確認・試奏を行うことでリスクを大幅に減らせます。購入前に「購入価格+想定リペア費用」で総コストを算出してから判断してください。

リペア歴が中古ギターの査定額に与える影響

リペアの内容によって、中古市場での査定額への影響は大きく異なります。

リペア内容

査定への影響

備考

フレット交換(リフレット)

中立〜やや好意的

消耗品の交換。「弾けるコンディション」の証として評価されることもある

ナット・サドル交換

中立

消耗品のため大きな減額要因にはならない

電装系リフレッシュ

中立〜好意的

動作の安定性としてプラス評価されやすい

ネック折れ修理歴

大幅マイナス(概ね30〜50%減額)

修理の完成度にかかわらず減額。特にGibson系で影響大

塗装リフィニッシュ歴

マイナス

オリジナル塗装でないことが「改造」とみなされる。ヴィンテージは影響大

非オリジナルパーツ交換

状況による

オリジナルパーツが保管されていれば減額幅は限定的。紛失は大幅減額

サウンドマニア編集部が中古楽器流通データおよび買取業者の公開査定基準を基に整理、2026年6月時点。個別ケースで異なる場合があります。

将来的に売却する可能性があるなら、交換したオリジナルパーツの保管とリフィニッシュの慎重な判断が資産価値を守るポイントです。

中古ギターは「購入価格+想定リペア費用=総コスト」で新品と比較し、購入先ごとのリペアリスクと将来の資産価値まで含めて判断するのが賢い買い物の基本です。

セルフメンテナンスとプロリペアの境界線──DIYで費用を抑えられる範囲

弦交換やオクターブ調整は自分でできる。フレット交換やネック折れは明らかにプロの領域。その間にある「どちらとも言えないグレーゾーン」が、費用を節約できるかどうかの分かれ目です。

【DIY可否の判断フローチャート】 症状を確認 │ ├ 弦交換/弦高調整/オクターブ調整/クリーニング │ → DIY可(初心者OK) │ ├ トラスロッド微調整/接点洗浄/ペグ増し締め │ → DIY可(中級者・工具あり) │ └ フレット作業/ナット整形/ネック折れ/ 配線全交換/塗装/ネックリセット → プロに依頼推奨(専門工具が必要・失敗は不可逆)

DIYで対応できる作業と費用の目安

作業

難易度

必要な工具

費用目安

弦交換

初心者OK

ニッパー・ストリングワインダー

弦代のみ(500〜2,000円)

弦高調整(エレキ)

初心者OK

六角レンチ(付属品)

0円

オクターブ調整

初心者OK

チューナー・ドライバー

0円

ボディ・指板クリーニング

初心者OK

クロス・レモンオイル等

500〜1,500円

ペグ増し締め

初心者OK

ドライバー・レンチ

0円

トラスロッド微調整

中級者向け

トラスロッド用レンチ

0円

接点洗浄(ガリ対策)

中級者向け

接点洗浄スプレー

500〜1,000円

⚠ トラスロッド調整の注意

トラスロッド(ネック内部に埋め込まれた金属の棒で、ネックの反りを調整する部品)の調整は、1/8回転ずつ、1日に合計1/4回転以内を目安に慎重に行えば中級者でも対応可能です。ただし過剰な回転はロッド破損(不可逆)につながります。不安があれば無理をせずプロに任せてください。

プロに任せるべき作業──不可逆リスクのある修理

以下の作業はすべて「失敗すると元に戻せない」リスクがあるため、プロリペアマンへの依頼を推奨します。

  • フレットすり合わせ・フレット交換:専用のすり合わせファイル・ストレートエッジ等の専門工具が必要。削りすぎるとフレット交換が必要になり、結果的に費用が増えます

  • ナット交換・溝切り:弦の太さに合わせて溝を適切な深さ・幅に切る技術が求められます。溝が深すぎると開放弦がビビり、ナットの再製作に

  • ネック折れ修理:木工と塗装の高度な技術が必要。DIYで修復を試みて状態を悪化させると、プロに出した際の修理費が大幅に増加するリスクがあります

  • 配線全交換・ピックアップ交換:はんだ付けの技術が必要です。はんだ不良は断線・ノイズの原因に。ただしはんだ付けの経験がある方は対応できる場合も

  • 塗装リフィニッシュ:下地処理・塗装環境・乾燥管理が必要で、家庭環境での実施は難易度が極めて高い作業です

  • ネックリセット(アコギ):蒸気によるネック取り外し等の専門技術が求められます。構造を熟知していないと取り返しのつかない損傷を招くおそれがあります

DIYで対応できる範囲はセットアップ系の基本作業にとどめ、構造に手を加える修理はプロに任せる──これが費用を抑えつつギターの価値を守る賢い線引きです。

リペアショップへの依頼手順と見積もりの取り方

初めてリペアに出す場合、「どうやって頼めばいいのか」という手順自体が不安になることもあるでしょう。依頼フローは全国共通でシンプルです。

【リペア依頼の流れ(6ステップ)】 ① 症状の確認・相談(店頭/メール/電話/LINE) ↓ ② 見積もり(多くのショップで無料) ↓ ③ 修理内容・金額の確認・承諾 ↓ ④ 修理作業(項目により数日〜数ヶ月) ↓ ⑤ 完了連絡 ↓ ⑥ 受け取り・支払い

見積もりの取り方と相見積もりのすすめ

店頭持ち込みの場合、ほとんどのショップで見積もりは無料です。見積もり後にキャンセルしてもキャンセル料がかからないショップが大半。見積もりを受け取る際に確認すべきポイントは次の3点です。

