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草刈愛美の使用ベース・機材まとめ|サカナクションの音作り

草刈愛美の使用ベース・機材まとめ|サカナクションの音作り

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サウンドマニア編集部/楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選…

草刈愛美(サカナクション)の使用ベース・機材一覧

サカナクションのベーシスト・草刈愛美の機材は、メーカー公式メディアと専門誌のインタビュー、そして製作元の公式ページから輪郭をたどることができます。中心にあるのはフェンダーのジャズベースとプレシジョンベース。そこにSago New Material Guitars製のカスタムベースが加わる構成です。

モデル名

種別

確認できる位置づけ

情報源

Fender Jazz Bass(1977年製)

ジャズベース

2020年以降のインタビューで繰り返し語られている一本。ホワイトアッシュ・ボディ/メイプル指板

FenderNewsのインタビュー(2020年・2023年)、イベントレポート(2025年)

Fender Precision Bass(1961年製)

プレシジョンベース

2025年のトークセッションで演奏

FenderNewsイベントレポート(2025年)

Fender American Vintage II 1954 Precision Bass

プレシジョンベース

2023年に試奏、2025年のトークセッションでも演奏

FenderNewsのインタビュー(2023年)、イベントレポート(2025年)

Fender Jazz Bass(1966年製・リフィニッシュ/Charcoal Frost Metallic)

ジャズベース

ツアー用にローディーから借りている一本

FenderNewsイベントレポート(2025年)

Fender American Professional Classic Precision Bass

プレシジョンベース

2025年10月11日のトークセッションで"世界初公開"として演奏

FenderNewsイベントレポート(2025年)

Fender American Professional II Jazz Bass

ジャズベース

2020年に試奏し、その後入手したと本人が語っている

FenderNewsのインタビュー(2020年・2023年)

Sago Classic Style J4 Custom

ジャズベース系(P/J配列)

Sago公式アーティストページに掲載されたカスタムモデル

Sago New Material Guitars公式サイト

Sago Classic Style P Custom

プレシジョンベース系

同上

Sago New Material Guitars公式サイト

アンプとエフェクターについては、本人は機材を足さない方向をはっきり語っています。2022年のベース・マガジンのインタビューでは、アルバム『アダプト』の録音をベースからDIへ直結して行い、アンプをほとんど使わなかったと説明しています。ライブでも足元を踏み替えるのではなく、ベース本体を持ち替えて音色を変える——これが草刈愛美のサウンドメイクの骨格です。

この記事では、8本それぞれの内容と、機材を足さない音作りの考え方、そして同じ方向性の音を狙うときに何を見ればいいのかを整理します。

草刈愛美のプロフィールとベーシストとしてのルーツ

サカナクションは2005年に北海道で結成され、2007年に現在のメンバーでメジャーデビューしたバンドです(サカナクション公式サイトのプロフィールより)。草刈愛美はそのベーシストとして、エレキベースとシンセベースを使い分けながらバンドの低域を担ってきました。

クラシックとバスリコーダーから始まった低音への興味

FenderNewsのインタビューによれば、幼少期は音楽教室でピアノを習い、バレエも経験。聴いていたのはクラシックだけで、家からレコードを持ち出してカセットに録音するような遊びをしていたといいます。小学生の途中で引っ越した先でポップスに出会い、MR.BIGやジャミロクワイ、オアシスなどを聴くようになりました。

低音楽器への興味が自覚に変わったのは、学校の授業でバスリコーダーを吹いたときのことです。2025年10月に開催された〈FENDER EXPERIENCE 2025〉のトークセッションでは、中学2年の頃にその感覚を初めて意識したと振り返っています。バンドを組む段になって、歌いたい友人とギターを弾きたい友人がいたこと、そして自分が曲を作っていて音階を出したかったことから、ベースを選びました。

ベースは独学で、少し教わったのは大学を出てからだといいます。初めてのフェンダーは、札幌の玉光堂の中古売り場で買った日本製のジャズベースでした。購入時期について、本人は高校生の頃だったと記憶をたどる形で振り返っています。