  1. 部品代が込みか別か:見積もり金額が「工賃のみ」か「工賃+部品代」かで総額が大きく変わります

  2. 納期の見通し:「通常2〜3週間」等の回答が一般的。繁忙期は1.5〜2倍に延びることもあるため、余裕を持って依頼してください

  3. 保証の有無:修理箇所に不具合が出た場合の保証期間と対応内容を事前に確認しておくと安心です

フレット交換やネック折れ修理のように50,000円を超える修理では、2〜3工房から相見積もりを取ると費用・納期・仕上がり方針を比較検討できます。複数の見積もりを比べること自体が「自分のギターの状態を正確に把握する」助けにもなるでしょう。

宅配リペアの流れ・送料・梱包の注意点

近くにリペアショップがなければ、宅配リペアに対応した工房を利用できます。往復送料は3,000〜5,000円程度が目安(2026年6月時点)。発送時の注意点は以下の通りです。

  • ハードケースを使用する(ソフトケースやギグバッグは輸送中の破損リスクが高い)

  • 弦は半音〜1音程度緩めておく(急激なテンション変化を避けるため)

  • ネック側にクッション材を入れてケース内でギターが動かないように固定する

  • 修理してほしい症状を具体的にメモして同梱する

修理項目別の納期目安

修理項目

通常納期

繁忙期の目安

弦交換・基本調整

即日〜翌日

1〜3日

セットアップ(総合調整)

1〜3日

3〜7日

フレットすり合わせ

3日〜1週間

1〜2週間

フレット交換(リフレット)

2〜4週間

4〜6週間

ナット交換

3日〜1週間

1〜2週間

ネック折れ修理

2〜6週間

6〜8週間

全塗装リフィニッシュ

1〜3ヶ月

3〜4ヶ月

ネックリセット(アコギ)

3〜8週間

8〜12週間

繁忙期は年末年始・GW前・ボーナス時期が該当します。大手チェーンが外部工房に修理を委託している場合は、直営工房よりさらに1〜2週間長くなることも覚えておいてください。

リペア依頼は「見積もり→比較→承諾」の流れを丁寧に踏めば大きな失敗は防げます。初めての方もまず無料見積もりから始めてみてください。

ギターリペアの費用に関するよくある質問

リペアに出すタイミングの目安は?

以下のいずれかの症状を感じたら、リペアへの相談を検討するタイミングです。

  • 特定のフレットで弦がビビる(フレットの摩耗・ネック反り)

  • チューニングが合わない・音程が不安定(ナットの摩耗・フレットの摩耗・ペグの不良)

  • ネックの反りがトラスロッド調整でも改善しない

  • ジャックやポットのガリ・接触不良で音が途切れる

  • 塗装が剥がれて木材が露出している(湿気による劣化リスク)

症状の放置は悪化と修理費の上昇につながります。早めの相談が結果的にコストを抑える近道です。

見積もりは無料ですか?キャンセルできますか?

店頭持ち込みであれば、ほとんどのショップで見積もりは無料です。宅配の場合は見積もり自体は無料でも送料は自己負担。見積もり後のキャンセルも可能で、キャンセル料がかからないショップが大半です。キャンセル時の返送料は事前に確認しておいてください。

修理後の保証はありますか?

大手楽器店チェーンでは修理箇所の短期保証(1〜3ヶ月程度)を設けている場合があります。個人リペア工房の保証は工房ごとに異なり、明示的な保証期間を設けていない工房も少なくありません。同じ箇所の不具合が再発した場合の対応を、依頼時に確認しておくのがおすすめです。

リペアして転売する場合の法的注意点は?

⚠ 古物商許可と確定申告について

個人が自分で使っていたギターを修理して売却する場合は、不用品の売却にあたるため古物商許可は不要です。ただし継続的にギターを仕入れ→リペア→転売する行為を繰り返す場合は古物商許可が必要になります。個人が年間20万円超の利益を得た場合は確定申告(雑所得)の対象です(2026年6月時点)。具体的な要否の判断は行政書士等の専門家に相談してください。

FAQ全体のポイントとして、リペアは「症状を感じたら早めに無料見積もりを取る」「見積もり段階で部品代・納期・保証の3点を確認する」──この2点で費用面・スケジュール面の不安を大幅に減らせます。

まとめ──リペア費用の全体像を押さえて納得のいく判断を

ギターリペアの費用は、セットアップの3,000〜10,000円からフレット交換の25,000〜60,000円、ネック折れ修理の25,000〜80,000円、全塗装の80,000〜250,000円まで、修理項目・ギターの種類・依頼先の業態によって大きく異なります(2026年6月時点)。本記事の横断比較テーブルで自分の修理項目の相場帯を把握し、見積もりが妥当かどうかの判断基準にしてください。

リペアに出すか買い替えるかは、リペア費用とギター本体の中古相場の比率を基本としつつ、そのギターへの思い入れや希少性を総合して判断するものです。中古ギターを購入する場合は「購入価格+リペア費用=総コスト」で新品と比較し、リペア歴が将来の査定にどう影響するかまで視野に入れて検討するのが賢いアプローチでしょう。

気になる症状がある方は、まず無料見積もりを取ることが最初のステップです。50,000円を超える修理であれば2〜3工房から相見積もりを取り、費用・納期・仕上がり方針を比較検討することで、納得のいく判断ができるはずです。

参考文献・出典

※本記事で引用した各リペアショップの料金は2026年6月時点で各社公式サイト上に公開されている情報に基づきます。料金は予告なく変更される場合があります。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。

※サウンドマニアは特定のリペアショップ・楽器店・買取業者と提携関係にありません。

サウンドマニア編集部

楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。

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