影響を受けたアーティスト

2020年のFenderNewsのインタビューで、ベースを始めた当時に憧れたベーシストとして名前を挙げているのがビリー・シーンです。MR.BIGが流行していた時期にあたり、同時にジャミロクワイも聴き始めたと語っています。日本のアーティストではTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの名前が挙がり、同じ頃にUKロックへも広がっていきました。

2025年のトークセッションでは、その後の嗜好の広がりとして、ザ・フー、オアシス、ビョーク、レッド・ホット・チリ・ペッパーズといった名前が紹介されています。テクニカルなロックからファンク、オルタナティヴまでを通過してきた聴取体験が、サカナクションのベースラインが単なる伴奏に収まらない背景にあります。

サカナクションに参加するまで

高校時代にはガールズバンドを組み、ドラムが叩ける友人の家に小さなアンプを持ち込んでアンサンブルを組んでいたといいます。ライブの機会は少なかったものの、オーディションには積極的に応募し、同じ会場で山口一郎と顔を合わせるようになりました。夕張で開催されたイベントで東京でのレコーディング権を獲得した経験が、大学生だった草刈にとって大きな転機になったと語っています。

そしてツアーのベーシストとして声をかけたのが、ギタリストの岩寺基晴でした。そこからサポートメンバーとして参加し、現在に至ります。バンドの一員として求められる姿勢について、2020年のインタビューでは、メンバー全員が互いの音を確かめ合いながら作っていく制作の進め方を説明しています。

メインベース:1977年製 Fender Jazz Bass

草刈愛美のベースを1本だけ挙げるなら、1977年製のフェンダー・ジャズベースです。2020年のFenderNewsのインタビュー、2023年の同誌インタビュー、そして2025年のイベントレポートと、5年にわたって同じ個体が語られ続けています。

本人の説明によれば、この個体はホワイトアッシュのボディにメイプル指板という組み合わせで、非常に重く硬いといいます。2025年のトークセッションでこの1本を最初に弾いたとき、硬さと重さに触れたうえで「音の伸びが素晴らしい」と評し、ロングトーンを多用したメロディックなプレイを披露しました。

興味深いのは、本人がこの個体を極端なジャズベースだと位置づけていることです。2020年にAmerican Professional II Jazz Bassを試奏した際には、そちらを"王道のジャズベース"として使いたいと語っており、77年製が標準的なジャズベースの音とは別軸にあるものとして捉えられていることがわかります。

なお2023年のインタビュー時点では、この77年製はリペアに出されていました。ポジションによって音が膨らんだり、音の立ち上がりが鈍ってきたところがあったとも語られています。

年式もののジャズベースを中古で探すときに見るところ: 草刈愛美がこの個体の硬さと重さに繰り返し触れていることが示すように、同じモデル名でも重量は音にも演奏性にも直結します。年式とモデル名だけで選ばず、実機を確認できるなら、まず重量を体感し、次にネックの反り、フレットの残量、ポットやジャックのガリを確かめてください。通販で購入する場合は、重量が実測値として記載されているかどうかが、その販売店の情報開示の丁寧さを測る目安になります。

そのほかのフェンダー:プレシジョンベースとジャズベース

2025年10月11日、ラフォーレミュージアム原宿で行われた〈FENDER EXPERIENCE 2025〉のトークセッションで、草刈愛美は5本のフェンダーベースを1本ずつ弾き比べました。ここではその5本と、インタビューで語られているもう1本を順に見ていきます。

Fender Precision Bass(1961年製)

トークセッションで2本目に登場したのが1961年製のプレシジョンベースです。ひととおり弾いたあとに口にしたのは、パンチがあるという評価でした。プレシジョンベースはピックアップを1基だけ搭載するのが基本の設計で、ジャズベースのように2基のバランスで音色を変える構成とは考え方が異なります。

草刈愛美がプレシジョンベースを使い始めたのは比較的最近です。2020年のインタビューでは、シングル「多分、風。」で初めてプレベを使ったと述べています。このシングルの発売日は2016年10月19日(ビクターエンタテインメント公式の作品情報より)で、インタビュー時点でおよそ4年前という本人の説明と符合します。

Fender American Vintage II 1954 Precision Bass

2022年発売のAmerican Vintage IIシリーズに含まれる1本です。草刈愛美は2023年のFenderNewsの取材で試奏し、2025年のトークセッションでも弾いています。2023年の時点では「自分が持っている楽器では出せない音」と表現し、2025年には丸くて包み込むようなサウンドだと語りました。

このモデルはフェンダー公式の製品ページによれば、アッシュ・ボディにPure Vintage '54 Single-Coil Precisionピックアップを1基、7.25インチ・ラジアスのメイプル指板と1954 "C"シェイプ・ネック、2サドルのPure Vintageブリッジという構成です。つまり搭載されているのはスプリットコイルではなくシングルコイルで、後年のプレシジョンベースとはピックアップの方式そのものが違います。同じ「プレベ」でも1961年製とは鳴り方の性格が異なり、草刈愛美が両方を並べて弾き比べたことには、その差を聴かせる意図が読み取れます。

Fender Jazz Bass(1966年製・リフィニッシュ/Charcoal Frost Metallic)

4本目に披露されたのが1966年製のジャズベースです。カラーはCharcoal Frost Metallic。ここで重要なのは、この個体が本人の所有ではなく、ツアー用にローディーから借りている1本だという点です。FenderNewsのイベントレポートに本人の説明として明記されています。

音の印象としては、レンジが広く、プレシジョンベースとは違う立体感が出せると語られています。緑色を好むことで知られる草刈愛美が、この個体の色に言及したうえでライブ音源に合わせて演奏したのも、この日の見どころのひとつでした。

Fender American Professional Classic Precision Bass

トークセッションの最後に登場したのが、この日"世界初公開"となったAmerican Professional Classic Precision Bassです。American Professional Classicシリーズは、フェンダー・ミュージカル・インスツルメンツ・コーポレーションが2025年10月14日に発表した新シリーズで、プレシジョンベースの希望小売価格は発表時点で1,599.99米ドル、日本国内では264,000円と案内されています。

仕様面では、ヴィンテージを踏まえて設計されたCoastline '60スプリットコイル・ピックアップ、Modern "C"シェイプのネック、そしてフェンダーが"ロリポップ"と呼ぶチューナーを備えます。草刈愛美はこの1本について、レスポンスの速さと音の押し出しに驚いたと語り、古い楽器を好む自分にとっても、弾いた瞬間に音が出ている感覚があったと評しました。

Fender American Professional II Jazz Bass

2020年10月に発表されたAmerican Professional IIシリーズのジャズベースです。草刈愛美はシリーズのローンチに合わせたFenderNewsの企画でMystic Surf Greenの個体を試奏しており、2023年のインタビューでは、その後この機種を手に入れたことに触れています。

2023年時点の評価は、フレッシュで若々しい音というもの。同じ取材で試奏したAmerican Vintage II 1966 Jazz Bassについては、落ち着きがありながら立ち上がりが良いと述べており、2本を対照的に位置づけています。

Sago New Material Guitarsのカスタムベース2本

フェンダー以外で公式に確認できるのが、国内ブランドSago New Material Guitarsのカスタムベースです。同社のアーティストページに草刈愛美の項目があり、2本のスペックが公開されています。

仕様

Classic Style J4 Custom

Classic Style P Custom

ボディ

Alder 2P

Alder 2P

ネック

Thermo Maple

Dark Thermo Maple

指板

Indian Rosewood

Indian Rosewood

ペグ

Gotoh GB528

Gotoh GB528

ナット

Oiled Bone

Oiled Bone

ピックアップ

ネック:Nordstrand NP4/ブリッジ:Nordstrand SNJ1-4B

ミドル:Nordstrand NP4v

ブリッジ

Hipshot Style-B Alm

Hipshot Style-B Alm

コントロール

Vol+Balancer+Tone

1Vol+1Tone

ピックガード

White

White Pearl 4P

カラー/塗装

Custom color/Urethane gloss

Custom color/Urethane gloss

スペックはSago New Material Guitars公式サイトのアーティストページの記載に基づきます。

Sago公式に掲載された本人コメントで語られているのは、「ベースの重さと言う悩みが解消され」たという点、そして完成当初から新品とは思えない安定感があり、どの会場でもラインの音が聞き取りやすいという点です。1977年製ジャズベースの硬く重いという性格を思い出すと、この2本が果たしている役割が見えてきます。

Classic Style J4 Custom:ジャズベース型ボディにP/J配列

名称はジャズベース系ですが、ピックアップの構成はネック側にNordstrand NP4、ブリッジ側にNordstrand SNJ1-4Bという組み合わせです。NP4はNordstrand公式サイトの説明によれば、往年のプレシジョンベース用ピックアップを精緻に再現したモデル。つまりこの1本は、ネック側にプレシジョン的な芯を持ちながら、ブリッジ側とのバランサーで音色を振れる設計になっています。

コントロールはVolume、Balancer、Toneの3つ。2基のピックアップを独立ボリュームで扱う伝統的なジャズベース回路ではなく、1つのつまみで2基の比率を決めるバランサー方式が採られています。

Classic Style P Custom:ヴィンテージ寄りのプレシジョン

こちらはミドルポジションにNordstrand NP4vを1基のみ搭載したプレシジョンベース型です。この型番はNordstrand公式サイトではNP4Vと表記され、標準のNP4よりマグネット負荷を小さくしたヴィンテージ準拠版として、柔らかく温かい出力が特徴と説明されています。ネックはDark Thermo Maple、ピックガードはWhite Pearlの4プライという仕様です。

フェンダーの1961年製プレシジョンベースやAmerican Vintage II 1954 Precision Bassと同じ「プレベ」の系譜にありながら、サーモ処理を施したメイプル・ネックとモダンなブリッジで、ライブでの安定性を確保した1本といえます。

アンプとエフェクター:機材を足さないという音作り

アーティストの機材記事といえばアンプとエフェクターの型番が並ぶものですが、草刈愛美の場合はそこが手薄になります。本人が、どちらも積極的には使わないと語っているからです。

ベースからDI直で録る

2022年のベース・マガジンのインタビューで、アルバム『アダプト』の音作りについて語った内容は明快です。この作品は完全に素の音で、「基本的にベースからDI直で」録られ、アンプはほとんど使っていないと説明しています。さらに、このアルバムでは一度も歪みを使っておらず、それが歴代のアルバムで初めてのことかもしれないと本人が振り返っています。

2023年のFenderNewsのインタビューでも、当時しばらくアンプを多用していないため楽器の音そのままが多いと語られています。エフェクターを何台もつないだりアンプを選んだりするよりも、ベース個体の音をそのまま出すことを好むという説明です。

本人が語ったシグナルの考え方 ベース本体 → DI → 卓。これがアルバム『アダプト』の録音について草刈愛美が説明した信号の流れです。歪みもアンプも介さず、楽器そのものの音を録る——足し算ではなく引き算の発想が、この一行に表れています。

音色は手で変える

では、どうやって曲中で音を変えているのか。同じベース・マガジンのインタビューで、「月の椀」の2番以降で音の方向性が変わって聴こえる箇所について問われた草刈愛美は、そこを親指で弾いていると答えています。硬いアタックが出ないようにするための選択で、ライブでもレコーディングでもベース本体のトーンつまみは操作していないと明言しています。

同じ記事では、「月の椀」のフレーズがスラップと2フィンガーを組み合わせたものであること、インスト曲「エウリュノメー」で前半をエレキベース、後半をシンセベースに切り替え、その対比を意識したことも語られています。エレキベースとシンセベースの使い分けは、サカナクションのベースパートを語るうえで欠かせない要素です。

ライブでは足元ではなくベースを持ち替える

音色の切り替えをエフェクターに任せていないぶん、ライブでは頻繁にベースを持ち替えることになります。2023年のインタビューでは、足元を踏むだけで済めば楽だが自分はベース自体を持ち替えるのだと語り、それでもその作業が楽しいと述べています。フェンダーについては「必ず戻ってくる場所にあるのがフェンダー」という言い方をしており、フェンダーの音を基準点に置き、それ以外は別の音が必要なときに持ち出すという整理をしています。

2025年のトークセッションでは、ベースは音の一番下を支える存在であり、自分が音を動かせばコード全体が変わってしまうため、どんな音を出すかに責任があると語りました。この記事で挙げた8本には、借りている個体もイベントで初披露された新製品も含まれますが、そのどれもが、どの音を出すかを選ぶための選択肢として並んでいます。

草刈愛美のサウンドに近づくために何を選ぶか

ここまでの内容を踏まえると、機材を揃える順番が見えてきます。エフェクターやアンプを買い足す前に、まずベース本体を決める。それが本人の音作りの順序だからです。

ジャズベースかプレシジョンベースかを先に決める

草刈愛美がジャズベースを長く使ってきた理由として本人が挙げているのは、音ではなく手の大きさでした。2020年のインタビューでは「ジャズベのほうがネックが細いから」と説明しています。手が小さいためにジャズベースを選び、プレシジョンベースの良さを理解したのはあとになってからだ、という順序です。

音色の面では、同じインタビューでプレシジョンベースの中音域の主張について触れ、アンサンブルによっては前に出過ぎることがあると語っています。ジャズベースは2基のピックアップのバランスで音色の幅を作れる一方、プレシジョンベースは1基で押し切る設計です。どちらが優れているかではなく、バンドの中でベースに何をさせたいかで決まります。

ネック形状は試奏でしか判断できない要素です。草刈愛美がジャズベースを選んだ理由が音ではなくネックの細さだったように、握った感触が続けられるかどうかを左右します。同じモデル名でも年式やシリーズで握りの厚みは変わるため、楽器店で数本を続けて握り比べる時間を取ってください。

中古で年式もののフェンダーを探すときの見どころ

草刈愛美が使ってきたベースには、1961年製、1966年製、1977年製と年式ものが並びます。同型の年式ものを中古で狙う場合、確認しておきたいのは次の4点です。

  1. 重量: 年式が同じでも個体差が大きい項目です。草刈愛美もSago公式に寄せたコメントで、以前から抱えていたベースの重さの悩みがカスタムベースで解消されたと述べています。長時間立って弾けるかどうかは、試奏の短時間ではわかりにくい点です。

  2. ネックの状態: 反り、トラスロッドの残り代、フレットの摩耗。年数が経った個体ほど調整の余地が残っているかが重要になります。

  3. 電装系: ポットやジャックのガリ、ノイズ。交換されている場合はオリジナル部品が付属するかも確認します。

  4. 改造・交換履歴: ピックアップやペグ、ブリッジが交換されていないか。草刈愛美が2025年に弾いた1966年製ジャズベースもリフィニッシュされた個体でした。塗り替えやパーツ交換それ自体が難点というわけではありませんが、価格と状態のバランスを見るうえで、どこがオリジナルでどこが後年の手か整理しておくと判断しやすくなります。

年式もののフェンダーは同じモデル名でも状態と仕様で価格が大きく動きます。特定の相場レンジを1つの数字で示すことにはあまり意味がないため、本記事では中古相場の金額を掲載していません。購入を検討する場合は、デジマートなどの中古楽器情報サイトで同年式・同モデルの出品を複数並べ、重量・改造歴・付属品の記載までそろえて比較してください。

同じ機材を揃えても同じ音にはならない

これは草刈愛美の場合、特にはっきりしています。本人がベース本体のトーンつまみを操作せず、指のニュアンス——2フィンガー、親指、スラップの使い分け——で音色を変えていると明言しているからです。機材を同じにしても、そこは再現できません。

逆にいえば、手の使い方に取り組む価値が大きいということでもあります。同じフレーズを2フィンガーと親指で弾き分けてみる、ブリッジ寄りとネック寄りでピッキング位置を変えてみる。エフェクターを1台買う前に試せることが、この人の音作りにはたくさん残されています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 草刈愛美のメインベースはどれですか?

1977年製のフェンダー・ジャズベースです。ホワイトアッシュ・ボディにメイプル指板という仕様で、2020年・2023年のFenderNewsのインタビューで本人が仕様を説明しており、2025年のイベントレポートでも1本目に演奏した楽器として紹介されています。ただしフェンダー側がメインモデルと規定しているわけではなく、本人の発言と登場頻度から読み取れる位置づけです。

Q2. 使用しているアンプやエフェクターは何ですか?

草刈愛美がインタビューで語っているのは、機材を足さない方向性です。アルバム『アダプト』についてはベースからDIへ直結して録音し、アンプはほとんど使わず、この作品では一度も歪みを使わなかったと述べています。2023年のインタビューでも、しばらくアンプを多用しておらず楽器の音そのままが多いこと、エフェクターを重ねるよりベース個体の音をそのまま出すのを好むことを説明しています。音色の切り替えは足元ではなく、ベースの持ち替えと弾き方で行うのが基本の考え方です。

Q3. シグネチャーモデルはありますか?

公式に情報が出ているのは、Sago New Material Guitarsのカスタムモデルです。同社のアーティストページに、草刈愛美のClassic Style J4 CustomとClassic Style P Customの2本がスペック付きで掲載されています。カスタムオーダーの個体であり量販モデルではありませんが、同じ方向性を狙うなら、ここに載っている仕様(アルダー2ピース・ボディ、サーモ処理を施したメイプル・ネック、Nordstrandのピックアップ)が具体的な手がかりになります。

Q4. プレシジョンベースはいつから使っているのですか?

2020年のFenderNewsのインタビューで、シングル「多分、風。」で初めてプレシジョンベースを使ったと語っています。このシングルは2016年10月19日発売です。それ以前はジャズベースを中心に使っており、ネックが細く手の小さい自分に合うことが理由でした。

Q5. 1966年製のジャズベースは本人の楽器ですか?

いいえ。2025年のトークセッションで本人が、ツアー用にローディーから借りている1本だと説明しています。Charcoal Frost Metallicにリフィニッシュされた個体で、レンジが広くプレシジョンベースとは違う立体感が出せると評価されています。機材リストを見るときは、所有と使用が別であることに注意が必要です。

まとめ:ベースを持ち替えることが音作りそのもの

草刈愛美の機材構成を通して見えてくるのは、機材を足すのではなく、楽器そのものを選び分けるという一貫した考え方です。1977年製ジャズベースという極端な個体を基準点に置き、1961年製プレシジョンベースやAmerican Vintage II 1954 Precision Bassで別方向の音に触れ、ツアーでは借りている1966年製ジャズベースも使い、Sagoのカスタム2本で重量と安定性の課題に対応する。エフェクターやアンプで色を付けるかわりに、弾く楽器と弾く指を変えているわけです。

この方向性を自分の音作りに取り入れるなら、順序は明快です。まずジャズベースかプレシジョンベースかを決め、ネックの太さを実際に握って選ぶ。次にDIを通したときの素の音を確認する。エフェクターはそのあとで構いません。年式ものの中古を検討する場合は、重量とネックの状態、改造歴を並べて比較してください。

サウンドマニア編集部

楽器の購入ガイドや基礎知識を発信するサウンドマニア編集部です。ピアノ・ギターをはじめとした楽器選びや、メンテナンス・演奏に関する実用的な情報をわかりやすくお届けします。

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